過去にしくじった話〜逃走〜
【とある県境の高速道路】
「…どうしたん?」
「子狸と子犬の様子は大丈夫そうか?」
「うん」
「ならフルスロットルで行くぞ」
「え"っ」
「施設跡地で見たシンボルマークが描かれている現在の隠れ信者のお出ましだ。もしかしてだが無敵の宿屋も少し大変なことになってるかもな!」
「ドア召喚出来なかったのは本当に始めてだったからねぇ……あの量の車を撒けるの?」
「おう」
「子犬と子狸に負担がかからないように処置もしといてね」
「任せろ!」
ルウカは子犬と子狸に負担がかからない様に魔法を使い、バイクのエンジンを全開にして車が一つも通っていない道を全速力で進み始めると……かなり後ろの方から白い車が大量に現れありえない速度でぐんぐん迫ってきていた。
「ありゃ…ニトロ積んでやがるな」
「改造車か」
「もしかしたら買ってそうそうオジャンになるかもしれねぇ」
「……一体何に私達は巻き込まれたんだろう」
「…あの異世界の王族に関わった地点でだろうな。そう言えばこのバイク買った金は何処から出てたんだ?」
「私のちゃんとした副業で稼いだお金だから後ろめたさのないヤツだよ」
「そうか…ETC入ってるからこのまま高速を降りバイクを降りてからバイクを囮にして遠隔操作して操りながらオレ達は生身で山越えするぞ」
「……やっぱりそうなるか」
「日本は自然に溢れているから隠れ蓑には丁度いいだろう」
「変装しての市街地ブラブラはダメ?」
「……どうにかなるならオレは構わないぞ」
「ならやりようがある」
「自信ありげだな」
「山越えするよりは断然いいし」
ふたりはバイクを降りて周囲を確認しながらウロウロしているとちょうど浜辺を発見し、脱衣所が併設されているのを確認して脱衣所の中も何かないかも確認してサニカの秘策を使ってから普段のラフな格好に着替えた。
このままだと負担が多く掛かると、ルウカが子犬と子狸を一時的に魔法で腕輪に変えてサニカのアイテムボックスにしまい込んだ。
そして近くのホテルに宿泊して夜が明けた。
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【とあるホテル】
《二人部屋》
「……この案はオレには浮かばなかったぞ」
「がに股にならない」
「へいへい」
「まさか使うことになるなんて思わなかったよ【性別逆転のリング】」
二人部屋では男体化したサニカと女体化したルウカがどのような服を着るか話し合いしながら着替えていた。
「お前って男体化すると童顔美人になるよな」
「…君は相変わらず美女になるよね」
「男に生まれたほうが幸せだったんじゃねぇか?スカートは無しでジーパンがいいな」
「ソンナコトナイヨ。その辺に居る人レベルの顔を持つ女に生まれてきて幸せだよ」
「お?お…あたしに喧嘩売ってんのか?」
「売ってない……動きやすい格好が良いよ。君は何を着ても似合うから」
「……短パン小僧がおる」
「誰が短パン小僧じゃい」
「マジで短パン似合うなお前って」
パトカーのサイレンがけたたましく鳴り響いて通っていった。
「……テレビ付ける?」
「オレ達に取ってのショックな出来事がニュースになってそうで怖いから見たくねぇけど見るか」
サニカがテレビを付けるとニュース速報が流れていた。
『○○県にある精神病院で沢山の患者が謎の変死を遂げた事件が発生し、しかも十年前に解散命令がされてそのまま精神病院の施設に入院していた者が変死を遂げていたとのことです』
『あっ………そして今入った情報によりますと廃墟と化していた敷地内からキグルミナンジャーのコスプレをした怪しいふたり組とフィトネスビキニ姿でウロウロしていて逮捕された公然わいせつ罪と動物の頭○をぶら下げた凶悪犯が何かを知っているとのことで警察車両で署まで運ばれた模様です。
キグルミナンジャーのコスプレをしていたふたり組も何か知っていると見て警察が捜索している模様です』
ふたりはニュースを見てやっぱりこうなったかーと頭を抱えていたが、ドアをノックする音が響くとホテルの従業員の人が「入ってもよろしいでしょうか?」と聞いてきた。
サニカはルウカの方を見て着替え終えていたのを確認して入っても良いと返事した。
するとホテル従業員と共に警察官がやってきた。
「朝から大変申し訳ありません。昨晩、ホテルに来るまでのお話を聞いて回っているのですが…」
「先に身元の確認しても宜しいでしょうか?」
ルウカとサニカは性別逆転したとき用の身分証明書と住所が書いてある車の免許証を手渡した渡した。
警察官はふたりの免許証とデバイスを使って確認していた。
そして確認が取れると「ありがとうございます」と車の免許証を返した。
「苗字が一緒っということはご姉弟であられますか?」
「いいえ、従姉弟です。気が合うので旅行に行くときはいつも一緒に旅をしているんです」
「そうなのですか…では昨晩何をしていたかお話をして頂きたいのですが」
「昨日は確か……」
口八丁手八丁のルウカが上手く言葉を紡いでポリスメンに話した。
内容に満足したのか「ご協力ありがとうございます」と言ってホテル従業員を伴い帰っていった。
「それで今日はどこ行くー?(多分つけられるからどうやって帰るか?)」
「朝から嫌なニュースを見たし職質受けて嫌な気分になったからこの地域からでて隣町に行きたいです(この姿なら公共施設使っても大丈夫じゃない?)」
「えー名物料理くらい食べていこうよー(遠隔操作してたバイクが今、大破したぞ)」
「……わかりました。確かこの地域は海鮮丼が有名だったはずです(巻き込んだりしてないよね?)」
「そうそう!海鮮丼!(怪我人ゼロで自爆だ)」
「では忘れ物ないか確認してから荷物を持ってチェックアウトして海鮮丼を食べに行きましょう(どの辺りで自爆したの?)」
男体化したサニカは丁寧キャラを演じ、ルウカは美女なのにギャルぽいキャラを演じることになっている。
理由は記憶持ちの転生者と知っている長くいきている不老不死の元勇者したご隠居たちに男体化したサニカは「超絶美男子なのにべらんめいに喋るのやめて」と言われ、女体化したルウカは「なっなんか良い…女王様…」と言われルウカは気持ち悪っと思いギャルぽいキャラになった。
ふたりは忘れ物ないか確認し大丈夫だった。だがサニカは自身の毛やルウカの毛が落ちてないか確認もした。
「それじゃレッツ・ゴー!(○○山の麓だ)」
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【海鮮ドン・ヤン大将】
「うんま〜…やっぱり取れたては違いますなぁ」
「キャラぶれてます…(朝採りの海鮮サイコー)」
「そんなに喜んでもらえると作りがいがあるってもんよ!」
「次の注文いっちょ〜!」
「あいよ!」
ルウカはコレでもかとメニューをドンドン注文し始めると周りにいた客がざわざわしだした。
「すっスゲ~美人なネーチャンが食ってるぞ」
「何言ってるの!隣の席で食べてる美少年なんて……はぁっ」
「あっ!美少年がこっち見たわっ!」
サニカは横目に他の席をみたがいつの間にか満席になっていた。大将もかなり忙しくしている。
「………ある程度食べたら行きますよ」
「わかってます〜」
ルウカは追加注文した料理を食べまくり、サニカも自身が注文した料理を食べきりごちそうさました。
サニカが会計する場所へ向かった。
「大将、お勘定頼めますか」
「サブぅ!やってやってくれ!俺ぁ今手が離せねぇ!」
厨房でオリャぁぁ!と料理を作りまくっている大将がそう言うとサブと呼ばれた板前がやって来た。
「えっ……はうあ!びっ美少年!!あっ!すいやせん!えーと会計は10万3580円でひゅっ」
「じゅっ10万…」
サニカは驚きながらも会計を済ませてルウカと共に店を後にした。
「は~…満足したし」
「末恐ろしいです…お茶も買って置きましたから水分補給しながら行きましょう」
「それじゃ次の場所へ!」
駅に向かう途中で街頭テレビを見つけてふたりでじっと見ていると速報が流れてきた。
『フィトネスビキニを着た変た…凶悪犯が○○県の○○署の留置所から逃走しました!』
それを見たルウカとサニカはブフォッと水分補給するために飲んでいたお茶を吐いた。
近くに人が居なかったのが幸いしてトラブルが起きずに済んだが、ふたりは「早く無敵の宿屋へ帰るぞ的な」アイコンタクトを取りその場から離れた。




