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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
とある神族と前世持ち元勇者の過去のしくじり話
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過去にしくじった話〜お巡りさんこの人です〜

【施設跡地エントランスラウンジ】


《入口付近》



特製のサスマタでキメラ怪人の動きを封じてどうするか話しながらチクチクダメージを与えていると、天井を突き破ってラブナシカが空から現れた。




「?!」

「うおっ!」



ルウカは腰を抜かしてその場で崩れ落ち、サニカは声を出し後ろに後退りした。



「ようやく見つけたわ!ここに来るまで変なのに絡まれてビリビリいやーんされて大変だったんだから!」

「そっその割には…ピンピンしてるじゃねえか」

「アタシはこんな低レベルの成れの果てに負けるわけ無いでしょ?」



サニカはボディービルダーの大会で身につけるビキニの格好をしているラブナシカを観察していると腰の辺りに見たくないものが目に映った。



「っ……………………」←サニカ、ドン引き中。

「あら?サニカってこういうの苦手だったりするかしらね」

「………おっふ」



ルウカもラブナシカが狩ったであろう怪人のいくつもの頭○が腰周りあるベルトにつけられていたの見てガチで引いた。



「この生首を腰に付けてると外にいる成れの果てが近づいてこないのよ」

「成れの果てってさっきから言ってるけど…やっぱり元は人間だったり?」

「えぇ、アタシの背後にいるキメラみたいな怪人も元は人間だったみたい。でも、もう戻れないわ」

「共食いしてる時点でもう人間性を消失してるよ」

「あら、共食いしてたの」

「お前の背後にいるキメラは元々鳥型の怪人だったぞ」

「へぇ~…共食いしてキメラみたいになったのね……どこかで……あれ?何だったかしら……思い出せないとなんか気持ち悪いわね」



ラブナシカは深く考えだした。キメラ怪人は拘束されたままラブナシカのお腰に付けてる怪人の首を見て震えている。



「おーっと…古から生きる神族が何かを思い出そうとしてる」

「遠い記憶すぎて思い出せないのかも。それだけ昔の術だったとしたら今の私らでは解決できないよ「勇者やって世界救ったぜ!」とかと違って転生しただけだし」

「だな」



ルウカとサニカはラブナシカが唸っている姿を見ていた。



「んー…ダメね…思い出せないわ」

「それほど昔の事なのか?」

「それが記憶にモヤが掛かって思い出せないわ。この感じだと知ってる事自体を忘れさせられてるわね〜。

こんな薄気味悪い場所から宿屋の方に帰りましょ」

「事務「今は駄目よ!」

「……何かあったのか?」

「あのエルフの小娘がアナタ達のイトコに何かしようとしている所を見る前に嫌な感じがしたから逃げてきたの。

今も嫌な予感がするし行かないほうが良いわ」

「……それに関しては外に出てから考えようか」

「なら少し待ってて♡」



ラブナシカはぐるりとキメラ怪人がいる方に向いてトタタと向かうとルウカとサニカでは見ることができない速度でキメラ怪人の首をいともたやすく刈り取ってみせ腰に装着した。




「「……………………………………」」

「うふふ…地球の人間や怪物って異界の人族や魔物と違ってかなり脆いわね……それじゃ帰りましょ」



ルウカとサニカは今はまだラブナシカに逆らいまいと思いを一つにしてラブナシカのあとに続く感じで施設から外に出たのだった。



「君はその格好のままで市街地に出るつもりなのか」 

「えぇ」

「その格好のままだと公然わいせつ罪か凶悪犯罪者扱いされて捕まるぞ」

「大丈夫よ!その辺にいる日本人達はアタシの美貌に見惚れる筈だわ……アナタ達もキグルミ着てたら怪しまれるわよ?」

「……バイトの帰りだと言えば大丈夫だろ」



スタコラサッサと施設跡地の敷地から市街地にでると犯罪者が出たと騒ぎになり通行人によって国家権力に電話された。


警察車両と白バイ隊員がやってくるとルウカとサニカは「お巡りさんこの人です」とラブナシカを明け渡しラブナシカだけが車両に乗せられた。


ラブナシカは警察車両に乗せられる前に「あらあら…困ったわ…あのふたり、淡々とした声でアタシを売るとはなかなかいい性格をしているじゃない♡」などと供述していた。

だがポリスメンに「そういうのも署で聞くから」と言われてそのままピーポーピーポーと連れて行かれた。


ルウカとサニカは白バイで来ていたポリスメンに異世界問題解決事務所の者だと証明したが白バイ隊員は「そんな事務所は存在していないし異世界問題解決する部署なんてないですよ」と言い放った。



「えっ……✕✕県の△△町□□番地にある」

「??……そこは空き地ですよ?」



するとルウカが「スミマセン!こいつ【ワイチョウブ】に載せる動画の撮影している時に強く頭を打って混乱してて」と話を逸した。



「大丈夫なんですか?」

「それがこのまま病院に行くつもりだったんですが、あの変態が現れて絡まれて大変だったんですよ」

「それは大変でしたね。ですがコスプレしながらの危ない動画を乗せるのは駄目ですからね。

子供が真似したら大変ですから」



軽い注意されて白バイ隊員は白バイに乗ってさっそうとこの場から去っていった。



「……事務所が消えただとよ」

「ラブナシカが言った何かがあったのかな」

「どうする?公共施設を使って帰るか?」

「………もしもの時に逃げ場がないからなぁ…ルウカはバイクの免許持ってる?」

「持ってるぞ。大型バイクの免許を所持している」

「この時間ならまだやってるから現金で即決購入してバイクに乗って帰ろう。ふたり乗りの経験は?」

「大丈夫だ。野郎を乗せてのふたり乗り経験もある…もしかしてだが…運転するのはオレか」

「うん。頼んだ」

「横で乗るかオレの背後かどっちが良い?」

「背後で」




キグルミを脱いでアイテムボックスに入れてあったライダースーツを着てルウカは子狸をサニカに託し、市街地にある個人店のバイク屋に寄ってサニカから託された大金を使い大型バイクを即決購入しフルフェイスヘルメットも2つ購入してサニカを待っていた。


サニカもルウカから渡されたライダースーツの格好に着替えて犬猫を運ぶための少し大きめのリュック型の鞄を市街地にある個人店のペットショップで買って子犬と子狸をリュックに入れて背負ってやってきた。


フルフェイスヘルメットを被り大型バイクにふたり乗りして帰路にたった。



「明日は知り合いの動物病院と役所に行って許可を取って子狸を飼える様にしてもらって子犬と子狸の健康診断と狂犬病ワクチンを打ってこないと」

「飼うのか」

「…コレも縁だと思ってね。最後まで責任を取るよ」

「そうか」



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