過去にしくじった話〜特撮ヒーローキグルミナンジャー〜
【施設跡地】
《○○様の裏の執務室》
「…まさかこんな部屋があったとはな」
「犬って鼻が利くだけあって凄いねぇ。まさかこんな部屋を発見するとは…ルウカのサーチにすら引っかからなかったのに」
この部屋を見つけた子犬は誇らしげに部屋の場所を見つけたご褒美の干し肉を食べ、子狸は子犬を冷めた目で先に壁の違和感に気付いた褒美として渡された干し肉を食べながら見ている。
「ここにもK2の所にあった文字が使われた形跡があったからな…他にも隠匿されてる場所があるかもな」
「でも一番重要な所を発見できたからこそ探す必要はなさそうだけど…この施設にまだ隠し部屋があると帰ったら上にあげよう」
「だなぁ……あー口うるさいのが出てくるぞー」
「でもお国お抱えのが見つけられなかったのを見つけたから出てきたとしてもそこまでは言われないかも」
「だと良いがな」
ふたりはガサガサとやさがしをして部屋が荒らされた後のようにドンドン汚れていったが怪しいジュラルミンケースと封書が見つかった。
「「…………………………」ケースの中身を見るか?」
「いや……見たら引き返せなくなりそうだから見ない」
「度胸ねぇな」
「身を守るためだから」
ルウカはジュラルミンケースをその場に放置して封書を手を使わずに魔力を使い浮かべてから開けた事がバレないように静かに開けた。
報告書
兼ねてより、メシュア様がサハラ砂漠にて発見なされたこの世のものでない物質の解析に異界の者の手を借り手間取りましたが解析できました。
この物質は鉱石ではございません、この物質はこの地球には存在していない生物の皮膚でした!
もしかしたらこの世界には古い時代のから…それこそ人類が生まれる以前の時代から外から地球に訪れていた者がいた事の通説が本当だったと祖父の憂いを晴らすことができて私は大変嬉しゅうございます!
そしてこの物質を使い人間を新たなる進化へ導くための物を作り出しました。
ですが…実験体を作れども大人子供関係なく道具を使ってすぐに精神に異常が現れ廃人となり使い物にならなくなってしまいました。
中には10分耐えたのものもいましたが…それ以上の者が現れないのです。
健康な実験体を確保しなければ……。
研究所所長 間田谷 政吉
ルウカはふたりで見てから静かに封書に報告書をしまった。
「サニカ、オレ達はとんでもない物を見つけちまったかも」
「…………怪人の倒し方は見つからなかったね」
「話をK「まずは怪人の倒し方が書かれたのをね?」
サニカは自身らが装着している時計を指差してから「盗聴されてるが見られてはない」という合図を取った。
「このジュラルミンケースはどうすっか」
「一応、この場所で見つけたヤバそうな物だから運ばないとだろうね」
「…持つのはオレだな…もう少し漁るか」
「怪人を作った時に必ず暴走したときのためにと対策は作ってると思うからあると思うんだけどねぇ」
「おっ!」
ルウカは目をキラキラさせながら1枚の紙を発見して見ていた。
「何が見つかったの?」
サニカも1枚の紙を見ると、ルウカが持ってみていた紙にはちょうど5年間放送されていて5年前に流行っていた【特撮ヒーローのキグルミナンジャー】のファンアートだった。
「ファンアート…」
「コレはただのファンアートではない、コレは5人限定で発行され人気マンガ家とコラボした超レアな奴だ!今でも高値が付いてる奴だぞ!」
「特撮もん好きなルウカにしか価値はわからないやつ……あれ?キグルミナンジャーって教員免許取る時に研修したエスカレーター式の学校の幼稚舎組と小学校組の子供達と遊んだ時に着てたやつか」
「そうだ」
「この場所にもファンがいたんだねぇ…懐に入れるのはなしだからね」
「ギクッ」
「このファンアートもジュラルミンケースと共に押収物として上にあげるから」
「…………わかった」
「さてと…ここにも怪人対策がなければ他の部屋を探る必要ないってさっき言ったけど…巡らなきゃいけなくなる」
「そうだな………………………(決してこの部屋に仕掛けられてるマジックミラーを見るな)」
(……わかった、子犬と子狸の様子わかる?)
(吠えることなく震えている。利口だな吠えればどうなるか理解している)
(……もし用事がないなら部屋を出ようか)
ふたりは震えている子犬と子狸をマジックミラーに気づかないふりしながら前回と同じ様に布で固定した。
(サニカ、場合によっては一緒に怒られてくれるか?)
(……わかった共犯になったる)
ルウカはジュラルミンケースと封書とファンアートをアイテムボックスにしまい込むと水の中級魔法をマジックミラーに向かって使った。
すると4体の怪人を喰らった元鳥怪人に氷のつららばりが刺さり「ギャァァ!」と声を上げてバタバタと暴れるのを確認してふたりは隠し部屋から飛び出していった。
「鉄パイプでは反応しなかったのに魔法に反応した」
「だとしたら地球上の物では倒せないのかもしれないな…オレの魔法で検証するか?」
「そうだね」
ふたりは一定の距離を障害物を避けながら走っていたが、壁が破壊される音と共に様々な動物が混ざりあったキメラ怪人が怒りのオーラをまとい四つん這いで追いかけてきた。
「捕まったら死ぬな!ガッハッハ!」
「……あれだけキレてるって事はそれだけ効いたって事か、この後どうする?」
「オレの魔法が効いたんなら距離を保ちながらヒットアンドアウェイで闘ってみようぜ!もし魔法が効かなくなった時のために逃げれるように逃げ道を確保しとかないとな!」
「…なら入口があるエントランスラウンジが良いかもね」
「エントランスラウンジだな!………なぁ」
「絶対に嫌だ」
サニカに拒否られようともルウカは続けた。
「……アイテムボックスに例のあるだろ?」
「グルータ君役になるのは嫌だからね」
「そんな事言わずに」
「キグルミが俊敏に動いたら怖いし、子供たちにキグルミの恐怖植え付けたの覚えてないのかい?」
「別に恐怖植え付けてはないぞ、逆に子供たちはスゲ~って言って人気者になったじゃんか。
一旦分かれて、そしてキグルミナンジャーの格好に着替えたらエントランスラウンジに集合だ。
オレらの持ってるキグルミナンジャーの衣装は特注だから子犬や子狸を隠せるし一定の技を食らっても守れるぞ」
「………わかった、今回は君の望み通りにするよ」
「なら今から煙幕を張るぞ!」
ルウカが煙幕を張り分かれて別々の道に分かれていった。
そしてキグルミナンジャーの格好に着替えてエントランスラウンジに向かって行った。
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【エントランスラウンジ】
《入口付近》
「フッハハハ!やはりオレたちが逃げるために入口付近に来るとよんで佇んでいたか!」
「フッハハハ、じゃないから」
キメラ怪人はふたりを見据えたが見たこともない格好をしているのを見て警戒した。
「我こそはキグルミナンジャーのミルコネ!キグルミナンジャーのリーダーだ!今ここで貴様を退治してやるわ!グルータ!行くぞ!」
「……………君がメインでやるんだよ」
サニカはルウカの横に立ち、ルウカは何処からともなく杖を取り出し戦闘が始まった。
キメラは杖を持ったルウカではなくサニカの方に向かってきた。
「何故に私っ!」
ルウカはサニカから距離を取り、サニカはひょいひょいとパルクールの技術を使いキメラ怪人を翻弄するために高い所に登り動き出した。
キメラは四つん這いで走っていたがグルータ君の動きに翻弄され追いつけないと踏んだのか背中に生える翼を広げて障害物を無効化してきた。
「思ったより背中の翼を使うの早かったね」
「キィィイエエエエエエエ!!」
サニカは懐にあるポケットからアルコール度数がとても高いお酒を取り出し飛び始めたキメラ怪人に投げつけた。
十個投げた中で6個当てることが出来た。
「相変わらず…命中率が微妙だなー」
「うっさい」
「さてとオレも動くか!」
サニカと入れ替わるようにルウカがキメラ怪人の目の前に現れて、小さな白い炎を作り出し、フッとキメラ怪人に向けて放った。
するとキメラ怪人は白い炎に包まれたが炎に包まれたままルウカに突っ込んで来た。
「マジかよ!」
「ジャンプ!」
サニカの指示を聞いてジャンプするとアイテムボックスから対怪物用のサスマタを取り出していたサニカはキメラ怪人に向けて突いた。
ルウカはジャンプしてから空中で一回転して距離をとった。
サスマタは白い炎に溶かされることなくキメラ怪人を突いたがサニカが思った以上に力強く対怪物用のサスマタを掴んだ。
対怪物用のサスマタを掴まれたサニカはサスマタに仕込んである対怪物用のスイッチを押してすぐさま離れ、対怪物用のサスマタはキメラ怪人に対して巻き付いた。
「さてとルウカはどう見る?」
「今さっきは効いてたが…一応もう少しダメージを与えよう」
「わかった。囮になるよ」
「もし変化がないなら作戦を練り直すために一時撤退する」




