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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
とある神族と前世持ち元勇者の過去のしくじり話
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過去にしくじった話

【とある平行線の地球に召喚された無敵の宿屋】



《エントランスラウンジ》



「記憶を生まれ持ったままってキツくない?」

「キツくないな。サニカも何度も転生すれば慣れるだろう」

「普通に人生を終えてた者からしたら、キツイかもしれないわね〜」

「ラブナシカ殿がしれっとこの宿に居るし」

「当たり前じゃない。アナタ達と縁が出来た事でこの地球に居られるようになったんだから♡」

「悪さするなよ?」

「大丈夫よ。地球系列で悪さしたらアタシであろうとも消されちゃうからしないわ♡

それにしても風変わりな地球系列の世界ね、異界の者との混血が居るんだもの」

「それに関してはオレたちが転生する前にはこの地球が何故か繋がってて異文化交流しているからな」

「あらそうなの?」

「私もルウカも驚いたよ。生まれ変わったら、あの世界とこの地球が異文化交流してるから」

「あちらの世界にはオレとサニカの魂を2つに分けたもう一人のオレたちが居るから心配はしてないけどな」

「なんか複雑そう…。魂を2つに分けても平気なんて凄いわね…アタシには出来ないわ」

「色んな意味で同僚達が止めるだろうから無理だろうな」

「ねぇ、ここに居るサニカが管理してるこの宿屋についてなんだけど…どうして名前を変更したの?」



ラブナシカはルウカが言った言葉を聞き流した。



「あちらの世界の神様がこの宿屋を所持する権利を持っていたから私に所有する権利が移るときに名前変更を求められたんだ。だからまんまの名前につけ直したよ」

「確かに存在そのものが無敵よね…長生きのアタシでも本当に破壊できないものね、それとあっちの世界の貴女は魔法が使えてるようだけど矛盾してない?魔法は使えないんでしょ?」

「あっちの世界の方の私が使ってるのは人間が造った魔法じゃなく、妖精が独自に創り上げた妖精の魔法を使ってるから魔法が使えてるのさ」

「それでも矛盾してるような気が…」

「問題なく使えてるんだから大丈夫だろ」

「えぇ………それと最後の質問だけど本家にサニカがヤバい宿屋を引き継いだのって知ってるの?」

「面倒事になるから教えてないし、教える義理もないから教えてない……そもそも知らないんじゃないかな」

「それだけのスキルを持つとなるとやっぱり厄介なのねぇ」



ズズッ…と静かにお茶を嗜んでいる所に突然日天の宿の扉がバタン!と開かれた。



「おい!サニカ!ルウカ!異界の王族がアポ無しでやってきたんだが本家から何か聞いてないか?!」



現れたのは耳が少しだけ長いハーフエルフの仕事の同僚の男性だった。



「そんな話は聞いてないぞ……オレたちが出向かないと駄目な案件か?」

「あぁ、来てくれ!事務員さんが相手をしてくれてるが結構な問題を抱えているみたいなんだ。

いくつもの難事件を解決してきたお前たち異文化問題解決係が出る案件だろうな」 

「「了解」」



ルウカとサニカは椅子から立ち上がりハーフエルフの男性と共に異界の王族が待っている事務所に向かった。

ラブナシカも何か面白そうねと勝手についてきた。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【異文化問題解決事務所】



《客室》



「おぉ…ようやく来てくれたか!地球の方の四大勇者の本家の者も我々が暮らす方も話を聞いてくれなかったからな」



ゴテゴテの衣装を着たお爺さんがソファーに腰掛けていて、ソファーの背後には護衛騎士がふたり待機していた。



(あら…本家筋では取り扱ってくれなかったですって)

(最近の地球の方の本家は傲慢なのが多くなって来てるみたい。長く続くゆえのジレンマっていう奴だね)

(ここ最近それぞれの家に伝わり受け継がれてきた特殊なスキルも地球の方の血筋のみ出現しなくなってきてるみたいだ。

異世界の方の血筋から嫁にしろ婿を寄越せと言ってるが無視されてるみたいだぞ)

(嫌だわ〜)

「それで…ご要件とは?」

「実は…我が孫が地球人の娘と駆け落ちしおったのじゃよ。王太子として教育を受けた者がじゃ」

「…もしかして…逃げた先が地球だというのかしら?」

「そうじゃ。地球人の娘と共にこの世界に逃げ込んだ様でのう…我らが動くのにも法律やらがあってすぐに動けそうにないんじゃ」

「それで我々のもとに来たと」

「そうじゃ。一刻も早くと言いたいが儂の国はいったって平和じゃし、王位継承するにもまだまだ女王をしている娘が現役じゃからな…流石にあれ?王太子は?と居ないのがバレたら面倒事になるからの。一年以内に解決してくれるとありがたい」

「一年もあれば大丈夫そうだな。地球と異界の者とでは違いがはっきりとしてるから」

「それじゃ…準備して探そうか。地球人の女性の見た目を話してくれますか?」

「うむ」




ルウカ達は先王から地球人の女性の特徴を聞いてから、先王の安全を確実に守るために護衛騎士と共に無敵の宿屋に送ってから捜索を始めた。



「まずは何処から探すのかしら?」

「王子の私物を借りれたし、持ち物から魔力感知して直ぐに見つけられるだろ」



ルウカは王子の私物から魔力感知し始めたが…。



「?」

「どうしたの?」

「王子の私物から王子の魔力を感じ取れるんだが…もしかしたら日本には居ないかも知れんぞ」

「え"っ」

「場合によっては……歩く通訳者のサニカに海外出張してもらわないと行けないかもな」

「海外は治安が悪いから行きたくない…日本人だと舐められるし、襲われるし、ごバカにされるしで嫌なんだよね」

「そこまでされるの?」

「ラブナシカは嫌なことをされないよ。(海外の人々も喜びそうなほどの美貌だし)逆に遊び放題じゃない?」

「いやぁ〜ね。そこまでアタシは雑食ではないわ。地球人系は遊ばないわよ、アタシが満足できないから♡」

「「……………………」」

「そんな引いた表情しないで。アナタ達はアタシのお気に入りで縁を壊したくないから絶対に…手を出さないし嫌なことをなるべくしないわ」



キリッとした表情してラブナシカがドヤッとしている。



「………ならパスポートとか取って来ないとか…ド○えもんみたいに不法入国できんから」

「残りはどの国に居るかの特定だな」

「なるべく治安がいい国が良いなぁ」

「アタシも着いてくわ!」

「着いてきても良いけど、後悔するなよ?」

「えぇ!」

















数時間後のルウカ一行は………。








【パキスタンにある霊峰カラコルム山脈、通称K2】



《中腹》



「何なのよ!何で雪山なのよ!!それも攻略難易度がとても高い凶悪な雪山なのよー!」

「大声出すなバカ…雪崩が起きるだろうが…だから言ったろ!

後悔するなよって!」

「こんな所に駆け落ちするバカがいてたまるものなの?!」



ルウカとラブナシカがギャーギャー騒いでいると山岳ガイドが「黙れ」とドスを効かせながらの低い声で言い放ったが、何か異変を感じ取ったのかガイドは聞き耳を立てていた。



「サニカ!私とともに左へ走ってダイブしてください!」

「「なっ!」」



サニカは山岳ガイドの女性と共に左へ走り回避したことで雪崩に巻き込まれることなく逃げ切ることができた。

ルウカとラブナシカは巻き込まれたがとっさに防御壁を築き難を逃れた。



「ちょっと!何でアタシにも左へ避けろって教えてくれなかったのよ!」

「オメェらが原因で雪崩が起きるだろうが…この山に登る前に大声出すんじゃねえって言ったよな?テメェらしにてぇのか?おぉん?」

「ひっ」



地元の山岳ガイドの女性はかなり頭にきているらしくラブナシカを黙らせ、ルウカを怯ませた。



「オラ、お前たちが目的としている場所にもう少ししたら着くから行くぞ」

「はい」



山岳ガイドは雪崩に巻き込まれた恐怖に怯えているルウカとプリプリ怒っているラブナシカと山岳ガイドと共に避けたサニカを引き連れてルウカとサニカによって地図に示された場所に向かって行った。


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