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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
362/569

ガ ッ ポ イ

【六月一日家が泊まる2の1号室】




「……………………」



白虎が目を開けると3人の子供たちにのしかかられていて動けずにいたがキユクの相棒のクローシェが子供をそっと移動させて動けるようにしてくれた。



「ありがとさん」

「わっふ」



クローシェは俺が寝ていた所で寝っ転がった。窓を見ないようにしながら歩こうとしたが窓にはカーテンが敷かれて見えなくなっていたが人型のシルエットが…。



「白虎、おはようございます」

「……おはよう」

「早朝に起きた子供たちは窓にへばり付いてガンギまってるラブ先生を見て、その場で倒れたので白虎の側に寝かせておいたのですが…大丈夫でしたか?」

「………大丈夫だ、日に日に大きくなってるみたいで俺はとても満足だ」

「そうですね。…朝ごはんどうしますか?」

「軽いものに……なんかカーテンに写るシルエットが気持ち悪い動きしてないか?」

「1時間おきに変な動きを見せているんです」

「………………ルウカ先生達のことだから外でどんなことが行われてるか何かを通して見てるかも知れないな」

「かも知れませんね」

「僕も他の皆も報告待ちでしょう」



俺はキユクがミニ冷蔵庫から取り出してくれたフルーツパンケーキを食べながら窓に映るシルエットの動きを観察することにした。











◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇












【ルウカが泊まっている9の1号室】



ルウカは窓から外の様子を見ていた。



「スゲーな……オレたちよりも強い強者達を追い払ってるぞ」

『ちぎっては投げてちぎっては投げてを繰り返されてる』 

『ラブナシカTは往復ビンタを仕掛けた』

『……私達よりも強い強者達が来てるのって…力試しとかで来てたりするのかな?』

「力試しとかに来ているのも居るかも知れないが、大暴れしているコピーのラブに便乗して子供たちを攫いに来てるのも居るみた……ぶふっ」



上空で行われている戦闘に目を向けていたが、宿や子供たちの暮らす家の周辺をウロウロしている強者達にも目をつけると、島の子供たちを狙う変態共の背後にラブナシカのコピーその1がスッと現れて羽交い締めし、コピーその1の背後にラブナシカコピーその2がさらに現れガッポイをしているのを目撃したオレは吹き出した。



※ガッポイは素人がやるとかなり危険なのでやらないでね。



『何に笑っ………ふふふふっ…』

『マジェリルカまでどうし…た…………ラブが子供たちにの暮らす家に侵入しようとしてる強者達を一体目のコピーが羽交い締めして、二体目のコピーが後ろから掴んどる…』

『よく見たら子供たちが暮らしている家の屋根にラブのコピーが二人一組でおったわ』

『…上空の力試し組には正々堂々と格闘術を使ってるけど便乗して子供たち狙ってる輩にはオカマ流儀か』

『女性の場合は巴投げしてるみたいだけど…それにしても結構な数が居るもんだね』

『様々な種族の血を持っている子供たちは人間の姿してエルフ並に生きるから…そういった血が欲しいんだろね』

『コチラはのんびりと好きなように過ごしてるのに…ホントにちゃちゃを入れてくる輩は嫌になるわ』

「ラブもこの前、愚痴を言ってたもんな「最近の外の世界は新米の女神や男神が古い時代の神族に向けて下剋上起こして大変なのよ〜」って」

『この世界も狙われたりしないよね?』



紫蘭が不安そうに言った。



「いや、狙われないぞ。俺とサニカの1番大切にしていた記憶を代償にして一時的に全知全能の力を得てこの世界を創ったとこの世界のアカシックレコードが書き換えられてた」

『新米の女神や男神が手を出せるのは神族が天地創造した世界だけだよ。魔法使いや退役勇者が創った世界に手を出せば数多の魔法使いや勇者を敵に回すからなしないよ』

『……神族すらも恐れるの……あぁ…居るな…太古の勇者とか』

『…ゲホッゲホッ…!』

「サニカ?どうした」

「……………本物のラブがアスチルとラビリアだったモノに対して「大切に取っておいたアスチルの貞操を奪い、さらに性別まで固定させるなんてっ!キィイイ!」って叫んだものだから」

『……まだアスチルに手を出してなかっただか…少しだけだけど見直しただ』

『ラブ先生……って以外と奥手なのでしょうか?』

「ラブは本気で好きになった相手には自身と相手が理想とする形で結ばれたいと結構理想が高いよな」

『そこは確かに理想は高いね……ここ5万年辺り遊んでなかったし、禊をして体をキレイにしてたみたい』

『思いが重い……』

『………所でサニカ先生はラブ先生が火天の宿屋の方でナニしてるか見てたんですか?』

『うん……やるコトやって堕ちない様に見てたかな。今は火天の宿屋から出てアスチル達だったモノを持って、花畑の地下深くに隠されてた誰かの秘密基地に籠もってラブの本体がキィキィヒステリックを起こしてるよ』

『『『『『『えっ』』』』』』



サニカから発せられた言葉を聞いたルウカとカーウェンはこころの中で「ヴェルタリアス、ご愁傷さま」と思ったのだった。



『花園に秘密基地……入口はどこ?』

『花畑にあるガゼボに入口があるみたい……終わるまでかなり時間が入りそうだけど』

『暇つぶしにルウカとサニカのしくじった話を聞かせてよ。その代わりアタシ達が生まれる前にやった事限定だけど』



そうマジェリルカに言われた。



『…………しくじった話か…』

「子供達には話せない奴か………どの話をする?」

『……しくじった話があるんかい』

「ふたりとプラス1で変身して巨獣と戦った話でもするか?」

『アレは……しくじった奴か?……しくじった話になるね』

『………ふたりとプラス1で変身して巨獣と戦った…?』

『……私とルウカとラブがしでかして【とある平行線の地球】から永久に追放された時の話だからしくじった話になるか』

『『『『『『『『えっ』』』』』』』』



【とある地球】から追放されたと聞いてカーウェンやマジェリルカですら「えっ」と言った。



『アンタ達…よく魂そのものを消されなかったわね』

「全が俺たちのせいじゃないからな……やんごとなき理由があるんだよ」

『そのやんごとなき理由を聞かせてくれるのですか?』

『聞きたいならね……もう時効だろうから』

『おや?サニカも言いづらそうだな』

『言いづらいよ……追放された時の話だから』

「最初はどの辺りから話そうか……他の子供たちにも話すか。教訓話になるだろうし」

『アレが教訓話になる?』




こうして暇そうにしていた島の子供たちにも連絡がいきサニカとルウカとラブのかなり昔の話が始まった。




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