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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
359/569

嵐の前の静けさ

【クレイバール学校】


《講堂》


「サニカから番の話は聞いてたのね♡」

「護熊族のヤバいの話も聞いたわ」

「あら〜。番関係のいざこざを味わって肯定派から時と場合によるけど普段は中立の立場になった話を聞いてたのね」

「元々はサニカ先生は肯定派だったんだ」

「そうよ」

「へー」

「あたしも運命の番には憧れるわ♡」

「アスチル先生ってラブ先生の運命の番じゃないの?」

「残念ながら違うわ。次あったらの約束はしてたけどアスチルとは運命の番ではないわね。

アタシが生まれた頃には【運命の番】なんて言う概念は無かったもの」

「そもそも概念が無かったんだ」

「……それで【運命の番をどんな事をしてでも欲しがり誘惑したり攫ったりする誘拐犯共を絶対に許さないの会】の人達って、その運命の番とやらで被害を受けた人達よね?」

「えぇ、数多の世界の人達が入信しているわ」

「どれくらいの人数が居るの?」

「数億よ」

「数億?!」

「護熊族の話を見聞きしたアナタたちからして運命の番だとかはどう思った?」

「メルゴさんは嫌いじゃないけド、あたしはそういうの嫌だなって思ったワ」



まず口にしたのはラローネルだった。



「それじゃラローネルはどう思って嫌だなって思ったのかしら?」

「あたしはまず縁起が悪いけド…悪いけど絶対にありえないからって思いながラ、あたしの父さんと母さんを見て想像したノ。

あんなに仲良くている所にいきなり間男か女性がやって来て運命の番だから別れろだとカ、無理やり攫って行くと思うと絶対に嫌だワ」

「おれもラローネルと同じ様に考えた。でも一目惚れと運命の番ってどう違うの?」

「アタシの解釈ではね?

運命の番って本能が求め抑えが効かなくなり、どんな事をしてでも欲しいと欲望が動くわ。

でも一目惚れってひと目見てこの人いいなって思うけど、相手に恋人や家族が居たら一目惚れした本人次第では恋心を抑えられるものって考えてるわ」

「???」

「混乱するわよねー。アタシなりの極論を言うと運命の番関連は欲望の赴くままにどんな手段を(もち)いても欲しがり、知性も理性もないただの獣に成り下る輩がいるわ。

一目惚れ関連にも強欲な輩も居るけれども、時と場合によっては理性や知性が働いて恋心をしまったり、叶わなかったとしても少しの間はジクジクと心が痛むけど期間を空ければ次に行ける人が多いと感じているわ」

「………番の問題って、まるで地雷だね」

「そうねぇ。巻き込むだけ巻き込んで謝らないのも運命の番関連はあるけど、稀に終わってから謝るのが居るけど、巻き込まれた者としては、はた迷惑よね」

「長い名称に略しってあるの…?」

「あるわよ確か…【番を求める犯罪者共を許さないの会】だったかしら」

「短くなったけどなんか悪意を感じる」

「仕方ないのよ。そこに所属している輩は大半が恋人や伴侶を運命の番とやらの策略によって寝取られてるから余計に怨み節が凄いわね」

「ひぇっ策略してまで欲しがるの?!」

「えぇ、だから一度でも目をつけられると厄介なの。

それに運命の番を求める輩は自己中なのが多いし、稀にだけど愛人囲ってるどクズな運命の番も居るわ」

「1番駄目なパターンじゃん」

「そうね」




「この島の人達の恋愛は運命の番関連じゃないよね?」とルフェルニカがポツッと言った。



「えぇ、どの家庭もごく普通に自然に伴侶に好意を持って口説いたりしてからの恋愛結婚よ♡」

「間髪入れずに言われるとなんか恥ずかしくなってきた」 

「相手が嫌がっている場合に限り、アタシ達が介入してしつこい子に関しては………わからせるけど♡」

「絶対に何度かやってるパターンだよ!」

「昔の人はいいこと言うわよね〜。恋は病って言葉があるんですもの」

「流した…愛の伝道神が」

「それにしても外の世界の恋愛はカオスな事になってたりするのネ」

「最近流行りの悪役令嬢も異世界ならリアルにあるわよ」

「アタシには悪役令嬢をやれって言われても無理ね。小説に出てくる転生悪役令嬢みたいに機転なんて利かせられないわ」

「普通に恋して、もし結婚することが出来たならば普通に結婚するのが良い。

やんごとなき結婚は嫌だなぁ」




レンカが言った言葉に全島の子供たちは頷いたのだった。





















ところ変わって【クレイバール公民館】では。 




「どうして寄合所に集合をかけなかったんだ?」

「寄合所はブラウニーが住み着いてるから話しづらくて」

「あぁ…イタズラ好きのブラウニー様ね……サニカさんは帰ってきて早々どうしたの?」

「番嫌い達の話を聞いていたのは良かったんだけど、急に広報担当が慌ただしく会場に駆け込んできてね。

カーウェンは気分が悪くなるかも知れないけど」

「サニカ、物騒なこと言わないでくれない?」 



カーウェンはサニカがだいたい名指し指定の前置きしてくる時はろくな報告がない事を知っているために苦虫を噛み潰したような表情をして言った。



「それに今はラブは居ないよね?」

「えぇ、ラブ先生は子供にサニカさんが呼ばれた組織の話を子供たちに話している所ですね」

「覚悟して聞いてほしいんだけどね」



島の大人達とルウカはゴクリと生唾を飲んでサニカの話を聞いた。



「…………ということになってます」

「………………………………これだから性に奔放なのは嫌なんだよ。本人たちは好き勝手して気分爽快だろうが、それに巻き込まれる周りのモブの事を考えてほしいものだよ…」

「…絶対に荒れるな」

「あぁ〜暫くこの世界の天気かなり荒れるだべな……ベール。後のことは頼んでいいか?

オラはお野菜ちゃん達を一気に成長させて収穫してくるだよ」

「牧場の子たちも小屋に戻しておいて欲しいのだけど」

「それもお野菜ちゃんを成長させる前にやっとくぞ」

「なら私も薬草関連に対して動かないと…」

「花園はどうしよう……俺にできる事あるか?」

「花園に咲いてる花は希少な薬を作るのに使えるから駄目になっちゃうなら収穫しちゃいましょう。わたくしも手伝うわ」

「あっそれならボクも手伝います」

「ワタシも手伝いますのそれじゃ失礼させてもらいますわ」



それだけ言うと土屋夫妻とマナリオとハルディオラとハノンとレシェットはそそくさと【クレイバール公民館】から外に出てそれぞれの目的を果たすために出ていった。



「ラブに説明している所を見たくないから数名逃げたぞ」

「確実に荒れるから余計だろうね」

「さて…私は親としてなんと言えば良いでしょう?」

「イダルベールが悩む必要はないよ。アスチルはもう大人なんだから本人にやらせないと。

それでサニカ先生、当の本人と運命の番さんとやらは?」



紫蘭の言葉にサニカは面倒くさそうな表情しながら答えた。



「それなら簀巻きにして火天の宿屋の方の部屋に鍵閉めて閉じ込めて出られないようにしてある。

【番を求める犯罪者共を許さないの会】の会長様にはご愁傷さまですっていう表情で肩をポンってされたよ。

それとカーウェンも話を聞いてすぐに思い立ったであろう事が確実にかつ安全に出来る【生命の守護神】への紹介状は番大嫌いな会長様から貰ってるからエトシェと話して本人もそうしたいと言うならば行ってくるといい。

それとラブナシカへの話は私からするし、ルウカもラブナシカを諫めるために側にいてね…私だけだと止められないから」



ルウカはかなり嫌がったが今回ばかりは仕方ないと頷いた。



「…サニカ一人では抑えられないだろうから良いだろう」

「私も同行します」

「アスチルはもう大人なんだから責任取るならちゃんと本人にやらせなきゃだけど…ラブナシカに何をされても黙ってみてられるかい?」

「はい」

「紫蘭と島の子供たちは今夜は絶対に寝泊まりする無敵の宿屋の部屋から絶対に出ちゃ駄目だからね?

エントランスラウンジに向かうのも駄目。

部屋の外に出たら鉢合わせるだろう半狂乱のラブを私やルウカでも止められないからどうなっても知らないし、トイレと風呂が併設されている部屋に泊まるんだよ良いね?

あと最後に一つだけ、それぞれの部屋にミニ冷蔵庫を設置して置くからそこから好きなだけ食べ物や飲み物を取り出して飲み食いしていいよ」



サニカからの初めての的確な指示に島の大人組は少し大袈裟な…と現地点では思っていた。

だか夜になり完全に安全な部屋に居るのにも関わらずとんでもない負の魔力を感じ、家族でくっついて過ごすことになるとは思っても見なかったのだった。


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