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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
357/569

魅了が効かない島民たち

【クレイバール公民館】


《大広間》


「解せない」

「……急にどうしたの?」

「どうしてこの島の島民たちは魅了が効かないの?

ボクこう見えてAPP17のイケメンだと自負してるけど全く持って島の人達なびかないんだけど?」



陽雲は大広間でのんびりと過ごしていたが島の人達に軽く会釈されて素通りされる日々にモヤモヤしていた。

ちょうどそこに麦茶をお客様用のコップに注いでトレイに乗せて持って来たサニカが現れた。


「モテたいなら他を当たりなさい。…そもそもそういう押せ押せが嫌でここに居るんじゃないのか?」 

「……確かにサニカ殿に言われた通りだけどさ…小さいながらも女の子ってイケメン見たら頬を染めたりとかないの?」

「そういうのはこの島ではないね。諦めなさい」

「……この島の人達って顔面偏差値が高いけど、そういった影響があったりする?」

「残念ながらそういう影響はないと思うけど…種族的にも別に魅了が効かない種族の血も一部しか引いてないし」

「あ~神社の一家か。確かとあることで有名だったサキュバスの直系の子孫だっけ。それとこの島に暮らすお嫁さんやお婿さんも効かないし」

「必ず一途な伴侶を連れて来るからね。伴侶としてきた子も島の子供たちも絶対によそ見しない」

「……何度訪れてもいつまで経ってもいちゃついているから目に毒だよ」

「仙人殿は貞操概念は硬いほうか」

「うん。僕の知り合いにハーレム築いたのいるけど最初の頃は順調だったけど後々流血騒動になったり、新しい女性が増えて血塗られたりしたのを見聞きしてハーレム漫画に憧れをいだかなくなった派かな」

「君はハーレムの現実を見ちゃった系か」

「見ちゃった系です」



それを聞いたサニカは遠い目をした。



「……下ネタ平気系ですか?」

「年取ってから同じ性別の同期や年上と話していると、いきなり下ネタ投下とかあるし、オネェさんを男がいる場所にけしかけて場を荒らしてその様子を観察する変態がいたり…慣れてくるのか動じなくなってくる」

「あぁ…」

「ルウカも含めた少数派はいつまで経ってもそういう下ネタや猥談が苦手なのも居るし」

「……今日、子供たちの授業で普通にモザイク無しの性の知識で普通にピーピー発言してて引いたよ。

一部もじもじしてた子もいたけど早くない?」

「早いも何もそういった知識を持ってると貞操概念の大切さとかわかるし、人数少ないのもあるんだろうけどヤッたのヤッてない問題も今のところはこれまでも起きたことない」

「おぉう…」

「大人になってから派手に遊ぶのも居るけどね」

「………なんともいえない感じになってきた……サニカ殿達はどうやって性欲の発散とかしてる…?」

「ルウカに関してはわからないけど、私の場合は【エロ公爵】と呼ばれている強者に強制的に【猥談会議】とやらに呼ばれて猥談を聞かされまくった上に散々○ロ本や官○小説を大量に読まされて新しい性の知識を得させられて慣れちゃったのか特に反応しなくなったかな」

「えっ普段から悶々したりしないのですか」

「ないね。だからいい感じに遊んでいる輩には「枯れてる」だの「お前もコッチ側に来いよ」って言われたりしてるけど【エロ公爵】が今も書き続けている本の一部ページを顔に押し付けると男女関係なく鼻血を出すだけで何も言わなくなるし、暫く絡んでこなくなるよ」

「この人、エ○本使って黙らせてる」



ちょうど良いところにルウカもやって来た。



「何だお前ら、ふたりで何を話してたんだ?」

「「猥談」」

「お…おう…」

「というよりも、島の子供たちの性教育について話てた」

「あっあぁ……性教育についてか」



ルウカは顔を赤らめていたのを見た陽雲は。



「乙女か!!」



陽雲の言葉にサニカは飲んでいたお茶を吐いた。



「ゴホッゴホッ……久しぶりに聞いた気がする」

「何万年も生きてるのに反応が初心すぎるよ!」

「オレはそういうの苦手なんだよ…」

「普段からはやし立てたりからかうのに何なの?」

「それはそれ、これはこれだ」 

「屁理屈を言ったよこの人。だから何度転生しても童貞で人生を終えるんだよ。毎回、顔だけは良いのに」

「ぐはっ」



陽雲はルウカの前世の姿を写真で確認していて、ルウカは陽雲の言葉のナイフを喰らって公民館の大広間の畳の上に倒れた。



「まぁ……何度転生しても貞操を守る理由としては自身の魔力を高く、そしてより魔力の純度を高めるためしているから」

「アナタ達は一体何を目指してるんだ?」

「文句を言われない様に好き勝手にスローライフすること」

「えっ…スローライフするために今もまだまだ強くなろうとしてるの?」

「強くならなきゃ自分たちよりも強いものに略奪されるだけだからね」

「どれだけの勢力から狙われてるんだ」

「ヒ・ミ・ツよ♡」



ラブナシカもいつの間にかやって来ていた。



「うわっ!急に現れた!……学校は?」

「大丈夫よ。紫蘭とカーウェンとマジェリルカがそれぞれ受け持ってくれてるから♡」

「あっそうですか」

「畳の上にルウカが倒れてるけど何かあったの?」

「自身がしてきたことがブーメランとして帰ってきた」

「なら自業自得ね」



ラブナシカもサニカと陽雲が使用しているテーブルの空いている席についた。



「本当のこと話してよ……誰から狙われてるの?」

「んーそうねぇ。狙ってくる輩はサニカが戻ってきてから外に流出した血統で良いとかなりの人数が手を引いたから…しつこい一握りの強者かしら」

「血統が流出してるんだ」

「えぇ、サニカとルウカの方針で余っ程の事が無ければこの世界から巣立って良いって言ってあるもの」

「人を完全に縛り付けるなんて出来ねえからな」

「復活はや」

「場合によってはラブナシカの力の一部を使ってもらって封じ込めちゃうけど」

「そのパターンあるのか?」

「今はないよ」

「今は?………あっ、白虎君の系譜とキユクさんの系譜か」

「そう。ちゃんと因果を終わらせられたらしいから家族単位で外に出て行ってもOKになった」

「それは良いことだ。……なんか話を聞いて少し移住については考えることにするよ。ちょくちょく寄らせてもらうけどね」

「おう、この島の子供たちやこの世界に危害を加えなければ宿屋は空いてるし歓迎するぞ」

「そうねぇ…アタシ達も外の話を聞くのって新鮮に感じたりするからリフレッシュになるのよね」



和やかに時間が過ぎ去っていった。


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