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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
351/569

再誕

【クレイバール学校】


《校庭》



一瞬の出来事に島民たちは驚きに戸惑っている。



「成り代わっていたの…もう復活するって」

「えぇ…1か月は掛かるって思ってたけど」

「……それでもう復活させるんですか?」

「そこでお前たちの意見を聞きたいが…どうだ」

「どうって……今すぐ復活させるかどうかってことか?」

「あぁ」



ルウカは島民たちを見渡すと子供達は強者の中でも異様な強者達を見てビビっていたのか泣きそうになりながら震えていた。



「お前ら泣かなかったか」

「泣くもなにも……雰囲気からヤバかった」

「…ルウカ先生がワイワイ話せてる事が怖かったです」

「血の付いたモザイク処理された道具……見せないようにされてたけど…アレって…」

「異世界怖いです」

「異世界召喚っテ…場合によっては怖いわネ」

「そりゃ戦争やらに利用するために召喚するからな。ハーレム系の漫画みたいに優遇なんて滅多にないな」

「うわぁ~…理想と現実の差が…元々ファンタジーみたいな世界かつ平和なのってホントに凄いことなのね」

「その代わり刺激が少ないけど、趣味に生きてぼーっと生きれるってさいこー」

「日葵が少し心配になることを言った」

「お前達は成り代わっていた者の復活を望むか?」



子供たちは一斉に頷いた。



「アナタ達は?」



今度はラブナシカが大人組に聞いた。



「危害がないならおらはいいよ」

「そうじゃな…最近は住民が増えるって事がなかったからいいんじゃないか?」

「ルウカ先生達がその辺は縛ってくれるって言うなら大丈夫だと思うゾ」

「それに人手が増えるのはいい事だよ」

「オレもラタムの意見に賛成だ」

「今までどおりに過ごせるなら賛成するよ」

「…人によって作られた命の研究とかさせてもらいたいです」

「それは蘇った本人に聞いてだからな?キユク」

「わかってますよ」

「あぁ…幼馴染がマッドになっていく」

「人体実験なんてしないですよ!」

「してたら怒るわよ。それでアナタ達も賛成で良いの?」



島の大人組も頷いた。



「なら始めるか」



ラブナシカとルウカは簡易な祭壇を作り魔法陣を描いてから台座の上にとても長い布地をひいてから【命の核】を置いた。



「それじゃ行くわよ〜!」



ルウカとラブナシカが魔力を注ぐと【命の核】がピシピシピシとヒビが入り中から胎児が出てきた。

そこからさらにグングングングン成長し、長い布地が巻かれながら大人の体に成長しきった。



「あら〜…ホントに珍しい種族として再誕したわねー」

「あれは宝石人だな」

「宝石人…?」

「某漫画の宝石達と違って宝石人は人間の体であり、体のどこかに宝石が埋め込まれている特殊な種族で、心臓替わりの宝石を抜かれると死ぬ」

「……とんでもない種族が爆誕した」

「宝石人は不老不死の性質を自然に持つ希少ゆえに狙われるから天然の宝石人は数を減らしているし、他の種族に見つからないようにひっそりと隠れ住んでる」

「特殊な種族だからなかなか増えないのよね」

「特殊な種族…」

「宝石人は他種族と婚姻させれば人と同じ様に極稀に増えるけども、普通は宝石人が研磨した宝石に宝石人が魔力を溜め込むと稀に増えるんだよ」



宿屋の様子を見に行っていた恐竜のキグルミを着たサニカが戻ってきた。



「それで宿屋はどうなってた?」

「機能が停止していたけど権限を取り戻せたから機能も少しずつ回復してくると思う。こんなケースは初めてだから最終的にどうなるかわからない」

「だから宿屋を使った結界が効かなかったのね」

「家が移動してた理由がわかった。そもそも宿屋の結界は流用は出来ないよ。唯一無二の宿屋限定の結界だから」

「魔物が島に侵入してきた理由がそれか」

「カーウェンやマジェリルカの結界は?」

「張ってあるわ」

「……そっか」

「サニカ、一ついいか?体が出来たのに目覚めないんだが…どうなってる?」

「叩き起こすのは少し手荒な感じがするけど5時間しても起きないなら叩き起こせばいいさ」

「叩き起すのか…」

「私もまだまだ言いたいこともあるから」

「なら、成り代わっていた者が目覚めるまで飲み食いしながら話し合いをしましょう。私達はキグルミ着てるサニカ先生とは初めましてなんですもの」

「アタシたちも協力するからパーッとやりましょ♡」



ポーリアが提案してラブナシカがその案に乗って立ち上がると島民たちの影に入っていたフリルデーモン達が影からゾロゾロと出てきてテーブルや椅子を用意し始めた。


島の子供たちは全員「えっ…影の中にラブ先生の配下達が居ただと…!」と戦慄したがフリルデーモン達は島の子供たちに対して「あたし達は何も見てないわ」とウィンクしたがプチパニックが起きた。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 




歓迎会が始まる頃には落ち着きを取り戻し飲み食いしながら話し合いをして盛り上がった。



「なかなかワイルドに生きてきてましたね」

「一時期に狙われたときに宿屋に泊まれないから拠点を各地に作ったけど、その世界の強者達が拠点を見つけるから、どんどん増えてく増えてくを繰り返して数百個の拠点を各地に作ったら【秘密基地職人シークレットベース・クラフトマン】って言う通り名が付いたよ」

「秘密基地職人www」

「私の拠点はその世界の旅人たちから旅の目印にされたりして使われだして使用料を銀貨1枚に設定したら儲かって大金持ちになったとさ」

「それで白金貨をあんなに持ってたのか」

「まぁ…この世界に戻る前に権利を信頼出来る強者に渡しておいたけども。私をストーキングしてた守銭奴に目をつけられるだろうから一悶着ありそうだけどもう関係ないからね」



ルウカはもしかして高級志向の居酒屋での後に荒らされた拠点を移動したのって…と思ったが考えるのをやめた。

すると成り代わっていた者が目覚めたと騒ぎ始めたのでルウカ達も立ち上がりそこへ向かって行った。


宝石人はゆったりと椅子に座っていたがサニカ達が現れると体をカチーンと固まらせた。



「ここに居た2000年の記憶もあるようで………体調とかも大丈夫そうだね」

「ひぇっ」

「ちょっ…サニカさん…!」



サニカはズケズケと宝石人に近づいた。



「名無しのままじゃ色々問題あるから自身で名乗りたい名前ある?」

「えっ…」

「ないならいくつかの候補を出すけども」

「……こっ殺されるんじゃ…」

「コロすもなにも君は島の子供たちを守り慈しんで受け入れられた。さらに君は新しく新生できたし、被害を受けたの私だけだから」



サニカの話を聞いた宝石人はジワっの涙目になった。子供たちはその様子を見て安堵していた。



「罪はコレから償ってもらうけど」

「……………………」

「それで名前はどうしたいの?」



ラブナシカも近づいた。



「……名乗りたい名前はない……命のないただの靄だったから…」

「なら、アナタが目覚めるまでの間に考えた名前から決めてもらおうかしら?」



ラブナシカが名前の候補と苗字の両方を名無しの宝石人に差し出した。

サニカはラブナシカに宝石人の事を任せてタヌ治郎達の元に向かった。



「治郎達、答えを聞かせてもらっていいかい?」

『うん…譜月以外の僕たちはサニカの従魔には戻らない。このまま宝石人となった者に着いてく事にしたよ』

「…わかった」

『無理にでも再契約するって言わないのですか?』

『エルシィはそう言ってほしいのかい?』

『……そうではないですが…』

「……コレからこの島で一緒に生活していくことに変わりはないからね。困ったら手伝ってもらえば良いから」

『確かに』

「馬車馬の如く働かせるから宜しくね」

『ひぇー…ミー達の活躍の機会が裏方になることで減りそうだにゃ』

「君たちは私達が見えないところを見てくれてる、コレからも頼むよ」

『任せてもらおう』


蓬がサニカの肩から離れて譜月の側に向かった。


『先輩よろしくです』

『うむ、よろしく頼むぞ』



サニカが先に譜月と再契約し直し、タヌ治郎達と共に宝石人の元に向かって行った。



「名前と苗字は決まった?」

「えぇ、決まったわよ」



すると名無しの宝石人は椅子から立ち上がるとサニカとタヌ治郎たちに挨拶した。



「改めて…私は【月見里やまなし紫蘭しらん】と言います」

『おー…名前と苗字が決まったようでよかった』

『それで教師は続けるのかにゃ?』

「……今さっきルウカと島の子供たちと話して教師を続けさせてもらうことになりました」

「全会一致よ」

「そっか」

『それと従魔契約について何だけど』



タヌ治郎達で話しいサニカからも許可を取り紫蘭に付くことを話した。



「……良いの?」

『サニカからも許可を取ったし…サニカの記憶からたくさんの知識を得ていたとしても僕たちは紫蘭が心配でね。

それにサニカにはしっかり者の新しい従魔と譜月が居るから大丈夫だよ』



紫蘭はサニカを見た。



「治郎が言ったように私は昔の力を取り戻したし、困ったら手伝ってくれると言ってくれたから。無理やり再契約したところでお互いに嫌な思いするだけだからな」

「ありがとう…」

「アタシ達が証人になるから従魔の再契約し直しなさいな」



紫蘭はタヌ治郎達と再契約がなされた。



「改めまして……コレからも宜しくお願い致します」





こうして黒い靄だった者は新たに命を宿し、宝石人としてクレイバール島の島民たちに受け入れられ新たな島民となったのであった。



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