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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
348/569

ザウルス✕成り代わった者

【クレイバール学校】



《理科大部屋》



「…ルウカ先生がぬめぬめリザードマンを持って帰ってきてた…しかもモザイク処理までしてる」

「持って帰って来た理由は新種なのか調べるためだが玖寿がこの間モンスター図鑑を読んでただろ?粘液まとったリザードマンについて書かれたページ無かったか?」

「ぬめぬめリザードマンは載ってませんが…ルウカ先生が持ってきたリザードマンなら載ってました。

確かシーサペントと川のリザードマンが交配した種だそうで鱗の色が通常色の緑ではなく赤色の鮮やかな鱗を持つそうです」

「モザイク処理かかっても鮮やかな赤色ってわかるな」

「あとはサーペントリザードと言う名前が付いてるそうですよ」



ルウカが玖寿の話を聞いて「そうか…載ってたか」と少し残念そうにした。

キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。



「あっ最後の6時間目のチャイムが鳴った」

「ならもう帰る準備だー!お前ら帰るぞー!」



ガラガラとレンカが勢い良く理科大部屋の扉を開けようとしたが何故か開かなかった。



「あ~…お前たちかなりの緊急事態だ」

「「「「「「えっ」」」」」」

「今回はお前たちは動くのをやめたほうがいいぞ」

「それってどういう事?」

「…この島で久し振りにとても愉快な事が起きるってことだ」



子供達はルウカの見たこともない笑みを見て身震いした。



「それにラブナシカの指示でお前たちの親も学校に向っているからな。今この島で安全な場所はクレイバール学校だ」

「どうしテ?」

「この学校の周辺を異界の強者の結界術が込められている魔石を使ったから宿屋レベルの守りがあるからだ」

「………ルウカ先生たち…もしかして」

「まっ来るべき時がきただけだな」

「来るべき時がきた?」

「母上たちが来たね…」

「父さんはクーナとクートを両脇に抱えてます…」



島の大人組もそれぞれに大切な物を抱えて学校の方に来ていた。



「それにフクコも足を使って錬金釜を持ってる…」

「おれの所の木彫りの鷲のトリヲも母さんに頼まれたものを持たされているよ」

「さてと…オレはお前たちがしばらく過ごす部屋を組分けしてくるから玖寿たちは親たちが集る予定の会議室に向かって無事な事を知らせに行ってこい。

…かなり前に起きたダンジョン化とかは絶対に起きないと断言できるから心配するな」

「はい」



子供達は返事をしてからバタバタと理科大部屋から出て行ったのとすれ違うように人に化けたベルネクローネがやって来た。



「子供が少ないのに学校を大きく作る必要あるかとこの世界を訪ねてくる強者に言われてたけど…こう言う時の為に作ってたりするの?」

「あぁ、部屋数が多いとどこに誰がいるとか撹乱したり隠れたり逃げたりする為の時間を稼ぐのに使えるからな」

「部屋の組分け票は?」

「実はもうラブと一緒に決めているからクローネも会議室に行って渡して来てくれ」

「……サニカ?とザウルスには知らせてるの?」

「ザウルスの提案で知らせないことになってる。島の子供たちが人質に取られたら面倒だからな」

「そうね…ルウカとラブナシカは行くの?」

「おう、オレとラブははやし立てに行ってくるぞ」

「悪趣味ねぇ〜」

「ザウルスがどのように決着をつけるか気になるからな」

「……あたしも行きたい気持ちあるけど…邪魔になるわよね」

「死に戻りしてもいいなら行けるぞ」

「ようやく復活出来たんだから行かないわよ」

「…クローネ、オレが飛び出したあとすぐに窓を閉めてくれ」

「わかったわ」



ルウカはベルネクローネに書類を渡してからガラガラと窓を開けてそこから飛び出した。

※ほんとに危ないので真似しないでね。


ベルネクローネはすぐにでも窓を閉めて理科大部屋から出て鍵をかけてから会議室に行ったのだった。



















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【星明かりの森】



《星の泉》



星の泉の木々に数多のクナイが刺さっている。

泉の近くで成り変わりは手足を折られ地に伏せていた。

ザウルスはどこにも傷がなく宙に浮きながら成り変わっている者をジッと見ていた。



「っ………はぁ……」

「残念だったね、私に成り変わってどうだった?この2000年の時をこの世界で過ごして楽しかったかい?」

「どうして…そこまでの力は無かったはず…」

「事情が変わってね…大切にしていた記憶だけは戻せなかったけど極めた魔法やらは取り戻したよ」

「魔法使い…の割に…」

「遠距離でしか攻撃できない軟弱者と脳筋の強者に言われいるけど…極めた魔法使いは自分自身が武器そのものだと理解して戦い方も変わってくるから近距離でも戦えるのさ」

「…ならっ!」

「魔法の鎖か……よく出来てるけど私を縛るのには…属性の純度が足りなすぎる」



ザウルスは魔力のハサミを作り、成り変わっている者が作り出したザウルスに巻き付いている魔法の鎖を断ち切った。



「!?」

「コレもチョチョイと簡単に切れるものさ…一方的に仕返しして悪いね」



ルウカとラブナシカが現れた。



「あら〜…成り代わりサニカがボロボロになってるわ」

「成り代わり……君たちはいつから気づいて…?」

「オレはお前さんに異界に飛ばされてそこにいるザウルスと出くわしてだな」

「アタシが確信したのはザウルスの育てた【宝石花の鉢植え】を見つけてからかしら」

「宝石花に関してはやっぱり…捨てて置くべきだったな」

「でもなんとなくだけどもしかして…とサニカじゃないっていうのはなんとなくだけど気づいていたの」

「えっ」

「…イメージチェンジしたのかと明らかにアタシ達の知るサニカとかけ離れた事をするんですもの。

要素は3つ。まず1つ目は絶対に眼鏡を外さないと言っていたサニカがコンタクトに変えたこと、2つ目は社交的になった、3つ目はオシャレさんになったことかしら」

「(女の勘は凄いな…オレは全くそういうのを気にしなかったぞ)…それで決着は付いたのか?」

「いやまだ完璧には付いてないよ。コヤツをどうするか決めかねててね」

「決めかねるってどういう事?」

「殺すか追放するか…悩んでいるんだ」



ザウルスの言葉を聞いてルウカとラブナシカはふ~んと言う感じである。



「君達が来るまでにジャーマンスープレックスとキャメルクラッチは入れておいたけど…」

「それにしてもどうやってココまで追い込んだんだ」

「杖を使わずにこの森に被害が出ないように濃縮させて殺傷能力を高くした初級魔法を使いながら素手と足でダメージを蓄積させたよ」

「ここまでとは…」

「ザウルスも強者だからな。この次元での強者は体術を使えるようになることから始まるからな、成り変わった方も出来るだろうに」

「……抵抗できなかった」

「まぁ…この世界から離れて危険がいっぱいの世界で2000年も過ごしていたからな」



ザウルスは成り変わりの方にソロリソロリと近づいた。



「…………私から2000年の時を奪った責任を取らせる何か良い方法はない?今の私ではガチの痛めつけるのしか浮かばないから」

「……ならもういっその事もう一度だけ殴り合いすればいい」

「えっ」

「ならココにプロレスリングを作りましょうか」

「そこでなんでプロレスの話になるの」

「ストリートファイトだと色々問題あるじゃない?プロレスならある程度やったとしても法に触れないでしょ」

「まぁ…成り代わりの化けの皮を剥がす為に参ったと言わせないとだからね」



ルウカとラブナシカはせっせとプロレスリングを作り、数分もせずに星の泉のちょうど中心にプロレスリングを完成させたのだった。



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