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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
345/569

ドラフェニックスが爆誕したが契約を断固拒否する。

【召喚雷雲】



「GAOOOOOOO!」



ドラゴンゾンビとなった紅蓮龍はその怨念をサニカと蓬に向けて咆哮として浴びせた。



『ひっ!………サニカっ』

「………大丈夫」

『へっ…もしかして隠し玉を使うです?』

「それも必要なくなったかな……杖よ現われよ」



すると何処からともなく古い短杖が現れた。



「この杖を呼ぶのは久し振りだ……それこそ数万年振りか。

さてどの魔法を使おうかな…やっぱり無詠唱にしようか、若かりし頃と違って羞恥心が出てきてるし」



サニカが蓬を肩に乗せているとドラゴンゾンビが瘴気を纏ったブレスを吐いたが、サニカが円を描くように短杖を振るとサニカと蓬が霧状の結界に包まれ、ブレスがそのまま突然引火してドラゴンゾンビの口を焼いた。



『わたち達にはブレスと炎が効いてないわ!』

「守りの霧を使って誘導が上手く行ったからね」

『凄ーい』

「うん、やっぱり魔法は素晴らしい技術だ」



ドラゴンゾンビは痛みなど関係ないと両手を自らの意志で千切りサニカ達へ飛ばしたが届くことなく飛ばした両手が青い炎によって塵となるまで燃やされた。

不死鳥種を食べていた影響なのかすぐさまドラゴンゾンビの両手が復活しゾンビ化の影響で両手が溶け出した。



「不死鳥種を食べていた影響でやはり炎は効かないか、多分だけど聖なる光も効かないよね」

『えっ…ゾンビ系統は炎と聖属性以外の弱点ってあるの?』

「場合によっては骨や溶け出した肉とかを全て無くなるまで溶かしてしまえばいい。

もし溶けきれずに残るなら違う工程をするんだ」

『長くなりそうなのー』

「弱点がない輩との戦闘はほぼ持久戦だからね」









3時間後…。











『………なんかドラゴンゾンビが変化したわ。グロい見た目から元の龍の姿に…』

「しかも翼と数カ所にフェニックスの特徴が出てる……私、再生させるようなことやってないんだけど」

『あの様子だと理性も戻ってきてる』




蓬が言ったようにサニカがドラゴンゾンビを昇天させるためにと30もの工程を繰り返したが、何故か15回目から血肉が溶け出すことがなくなり血肉が出会ってすぐの頃よりもさらに状態がよくなっていった。



『「…………………………」』

『あのー』



ドラゴンゾンビだった龍がサニカと蓬に話をかけてきた。



「あぁ…龍種だけあって意思疎通が出来るんだ」

『なんか…悪かった』

『急に謝ってきた』

『貴殿らが我を昇天させるために、とてつもない程の酸の水や聖水を高濃度に濃縮した水やらを複数回使ったり風化させたり骨ごと消し炭や液体化してから再生するたびに我を蝕む呪いが消え去った…感謝する』

「あー…ソウデスカ…【召喚雷雲】ごとこの世界からいなくなってくれるなら今すぐにでも出ていくけども」

『暫し待たれ「私の従魔を食べた責任取らなくていいから」

『なっ何故…?』

「フィニアとの契約は私が望む世界に帰れるまで側にいると言う契約内容だったからだね。

それに堕竜になる寸前だった君に喰われたからそう簡単に転生できない」

『サニカなら転生させられるんじゃないの?』

「………一応…異界を旅する強者と呼ばれるけど……フィニアにもお世話になったから話を聞くぶんには良いか」 



サニカは陣を描くのに失敗しないようにオートモードに切り替え短杖を筆ペンみたいに扱い召喚陣をスラスラと召喚陣を描いた。



『オートモード…しゅごい』

「…………コレでよし」

『サニカは自力で描かないの?』

「ココで失敗したら何が起きるかわからないからね」

『そうね』

「それじゃ呼ぼうか」



サニカが召喚陣を発動させると霊体となったフィニアの魂が現れた。



『あら…目の前に…それにサニカたら力が増してますわ』

「私が捨て去ったはずの力を取り戻したものでね」

『…わたくしとの約束は果たされたも同然なのですわね?』

「そうだね…自力で帰ろうと思えばもう帰れるから」

『サニカ、一度だけ実体化させてくれないかしら?やりたいことがてきましたの。

それだけやったら穢れた魂の修復の修行に向かいますわ』

「……わかった」




サニカが短杖を使いフィニアを実体化させるとフィニアは自身を喰らった龍をくちばしで突き始めた。



『こんの腐れドラゴン!よくもわたくしに不浄の死を与えやがりましたわね!それに今の姿は何事です!毛を毟られる覚悟はよろしくて?』

『えっ』

『お覚悟!』



フィニアは龍の体の一部がフェニックス化した所の羽や毛を毟りながら地肌を突いた。

フィニアの気が済むまでドラゴンフェニックス(フィニア命名)は突かれ数か所から血が滲み出ていていたが不死鳥を喰らった影響なのかすぐに傷が治り同じ場所を責め立てられ泣かされた。

ドラゴンフェニックスを徹底的に虐め抜くとフィニアはスッキリとした表情になった。



『はースッキリしたわ』

「拷問やってのけた」

『命を奪われたのですから…当たり前ですわ』

「いま外に出ても大丈夫そう?」

『多分…大丈夫だと思いますわ…そこのドラフェニックスは二度と至竜になれるチャンスは訪れないし、元の世界では仲間外れにされて独り孤独に過ごせばよろしくてよ』

『………性格悪っ』

『女ってそんなものですのよ……ではわたくしは次に向かうとしますわ』



それだけ言ったフィニアは未練を残さずにスゥーと消えたのだった。



『それじゃ…サニカ行こう』

「うん」

『我を無視しないで!連れて行ってくれ!独りにしないでくれー!下僕契約でも良いから!』

「どのような契約内容であろうと断固拒否する。世話しきれない数の従魔を持つつもりはないから…ゴメンね」

『バッサリ言った』



サニカは蓬を肩に乗せたまま来たときと同じようにメフィリーネのヌイグルミを大きくして跨り駆け抜けた。

ドラゴンフェニックスもサニカ達の後を追おうとしたがフィニアが残した光の足枷があって追えなかった。



『なっ!あのホーリーフェニックス性格悪っ!!』








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






【侵攻阻止作戦本部】


《司令室》



「………召喚雷雲の消滅を確認しました。それと同時に召喚雷雲からとんでもない程の魔力を持つ者たちが現れました」

「この魔力は忍の魔力で合ってるか?賢者よ」

「あぁ、全盛期の魔力を感じ取ったぞ」

「……力を捨て去った筈では?」

「召喚雷雲の中で何かあったんだろ。どうせさ…忍に関してはコチラに向かって来てるし話を聞けばいい」

「ならそうしましょう。戦力が増えるのは良いことですから……だとすればこの侵攻もすぐさま終わらせられるかも知れませんね……くくくくく」

「あははっ…総司令官様が何か作戦を練り始めたわ」

「表情が完全に悪役の親玉みたいだな」

 



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