仕組まれた侵略と心の体力
【名無しの宿屋】
《エントランスラウンジ(左)》
六匹の鳥型の魔物から手紙を読むためにテーブル席について呼んだが5匹の鳥型の魔物が運んできた手紙の内容は全て同じ様なパターンだった内容は。
自世界に忍の話の内容を手紙に書いて信頼する者の元へ出したら忍と同じことが起きてた。
今はまだこの世界の侵略を止める約束があるから帰れないけど終ったら即効で帰ります。
と書いてあった。
そして最後にこの世界の侵略防衛を担当している異世界の強者からの「手紙」を読んでサニカだけは頭を抱えた。
拝啓 叡智を納めし賢者と忍様へ
貴殿らの働きによりこの世界の数名の強者含め忍殿と同じ状況になったと思われる異界の強者達が秘境の星で多数発見されました。
忍殿と同じように黒い霧によって不老不死のスキルだけが奪われず、強者足るためのスキルを奪われた事により細々と息を潜め暮らしていたとの証言も取れました。
侵略してきた世界の方にも情報を流したことでトップが入れ代わってたことが一部の反体制派から判明しましたが、それを知ってもなお侵略を続けるそうなので終わらせるためにも今後とも宜しくお願いします。
総司令管ルヴィース
「相変わらず本人が書くと字間違いが」
「総司令官の字が管になってる…しかも自分の名前すら間違ってるぞルヴィースじゃなくってルヴィーエだろうに」
「字間違いするだけで他は完璧超人だから心配ないけどもね……書類とかは専属の秘書兼妻が居るから」
「字間違い、絶対にわざとだろ」
「………作戦とかで場所指定された場所の名前が間違ってたりしたら嫌だよね」
「字間違いで激戦区に飛ばされたりな………従魔たちは人化出来ないのか?」
『残念ながらできませんの』
『習おうとも思ったことないですわ』
「どうしてだ?」
『…だって人化した魔物とピーーーとかしたりしているのを見てあんまり良く思ってないの』
「ブフォッ!」
ルウカは飲んでいた珈琲を吐いた。
『そうですの!汚らわしいですわ!』
「ゴホッゴホッ…サニカさん?」
「正しい性の知識を持てばヤバい事に巻き込まれそうだとかピーー野郎とかピーーーの分別が付くようになるから」
『サニカにお腹とか触れられる分は嫌じゃないの』
『性的欲望を持つものに触れられると鳥肌が立ちますの…気持ち悪いですわ』
「異界から来ていた強者のケモナー共め………オレはどうだ?」
ルウカが蓬とフィニアに触れた。
『嫌な感じはしないの』
『んー…特に嫌な感じはしませんわ』
「なら良かった………移動手段はどうしてたんだ?」
「バードグライダーで上空を飛び回ってた」
「バードグライダー?」
「2000年掛けて私がこの世界に浸透させちゃった奴」
「えっ」
『この世界で鳥型の魔物は移動手段や人生の相棒として重宝されていますし、血統の改良もされてますの。
【バードマイスター】と言う運び屋のような職業が浸透してますのよ』
「運び屋のような職業か…下から攻撃とか上空でのバトルとかどうなってる?」
『空賊とかは大丈夫なの。バードグライダーをするときに必ず【護衛石】と呼ばれる石を装着することが義務付けられていて、護衛石が自然と空賊や盗賊などから守る結界を石が張ってくれるので完璧に護られるの』
「あ~…戦争やらには使われてないのか?」
「その辺は心配ないよ。暴力沙汰とかに利用されないようにこの世界を掌握した今回ルウカたち異世界の強者達を呼んだ強者に権利とか全て渡してあるから」
「………この世界は勇者した強者によって掌握されてる世界の方なのか」
「掌握されてる方の世界だね」
(もしかして侵略する世界に選ばれた理由って……)
ルウカは複雑そうな表情をして新しくサニカ?が入れた珈琲を飲んだ。
「戦いが落ち着いたら後でバードグライダーが盛んな街まで案内するよ」
「おう」
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【クレイバール島】
《島一番の大きな水田》
「はぁ~…助かったわ。自力で抜けようと思ったんだけど何故か抜けなかったのよ。父さんが通りかかるまでこのままかなって思ってたところなの」
「それならここに来て良かったわね」
「ほんとにねー」
「ねー」
ピナは水の魔法を頭上の上に描き滝行のように行い泥を落としていた。
「このまま家に帰って風呂に直行しなきゃ」
「今日はどうやって真ん中に頭から突っ込んだの?」
「いつものように転がって頭から水田に突っ込んで自力で抜けてから今年分の蓮根の苗の様子を見ていたら、いきなり背後から衝撃が来たのよ。
魔力感知する暇がなかったわ、空気を確保するのに精一杯だったから」
「そうなの……それで今年の蓮根はどう?」
「今年も土の状態が良いから良い出来になりそうよ。魔物がやって来なければね」
「………最近、結界の具合が悪いものね…子供達に本格的な戦闘訓練を施さないとかしら?」
「魔法で太刀打ちできないのもいるものね」
ピナとラブナシカが話し込んでいるとラブナシカの服を軽く引っ張り目をキラキラさせているクーナとクートがいた。
「アナタ達の訓練はまだしないわよ」
「「えー…」」
「うふふふ……ふたりは体力作りからしないとね」
「……そっかー体力ないとダメだもんね」
「おれっちたちは島をはしり回れるよ?」
「命をかけた戦闘ともなればまた違った部分の体力が必要なのよ?」
「それって何なの?」
「心の体力って言うのよ」
「こころの体力…」
「精神力とも言うわ」
「はしり回れる体力のほかにもひつようなんだね…」
「なら明日は心の体力を鍛えてみる?」
「「いいの!?」」
「退屈かも知れないわよ?」
「「それでもやる!!」」
「一度、ラブちゃんに精神力を上げる指導してもらうのもいいかも知れないわね」
クーナとクートはワーイワーイとはしゃぎ、その様子をラブナシカとピナは微笑んで眺めていた。




