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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
341/569

飴ちゃん

【無敵の宿屋】


《食堂》


「今年は飴ばかりですね」

「マドレーヌとか作らなかったな」

「今年のバレンタインデーがアレだったからお返しはコレでいいんだよ」

「サニカ先生が結構なシビアなこと言った」

「マドレーヌとか食べたかったら君達の父親たちが今、学校でお菓子を作っているから貰って食べなさい」

「変なのがありませんように」

「これまでお菓子になにか仕込むとかだけは男子たちはやった事がないから大丈夫だよ」

「だと良いけどな…」

「それとサニカ先生……フルーツ飴を味見していい?さっきかはフルーティーな香りがしててさ…」

「そう言うと思って結構なフルーツの量を確保してあるから食べると良い、温かい水飴もまだまだあるから」

「わーい!」



サニカは子供達がワイワイガヤガヤとフルーツ飴をパクパク食べているのを見ていた。



「あら〜今年はフルーツ飴なのね♡」



ガチャっとドアを開けてラブナシカが入って来た。



「ラブか…大人組と焼き菓子を作っていたんじゃないの?」

「それがアタシが居るとソワソワするから出て行ってって言われたの〜!」

「真っ赤なフリル付のエプロン着てるからじゃない?」

「だって、コレがアタシの勝負服なのよ?」

「勝負服…」

「ラブ先生が追い出されたのって多分だけど…露出が多い服の上に真っ赤なエプロンを着てるからじゃない?」



日葵がフルーツ飴をもぐもぐと食べながら言った。



「こら、日葵。食べながら話をするんじゃないのよ」

「へーい」

「それでラブ先生、父ちゃん達のお菓子どうだった?」

「どうだったってな~に?」

「何か変なのとか入れてませんでしたか?」

「今年はハーブ入りの焼き菓子を作るんだって言ってたわ。美味しそうな匂いがしてたから平気よ」

「ハーブ入りの焼き菓子…」

「あら?もしかしてハーブが苦手だったりするのかしら?」

「んにゃ…大丈夫だけど匂いが強すぎたり…その…バン○リンみたいな味がしたら嫌だなって」

「………考えもしなかったわね……ハーブ入りの焼き菓子ってもしかして初めて作るかしら?」

「……………私が見てきた中で初めての取り組みじゃない?」



ラブナシカとサニカはお互いに顔を見合わせたが。



「きっと味見とかするからホワイトデーパーティーに出す焼き菓子に関しては大丈夫だよ」

「そうねぇ…ラベンダーだけを使うだけで済んでいるといいけど…」












◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇










【エペ・レル・ウィリス世界】



《野営地》



「………皆様、ご苦労様でした。こちらの被害は建物だけで済んだので後はコチラで直したりしますので次の侵略防衛の時まで自由行動としましょう」

「あ~…あと地球だと今日はホワイトデーだったかにゃ?恋人がいないかわいそーなオメェにゃ達にこの【揺蕩たゆたう艶猫】ちゃんから飴ちゃんのプレゼントにゃ」



男女関係なく飴ちゃんが配られた。



「(何の成分が入ってるか分からねぇから後で調べよう)ありがとう」



受け取った者たちは感謝の言葉を述べた。



「それにしても……総司令官、アタシ自世界に帰りたいからさっさと攻め込まないかにゃ?」

「全戦力を送って30分で決着が付くなら全戦力を送りますけどそうはならないでしょう?」

「一応、向こうにも強者達が居るから無理だなー」

「せめてあと一ヶ月までには帰りたい」

「そうですねー私も書類作成してくれている妻と自世界に帰りたいです」

「はっ……リア充爆発しろ」

「嫌です〜」

「何かイラッてきた」

「アナタ達も強いのですから養うだけの余裕ありますと恋人募集中と宣伝すれば良いじゃないですか」

「それだとヒモ野郎がよってたかって来るのよ……スパダリなんて小説の中だけよ…もしかしたら中にはスパダリが居るかもしれないけど…そんなの1割も満たないわ」

「家事とかチョチョイのチョイって魔法で簡単に出来ちゃうけどなんか嫌なのよね」

「オメェにゃ達は男嫌いだからにゃよ」

「貴女だって独り身じゃないの」



すると書類作成していた総司令官の妻が書類を持って仮設テントから出てきた。



「はい、そこのキャットファイトが始まりそうな3人ストップ。落ち着きなさい」

「書類作成、終わりましたか?」

「えぇ、終わったわ。コレから本拠地に届けに行けば今回の市街戦の後始末は終わりよ」

「流石、仕事が速いな」

「当たり前じゃない」

「二人だけの世界に入らないでくれー」

「あっ…ごめんなさい。今回の手当を受け取って頂戴」



総司令官の嫁が今日分の手当が入った袋をアイテムボックスから出してそれぞれに配った。



「それじゃ、次もお願いします」

「オレ達も行くか」

「うん」





強者達は蜘蛛の子を散らすようにこの場から離れて行った。
















【神秘の沼地の拠点】


《一番奥の部屋》



「今日は直ぐに終わったな」

「そうだね早いね」

「もうそろそろ帰れると良いな」

「………ソウデスネ」

「何を緊張してるんだ?」

「…島に帰っても初めましてになるから少し」

「大丈夫だろ。もし無理だったら離れ小島もあるからな」

「………うん」

「所でいま着てるキグルミのモデルは?」

「柴犬………ホワイトデーのお菓子食べようか」

「そうだな」

『わーい、ヨモギ団子だ〜』

『和菓子と洋菓子どちらを食そうか悩みますね』

「ゆっくりお食べ」

















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【クレイバール学校】



《ホワイトデーパーティー会場と化した校庭》



「どうしてこうなったんだろう…」

「今年はチャレンジは失敗だったわね」



ラブナシカとサニカの目の前には大人から子供までお菓子を半分食べて倒れていて湿布の臭いが充満していた。



「最初は爽やかなハーブの匂いで良かったのに」

「アタシ、ここ最近は何もしてないわ」

「うん、それは知ってるけど……介抱したり…片付けようか」

「そうね」






後々になってどうしてこうなったか発覚するがそれはまたの機会に。


※皆さんはちゃんとした合法なお菓子を贈ろうね!


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