怒涛の展開
【新クレイバール学校】
《3階の廊下》
「悪いね、治郎」
『仕方ないよ…特級のスキル封じが学校全体に掛けられてるし…それにしても完璧超人なサニカがスキルを封じられると世間一般的な地球人になるもんね』
「普段から自動で発動している異世界のスキル万々歳だよ…生まれ持った運動神経やらはどうにもならないからねぇ。
土日はなるべくスキルを使わないで自力でやってるけど……ルウカが完璧超人過ぎるんだよ」
『サニカは…うん、並大抵だから大丈夫だよ?』
「………励ましてくれてるけど最後のハテ
ひとりと一匹の横をすぅ~と首だけの人形が通り過ぎていった。
「………………………」
『ボクの術が使えてよかったよ』
「……純粋な悪意に順応して勝手に人形やらが刃物と殺人衝動を持って動いてる」
『襲われる前に先を行こうか』
「うん」
《家庭科室》
カンカンとガベルが振り落とされ判決が出た。
「被告人エトシェリカ・ハープノーディストを有罪と処す」
「裁判長、控訴します……」
「わかった。だか一応有罪となったからには他の女子や男子達と共に次の裁判までこのタスキを装着してて貰うぞ」
「はい…」
エトシェリカは不服そうにしながらも有罪と書かれているタスキを裁判長の真似事をしているルウカから受け取り装着した。
「さてと…お前らも結構イタズラなり色々してるなー喧嘩を吹っ掛けた数名の男子にも有罪タスキが着いてるし」
「当たり前じゃないノ、やられっぱなしのあたし達じゃないわヨ」
「お前らのお陰で料理の好き嫌いが激しくなったけどな」
「なら食べなければ良いじゃない」
「それとこれとで色々あんだよ…食べなければ食べないでとある人に文句言われるし」
「誰よそれ」
「言ったら更に面倒になるから言わねぇーよ」
「何よ?」
「こらこら、ヒートアップするんじゃない」
「べつにヒートアップしてないですぅ」
「売り言葉に買い言葉ですね」
「玖寿は独りよがっむぐッ」
『はーい、ストップしようねー』
突然現れたタヌ治郎によって莉糸の口が塞がれた。
「治郎……一匹で来たのですか?」
『ううん、サニカと一緒に来たよ』
「えっ」
『ほら』
すると裁判長席の方からぐぉぉ……と言う声が聞こえた。
「まさかこんなに早く来るなんてな」
「そろそろ子供達が長年溜めているであろうストレスやらが爆発する頃だろうと頭の隅にあったからなりふり構わず来さ」
「それにしてもスキル封じを学校全体にしてあるのに良くぞここま「スキル封じはやっぱりオメェが犯人だったかコノヤロー……私を何でもかんでも出来るオメェと一緒にしないでくれる?」…おっおう」
「サニカ先生がルウカ先生の髪を…玉ねぎの収穫してるみたいになってる」
「…………そもそもどうしてこうなったんだい?」
「それはだな…」
「うん」
「最近、【混合獣】とかの出来事はあったが人間関係…久し振りに人と人がぶっつかり合うのが見たかったから煽った」
サニカはルウカに対してありったけの呪符をペタペタ貼って「なら好きなだけ暴れて来ればいい。丁度、とある世界から欲望に塗れた異世界から侵略されてるから助けてと要請があったから」と言った瞬間にフッと消えて行った。
「さっサニカ先生…?」
「ん?なんだい?」
「ルウカ先生は何処に?」
「最近、調子に乗ってるとある世界が強者達がいる世界に宣戦布告しててね。
宣戦布告してきた世界の輩を徹底的に潰す為に手伝ってくれないか?とか来てたからそこに送った」
「そっそう…」
「陰謀などの権謀術数が蔓延る所に送ったから満足して帰ってきてくれるんじゃないかな?」
「ひェ〜」
「有罪タスキを外して言い合いになった原因とか…お互いに譲れるところまで話し合わない?」
「……………………今は嫌」
「そっか…なら解散するにはどう?」
「別に良いわ」
「俺も解散するには良い」
「他の子供達は?」
全員、家庭科室にある時計を見て家に帰るといった。
「結構な時間を過ごしてたのね……もう夜の8時だわ…」
「サニカ先生…表玄関から帰らないとダメです?」
ディーシェが言った事でサニカ含む子供達も家庭科室のドアを見た。
するとマジックミラーのガラスに人形が沢山映っていた。
「ひっ!」
「人形の館の人形たちか!」
「違うよ」
「えっ?」
「マジックミラーに映っている人形は君たちの憎悪と罵倒した言葉とルウカの土魔法によって作られた物だよ」
「我らの悪意と言葉…」
「……………表玄関に行くの?」
「家庭科室の校庭に続くドアから行くよ。そろそろ君たちの両親たちが学校を包んでいる蔓や蔦を排除するのに当たってくれてるだろうから、それまではここで過ごすしかないだろうね」
するとガタガタ!と家庭科室のドアのマジックミラーに映っている人形たちが驚かして来た。
すると女子は女子で固まり、男子は男子で固まった。
『ぷくくっ……大丈夫だよ、有事の事を考えて作られてるんだから安心でしょうに』
「そうだけど…雰囲気がな」
『まぁ…人形達の顔怖いもんね』
「刃物持ってる人形なんてマジックミラーに突き刺してるわ」
「ゾグってきたぞっ」
カタカタ震えながら蔓や蔦が排除されるのを待っていたがついにその時が来た。
ジョキンッと蔓や蔦が切られたが校庭側に続くドアのガラスに映ったのは……皮膚が爛れ手足が変なふうに曲がり骨が皮膚から飛び出しているゾンビの様な者だった。
「「「「「「「「「「ぎゃぁぁああああ!!」」」」」」」」」」
子供達がパニック状態に陥ったのを見てサニカと治郎は冷静でいられた。
「治郎」
『うん…コレはヤバいね』
「先生!先生!宿屋のドアを召喚して!!」
「今は無理なんだよ」
「何でっ!!」
「ルウカがスキル封じをこの学校全体に掛けてるから」
「あんのダメ教師っ!!こんな時にっ!!」
「治郎、今はまだアレは中に入ってこれないよね?」
『今はまだ入ってこれないけどあと一時間もすれば入ってくると思うよ』
その言葉を聞いた子供達は絶望感にまみれ立っていられなくなった。
『サニカ、どうやって宿屋に行くの?』
「正面突破したいけど今の私だと無傷では居られないよね」
『そうだね、無理だろうね』
「でもまさかコレが現れるなんてね」
『ホントだよねー』
「先生たちっ!ふざけないでくださいっ!!」
玖寿がかなり珍しく大声を出したが。
「仕方ないだろう?アレは私や島の大人達ですら排除するのにかなり手を焼くんだから…せめてパニックにならないようにしているんだから」
『ははっ、玖寿がこんなに大きな声をだすなんてね…サニカ、アレはこの学校の中でしか活動できないのかな?』
「治郎、空を見上げてご覧よ」
『…やっぱり魔物が発生するようになった影響がクレイバール島にも出てるね』
家庭科室のガラス窓から空を見上げると大きな字で「先生、子供達スマン!学校に行きかかったけど警備隊ですら手を焼くのが出たから行けないっ!サニカ先生!頼んだ!」と言う文字が描かれていた。
「そっそんな…母ちゃんですら手を焼くのが出たのかよ!」
『レンカ達の目の前にいるじゃん』
「ねっねぇ、治郎はあのモンスター知ってるんじゃない?」
『知ってるけど…聞いてパニックにならないでよ?目の前に居るのは【アニラム】と呼ばれる死霊系でも最上位であり出会ったら確実に死ぬと言われ、異界の強者達ですら手を焼く魔物だよ』
「うん、大正解」
「なら!ルウカ先生を異世界に出したの失敗だったんじゃないの?!」
「あー…ルウカは【アニラム】系統に限ってトラウマ持ちのポンコツになるから居たら居たで余計なことして状況が今よりも悪くなってたよ」
子供達はふたりの会話を聞いて更に体が動かなくなったのだった。




