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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
330/569

豆まき×凶悪と料理×ブラウニーのイタズラ

【クレイバール島】



《中心街》



「思ってたのとなんか違うわ…」

「でもパルクール出来る大人達や子供達はとても楽しそうに豆をぶつけ合ってるよ」

「……豆まきって鬼は外福は内ってやるだけの筈なのに雪合戦みたいになってるな…」



中心街で行われているのは豆まきの筈なのに小さな豆を使い、まるで弾丸の如く魔法やらを応用して撃ち合いしていた。


白虎はサニカとラブナシカがお豆合戦を観察している場所に向かい避難していた。



「うおっ!」



とてつもない早さの豆がビュンっと勢い良く飛んできて建物や地面、街路樹にめり込んでいる。

俺が避けきれなかったのは先生がフライパンで弾いてくれた。



「怖ぇー…豆がめり込んでる…当たったらただじゃ済まないないよな…」

「体を鍛えていない子は確実に骨にヒビが入るでしょうね…豆合戦から避難してるの他にもいるわね」

「血を出せば強制的にドクターストップが掛かるからそうなるだろうけど、ラタムが豆の弾に当たって倒れている怪我人を回収するのに手間取ってるみたいだね……手伝ってくる」



サニカが怪我人の回収を手伝うために豆の弾が飛び交う中に入っていった。


ビュンっビュンっと凶悪な豆の弾が飛び交う中でハイビーストの姿に変化しているラタムは怪我人を回収しているが凶悪な豆弾が結界を張っていても通り抜けて来るので怯んでいる。




『いったッ!!何こレ!?どっかラ、どっから飛んできてるノ?オイラが回収してるの知ってるよネ!

それともヒートアップして誰も彼も関係なく撃ちあいしてるノ?!』



少しずつ慎重に怪我人の所まで進んでいたがまた豆の弾が飛んできてラタムに結構な数が直撃した。



『あたたたたッ!痛いからッ!結界を通すやり方も止めてよもウ!ホントにどっから来てるんダ!?』



だが豆の弾が止むことなく倒れている怪我人に当たりオーバーキルになりそうなところにラタムが急いでやってきて覆い被さり豆弾が直撃しそうになったが妻のロディンナがとても素晴らしいタイミングでやって来て豆弾をサーベルを使い全て捌いてみせた。



「大丈夫かい!ラタム!」

『ロディンナ!助かったヨ!』

「それにしても恐ろしいね、誰がこんな豆まきを考えて実行に移したんだい?」

『ホントだヨ!結界すらすり抜けてくるし地味に痛いしここ最近で最悪の豆まきだヨ!』



そこにサニカがやって来た。



「どうやら大丈夫なようだね」

『あっサニカ先生が来てくれたッ!』

「ロディンナは怪我とかしてないかい?」

「アタシは平気さ」

『サニカ先生!どうなってるノ?!今回の豆まキ!』

「とある鬼人さんが来ているからね…その鬼人さんと【星あかりの森】で戦っているルウカ達が投げている流れ弾がここまで飛んで来てるんだと思う」

『こっちまで巻き込まないでヨ!ってよくここまで届くナ!』

「ラタムがぷりぷり怒ってる、星あかりの森で罠をギミックとして使い結構な人数を一人で相手してるよ」

「……この島の島民達はアタシが見てきた中でも強者だと思うけど、それを一人で相手してるのかい…はは」

「そろそろ昼になるからルウカVS鬼人になってると思うよ」

「…今日は怪我人が多く来そうだなァ…はァ~…ウチのじーさんも行ってるシ」



いつの間にか人の姿に戻ったラタムが怪我人レンカを手当していた。



「レンカはここでダウンしたんだね」

「その他の男共は森の方だね…行ってきた方がいいかい?」

「いや行かなくていいよ。ガチの危険地帯になってるから」

「アタシは血の気盛んだと思っていたけど…森の方を見たら行きたくないと本能が告げてるわ」

「そういう時は本能に従ったほうが得だよ」

「そうみたいだね……ラタム。帰って怪我人が一斉に来ても大丈夫なように準備しとこうじゃないか」

「レンカはこのまま連れて行くヨ」

「うん」



レンカを小脇に抱えてラタムとロディンナは病院に戻っていった。

サニカは白虎とラブナシカの方を向くと森の方から飛んできている豆の弾を避けているようだった。

サニカはそんなふたりを伴い恵方巻きを作っている女子達の元に向かって行った。




















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【星あかりの森】



「貴方も諦めの悪い方ですね」

「冥界の使者とやり合えるなんてなかなかないからな」

「クレイバール島の島民達の強さは充分じゃないでしょうか?ここまでやれたのですから」



ルウカ、とある鬼人様の周りには血の気が多い男たちが転がっていた。



「いったいのう〜…鬼人様は容赦してくれないのう〜」

「当たり前です」

「こりゃあ…肋骨逝ったな〜」

「祖父さんたちははしゃぎ過ぎた……金棒が諸に入って悶絶しているメルゴさんと地獄突されて悶絶しているロルスさんに比べれば軽症だ…あー悔しい…まさか足を持ってかれるとは…」

「鬼人よ場所を変えて第二回戦と行こう」

「良いでしょう。泣きっ面になっても知りませんよ……(コレが終わったらさっさと用を済まして帰りましょうか)」







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇















【クレイバール寄合所】


《板の間》



「あんじゃこりゃー!」



恵方巻きとケーキを作っていたのであろうが何故か食材がそこら中に散らばり子供達も含めて大人達と共に倒れていた。



「フルーツケーキもなんかグチャグチャに…よく見たら生クリームも壁とか床にバラ撒かれてる…」

「なんかお酢の匂いがきついわね…ホントに何があったの?」

「あ……サニカ先生……」

「玖寿!大丈夫なのか!?」



白虎はヤバい光景に呆然としていたが顔だけ上げた息子の側に駆け寄った。



「何があったんだ!」

「クー達が悪いの…」

「へっ」



母キユクの側で倒れていた双子がぷるぷる震えながら起き上がってきた。



「クーナ、クート…どういうことだ?」

「えっとね……」




クーナとクートが寄合所で暇つぶしのために地球の動画を見ていてとある動画が目に止まった

その内容は【とんでもない所で料理をしてみた】という内容で目をキラキラさせて見ていたそう。

そこでクートとクーナがこんなことが起これば楽しそうだと呟いた。

すると寄合所に変化が起こった。


まずはフルーツを運んでいたルフェルニカとラローネルがどんなに歩いてもランニングマシンの上を歩いているようなりこの板の間にたどり着くことができなかった。


次の変化はケーキのスポンジを切っていたエトシェリカとイオンに変化が現れた。

エトシェリカとイオンの足元が何故か固定され自動的にテーブルの周りをくるくると周りだし「ケーキのスポンジがー!」とか「ケーキが千切れたぁ!」とか叫んでいたが近くにあったホイップクリームと既にカットされたフルーツを回転に負けてたまるかー!という気合とともに乗っけていたそう。

それでグチャグチャのフルーツケーキが机の上にあったのである。


他の子供達と大人達も同様な事が起きた。その結果が白虎達が見た光景であった。



「ふははっ」

「うふふふ…それでこうなったのね」

「先生?ラブナシカさん?」

「この寄合所にはね【家神】と書いてブラウニーという精霊が住み着いてるの。

家主の知らないうちに勝手に家を改造したり忍者屋敷にしたり困らせてくるんだけど…とにかく面白い事が大好きなの精霊なのよ」

「なにその迷惑な精霊さん」

「だからこそ温厚的でイタズラとかを笑って流してくれる家主やその家族に危害を加えようとする者が現れると私達が思いつかない…スッゴい事してくるよ」

「おっふ」

「コレはまだまだ優しい方だよ」

「忍者屋敷化したときはキツかったわね…懐かしわー」

「そんなこと言ったら忍者屋敷に…」

「大丈夫、一度イタズラすると暫くイタズラが出来ないから」

「そっそうか」

「さて、掃除とかして仕切り直さないとね」



サニカとラブナシカは調味料まみれの子供達と大人達を介抱してから寄合所をキレイにして先にグチャグチャのフルーツケーキを食べて、散らばった恵方巻きの具材と酢飯は従魔たちが美味しくいただいた。


そして新しく恵方巻きやフルーツケーキを寄合所にいる人々と作っていると怪我をラタムに治されてた後に引率されながら来たルウカ達も合流して賑やかな一日が過ぎ去っていった。




「あれ?鬼人さんは?」

「やることやったらさっさと帰った」




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