カフロルト王国防衛戦2
「テスとシェザーナさんの勘が的中したみたいだね」
「そうじゃな~…クラウスの所とセルクシアの東側にも伏兵が居ったようじゃな」
北の方角から爆発音が聞こえたと思ったら西と東からも爆発音がほぼ同時に鳴り響いた。
「ミストル随分早く走れるようになったのう」
「そりゃ僕もだいぶ成長しきっているからね」
「ミストル後じゃ」
「わかった!」
母さんの指示を受け後からの攻撃をブーツの裏でガードして短剣を攻撃してきた奴に投げつけた。
「何!」
「アクロバティックな動きは僕の得意分野だからね?」
「チッ!」
「わらわのむす…めに手を出すとはそれ相応の報いを受ける覚悟はあるかえ?」
「無理に言わなくていいから」
母さんが扇を出して扇いでいる。
「弱いと思っていたが…オイラの勘が外れたか」
「やはり君たちか…」
「宿屋一族に仕える従業員の血筋の者か…」
「オイラたちの事を知ってるんすか」
「知っておるぞ、わらわも憧れたものじゃ…各地に旅をして宿をランクアップさせる一族に」
「王族に生まれながらそんな憧れを待っている方も居るのですね」
「ゾンビどもを引き寄せどうしようと言うのじゃ…何かカフロルトに恨みでもあるのか?」
「オイラたちはただ頼まれたから手伝っているだけすよ、不死者の山に追放された可哀想な兄弟に」
「そうか…宿屋一族の禁忌を犯してまでやることなのか?」
「そんなしきたりは知らないですよ?」
「…宿屋一族は所属してはならない、けして宿屋を兵器として使用してはならないだっけ?」
「私たちは魔神教に救われたのです」
「望まない長い年月を生きるのに飽きたんだよ、先祖が人間以外の魔物の血を入れてくれたことで子孫が負担になるって考えなかったのかなってねぇ!」
「だったらなんで宿屋一族の聖地【ヒノアマト】に向かわないのじゃ?長生きが嫌だったり先祖返りしてしまった者や宿屋一族の力を普通の人間にしてくれる宿屋一族の長がいるであろう」
「えっそうなの?」
女性従業員が肩を震わせながら言った。
「あなた様に何がわかるのです!宿屋一族に生まれた者の苦労が!」
母さんを両方の手の指先から出した糸を使って挟み真っ二つにしようとしたが母さん扇で糸を切って
「そんなのは知らん!聖地【ヒノアマト】に一族の力を戻しに行った者はその面倒な役割から解放される事はわらわたちですら知っておるわ!」
初代宿屋一族の長【カナタ・ヒムラ】は数多の種族の血を入れるであろう子孫の子供たちの中で長生きな種族の血の先祖返りや魔物の血が出てしまって苦労する子孫の為に普通の人間にする事が出来る秘術を使える者を妻と共に育てどんなときでも対応出来るように役割を持つ者が必ずどの代の時でも宿屋一族の聖地【ヒノアマト】に存在していると世界全土に公表している。
そして宿屋一族と従業員一族が利用され兵器にされたら二度と【宿屋召喚スキル】を持つ者が生まれないように出来る処置も取っているのと宿屋一族と仕える従業員一族が迷惑や問題を起こした時は必ず厳罰を受けるように出来ているとも公表している。
「だとしたらとんだ被害妄想しかできない自分が可哀想だと言っているワガママな人たちだね、しかも厳罰確定してるのによくやるよね」
「オイラたち結構いろんな事やったけど今まで厳罰なんて食らったことないよ?」
「そんなのはただの脅しでなんです」
「それはー
母さんが何かいいかけた時に城の最上階部分が爆発して煙が出てきた。
「シズカの奴やったか!」
「母さん!シェザーナさんが!」
「シェザーナの元に向かいたいが…こやつらを退かさないと行けぬな」
「ここからは本気でお相手しますねっ!」
「ここは魔神教の拠点にするそして始まる!大昔の大戦の続きが!」
「させないよ」
「ミストル気合い入れるのじゃ」
「うん」
ふたりは懐から見たことがない石を出したなんだろう?
「あれは解放石じゃ!」
「解放石って何?」
「解放石は使った本人の中に眠る血の力を解放し魔物や魔人の姿になれるのじゃ」
「厄介になりそうだね」
「あのふたりは何の血が出たのじゃ」
「巨人族とフォレストスパイダーだってさ」
「初代様に仕えた従魔の血がよりによって出ておったか…わらわの扇が傷付くわけがわかったのう」
マグナ爺さんが作った扇に母さんがついさっき糸を切った場所に傷があった。
「恐ろしいほどの強度だね」
「ミストル気を抜くな、変身するぞ?」
母さんの普段の口調が変わってる…気を抜いたらホントにヤバいんだね…解放石を使ったふたりは繭に包まれたのと土に包まれた。
短剣を投げて攻撃しても弾かれた…ちっ。
『これでどうでしょうか?』
『オイラたちに勝てる?』
「デカいな」
「フォレストスパイダーはわらわが相手をする」
「僕が」
「ダメだ」
「……わかったよ」
母さんってこんなに威圧出せるんだね…僕もまだまだなんだね。
「巨人相手だからと言って手を抜いたら死ぬぞ」
「…フォレストスパイダーの方はもっと危険なんだね」
「隠し毒針や麻痺針とか仕込みも沢山あるからな…ミストルには経験不足だ」
「…母さん気を付けてね」
「ミストルもだぞ」
『別れ話はすんだ?』
『始めようかオイラたちの蹂躙を』
母さんは扇をしまってどこからか大剣を取り出し振り回し戦っていた。
「……余裕はないね、僕も本気でやらないとかな、テスのお陰で血の衝動は押さえられそうだし…吸血鬼の力を解放しよう」
『潰れろ!』
「半吸血鬼なめないでね?」
シェザーナさんの元に行くために早く決着をつける為に全開で行った。