爆発の時期
【クレイバール学校】
《魔法実習室》
「この術式は異世界で使ったら引かれるレベルの術式だから使っちゃ駄目よ?」
「だったらなんで教えるんですか?」
「この島の子供達の身を守るためにはこれくらいは必要なレベルの魔法だからよ」
普段は被らないとんがり帽子を身つけたマジェリルカがそういった。
「まぁ…最近はファンタジーな冒険が出来る異世界に行ってくる…と言う子が出てないから出先の異世界の強者から嫌がらせも受けないから教えなくても大丈夫そうなのだけれども」
「…もしかしてだけど受けてたときあるの?」
日葵は気になって聞いた。
「えぇ、受けてた時があるわよ」
「あるんかい!」
「そういえば父が外に出ていたみたいだけど…」
「フィリムの時は特になかったわ。
フィリムは確かに強いけど向かった先の強者達の心がとても広かったみたいでね…小童がと笑って流してくれてたわ」
「父の事を小童扱い…」
「でもそれより昔は凄かったわよ〜…特に凄かったのは何年前だったかしら………」
「なんで押し黙るのよ」
「その頃は怒涛の日々だったから忙しすぎて記憶にないわ」
「えェ…聞きたかったワ〜」
「ガチで怒涛の日々だったのよ、ついつい授業と関係ない話を話しちゃうわ。
こんなことしてたら一部の地球系統やとある系統の異世界の学校だと保護者からの電話で凄いことになるわね」
「でもグダグダと進むのがクレイバール流だからな」
「そうね…さて話し込んでないで始めましょう……いま教えた魔法陣を魔法のペンを使って空中に描いて結界を張りなさい。
この魔法はありとあらゆる魔法の適正がなくても使えるようにとサニカが開発した魔法だから正しく描ければ使えるわ」
「……父ちゃんたち凄いよな…この魔法のペンを使わなくても魔法を使えてるもんな」
「描くことを省略して発動させているからこそね……何度も描いて形を覚えればアナタ達の親みたいに省略して使えるようになるわよ」
「大体どのくらいなノ?」
「高校生になる頃には」
「………」
「それでも早い方よ?普通は省略して魔法を発動させようなんてしないんだから」
「だからこそ異常な強さとか言われるのね…」
「異世界の賢者達は平然として省略した上でさらに爆心地を工作するレベルの魔法を撃つのよ」
「うわ…」
「別にそこまでは強くならなくても…異世界の強者達から適度に自身の身を守れれば良いです」
「確かにな」
子供達はうんうんと頷いた。
「アナタ達のそういうところは先祖から変わらないわね…それで誰が初めに実戦してくれるの?」
「はい!はーい!」
「それじゃ日葵は魔法実習室の真ん中にある防護の絨毯の上に立って描きなさいな」
日葵は防護の絨毯の上に立って魔法のペンを使い空中に描き始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【新クレイバール学校】
《校庭》
ドッカーーーン!!
「「キャァァァ!?」」
「どこかの部屋がばっ爆発したですよ!衝撃波が飛んできました!?」
校庭で授業を受けていたヴァリラ、イオン、ディーシェは爆発の衝撃波が飛んできた事で地面に背中の方から倒れ込んだが、サニカが3人まとめて初期の風魔法を使いふわっと浮かせて衝撃を和らげた。
「方向からして魔法実習室だな」
「サニカ先生!?のんびりしている暇なのか!?」
「そういった時期に入ったからだね」
「……そういった時期ってなに?」
「魔法の実践が始まったから…多分だけどスペル間違いしたまま発動させて誰かが爆発させたんだね」
「サニカ先生、特定できるの?」
「…出来るけど言わないかな……かなり前だけど同じ状況になって「先生誰なんだよ?」って聞かれて話したらスペル間違いをした本人を話を聞いたのが茶化して結構なドメスティックな事が起きたからね」
「おっふ」
「君たちも少しずつ学んでいけば中学生にあがる頃には「あっ○○がスペル間違いをした」ってわかるようになるよ」
「いずれそうなるだろうな…今の我々が受けている授業の内容が魔力探知だからな」
「ふふふ、確かに……サニカ先生」
「ん?どうしたのヴァリラ」
「学校が爆発したのって親たちも気付いてる?」
「うん、知ってるよ。音がかなり響くし場所によっては衝撃の余波が来るからね。
○○が爆発させたんだねってなってるし、爆発させた子の親は苦笑いしながら気付いてる」
「その様子が目に浮かぶぞ」
「君たちの親もそういった時期があったから何も言わないし…もう少ししたら君たちも始まるから茶化しちゃ駄目だよ?」
「我々は茶化さないぞ」
「そうなのです」
「でも授業が終わって廊下ですれ違ったらわかるかも知れないわ」
「「え?」」
「多分だけどその人、目に見えて落ち込んでそうだし」
「あー」
「さて、集中力が途切れたからまた始めか
ドッカーーーン!!
「…………サニカ先生、集中できまへんで」
「…今日は違う授業しよっか」
「何をするの?」
「候補は体力づくりと魔物の進化の二つに一つだね」
「えっ!!魔物の進化の授業してくれるの!?」
「うおっ…ヴァリラがものすごい勢いで興奮してるぞ」
「ぜひ魔物の進化の方でお願いします!!」
「ディーシェとイオンは?」
「「…魔物の進化の方でお願いします」」
「了解しました…ぷっ…ふふふ」
「なっなんで笑うんだぞ」
「いやー…ホッコリするなと思ってね…それじゃ始めようか」
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【新クレイバール学校】
《魔法実習室》
「ひぃ~!爆発した!」
「スペル間違いしたわ」
「女子と玖寿は流石ね…慎重に描いていたから誰も爆発させなかったわ。
日葵は一文字違いのスペル間違いでレンカは結構な数をスペル間違いしてたわね」
「んー…一文字違いでもここまでになるなんて」
「日葵はあんまり堪えてないワ」
「最初は爆破するもんだって母さんが言ってたから」
「そういえばヒペリカも初めての授業で爆破させてたわ」
「その親にしてその子ありだな」
「レンカの両親はどうなんですか?」
「ロッカもフルーレも難しいのに挑んだ以外での爆破はなかったわね」
「へー以外だな、母ちゃんの事だから爆破させまくったと思ってたけど違うのか」
「ロッカはあぁ見えて努力する子だったからもあるわね。
まだまだ時間があるから予習復習を始めなさい」
「「はーい」」
魔法を描く練習が始まりこの日の授業が終わるまでに30回の爆破があったそうな。
【新クレイバール学校】
《職員室》
「ここまでの爆破が起きるなんて…一斉に爆発したときは流石に焦ったわ…そうなっても大丈夫なようにしてあるけど怖かったわね」
「ご苦労さま、マジェリルカ」
「学校を取り囲む編みの整備をしていたが結構な衝撃が来てたな」
「ここまで爆発したのは何年前だったけか?」
「……多分だがイグファルド達よりも2前の世代だった気がするがな」
「だとすると約2000年前くらいか」
「……時が流れるのは早いねぇ」
「これからも子供達の成長を見ながら、のんびり楽しく過ごしたいな」
「そうね」




