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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
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ご帰還です

《魔法実習室》


「あら~いつものイケメン妻が来たのね」

「あれで召喚したと言えるかしら…」  



アヴィローヴァがサニカから受けた依頼を全うせんと向かって直ぐにサニカ達の部屋にラブナシカが、ピエロ風の化粧だったのがさらに崩れた状態でやってきたのであった。



「イケメン妻って…まぁイケメンだったけど…(ラブナシカもちゃんとすれば傾国レベルのイケメンなのに勿体ないわ…)」

「マジェリルカ?アタシの顔をじっと見ても濃い化粧を止めるつもりはないわよ?」

「今さら止めないわよ…出会った頃からその化粧だし」

「そういえば…ラブはここに来るまで何してたの?」

「あの全裸エルフと遭遇して逃げてから廊下でアナタ達とすれ違って校庭に出て町中に向かって全裸エルフが召喚した目玉を狩ってたの」

「隠者のローブの効果が効いてなかったのね…」

「いたって普通の勇者や魔王には効果抜群だけどアタシや永い年月を生きた者には看破されて効かないわ。

でもあの目玉モンスターには効いてた見たいだけどね」

「ハハッ!やはりラブナシカ殿は古い神族ゆえに弱いように見えてもかなりの強さを持っているのだな!」



声のする方をサニカとマジェリルカとラブナシカは向くと奴は猿轡を外し体を縛っていた特殊な紐を解いていた。



「もう解いてるわ…」

「こんなんだから常識が通じる世界の強者達がいる世界にモンスター認定されたりするんだよ…懲りてない…」

「服を着ているとゾワゾワするぞ」

「もう手遅れよ」

「………やはり全裸が良いな…脱ぐぞ」

「「脱がないの!」」



脱ぎたいエルフ様を止めるためにサニカとラブナシカはほぼ同時に拘束するための鎖をエルフ様に絡めた。



「ぬぅ!…流石だな!」

「流石だなじゃないわよ」

「だが!我には効かぬ!ぬん!!【裸とは自然の摂理!抗うは我が筋肉!!】」



するとエルフ様の体がカッと光だしサニカとラブナシカの作った魔法の鎖は弾け飛び、全裸エルフのイケメン妻が着させたであろう服すらビリビリと破けた。


光が止むと海パンにネクタイをしている変態エルフが立っていた。



「うわ…リアル海パン○事だ」

「何?!まだ纏う糸があるというのか!?」



海パンエルフは海パンを脱ごうとしているが引っ張ってもピチッとしていて生地が伸びることなくびくともしない。



「よりによってブーメランパンツ……しかも色がショッキングピンクなのがやばいまであるわ」

「アタシまだここまでじゃないわよね?」

「……君の場合は全裸なエルフと似たような変態だよ」

「えっ?」

「二人の記念日と言って裸エプロンしてるの貴女くらいよ?」

「いや~ん!アスチルとの記念日を見られてるわ〜!プライバシーの侵害よ!むっつり助平な女子達たらや~ね」


ラブナシカの発言を聞いてサニカとマジェリルカは引きつった表情でラブナシカと海パンエルフを見ていた。


(アスチルが自分そっくりの木のオートマチックな人形を作ってラブが裸エプロンになる記念日だけ逃げるのに気づいていないからね)

(何がむっつり助平な女子よ…アスチルはその記念日だけは宿屋に逃げ込んで成人した女子達に愚痴を吐き出してるのに…全く…愛想尽かされても知らないわよ)



チクタクチクタクと時計の針が刻む時の音と「ぬぉー!」と雄たけびをあげる海パンエルフの声だけが響いていた所にガラガラと魔法実習室の扉が開くとアヴィローヴァがそ知らぬ顔して帰って来た。



「おや、既に最後の砦になってますが【裁縫神の作った生糸】で作った下着の強度は流石ですね」

「(色がショッキングピンクなのはヤバい人に見えるようにか)……どうだった?」

「例のイタズラ神がこの世界の時空間やらに干渉していた形跡がありましたよ。

私が見知っている頃の時空間に戻しておきましたが…あれくらいなら造作もないですね」

「ありがとう」

「それともしかするとですが多少なりとも別の異世界にも影響が出ているかも知れませんが貴女達が悪い訳ではないので大丈夫でしょう。

…では我々は帰らせていただきます」



この世界に来たときに使った魔法陣のど真ん中に入ると自称魔人と海パンエルフが帰って行った。



「……長いようで短い時間で解決したみたいだね」



サニカは魔法実習室にある時計を見てそう言った。



「ここに来たとき何時だったけ?」

「確か…深夜の1時ちょうどだったはずだよ」

「今は1時半なのね……それで確認作業するの?」

「うん、ブレーカーがどこにあるかもまだ見つけられてないから探し出して付けて点検したりしないとだけど…でも電気工事士の資格持ってるルウカが居てくれないとイジれない」

「それならアタシ持ってるから確認しましょうか?」

「できるなら頼むよ…ブレーカーの所には君の魔法を阻害する紋章の魔法陣はないからね」

「あら?何のことかしら?」

「………まだ目玉のモンスターが居るけど…どうするの?」

「治郎は玖寿と一緒に寝ていて六月一日家を守っててくれてるから今すぐに起きて戦えるであろう譜月と翡翠に頼むつもりだよ」

「エルシィローとメフィリーネは起こさないの?」

「譜月と翡翠が珍しく強くなりたいと言ってたからその機会をあげようかなと」

「あらあら、あの目玉モンスターふざけた見た目の割にはかなり強いわよ?」

「そういったのを含めていい経験になるんじゃない?」



女子チームは雑談しながら魔法実習室を出て新しく完成したクレイバール学校の点検やらを始めたのだった。
















一方その頃のルウカとカーウェンはというと…。








【彩りの花園】



《ガゼボテラス》



「ふぃ~…ここまでくれば大丈夫そうだな」

「あの目玉モンスター…結構エグくない?特に紫色の目の色のモンスター」

「確かに強かったな……それにしても花園が元とは言いづらいが沢山の花が咲き誇って良いな」

「確か今は地球産の花だったけか」 



カーウェンがガゼボテラスの長椅子に座るとカチッと音が鳴り響いた。



「「ん?」」



ルウカも気になる音がしたが気にせずに座るとカチッと音がなった瞬間にガタン!と足場がなくなった。



「えっ」

「へっ?」



暗闇の中に吸い込まれていった。









【ヴェルタリアスの秘密基地】



《秘密基地の扉前》



『なんでやねん』

「こっちがなんでやねんだぞ」

『よりによって最初にバレた教師陣がカーウェン校長とルウカ先生かよ』

「………電脳空間の中に問題児が生きてた…サニカ先生に教えとかないと」

『カーウェン校長それだけやめてっ!破壊神に秘密基地が破壊されちゃうっ!』

「お前が言いたいことは理解できるな。

サニカはスキルを使わないで自力(・・)で電気機械をイジると壊したり部品を無くしたりするからな…ゲームする分には大丈夫なんだが」

「ハノンの整備する時は必ず絶対にスキルを発動させるからねぇ…【機械の修復スキル】と【機械改造スキル】を習得しにサニカ先生が機械技術に特化した異世界に足を運んで取ったから」

『電気工作の授業でよく部品壊してたもんな…』

「雑なんだよサニカはな」

『その辺りルウカ先生は几帳面だよな〜』

「機械類はとても繊細だからな…」



そこからは男同士の昔話に会話を弾ませて結局朝方まで話し込んだのだった。




「おっと…そろそろ授業の支度しないと行けない時間だ」

『それでルウカ先生、カーウェン校長ここの存在は内密によろしくお願いするぞ』

「うん」

「それじゃ気が向いたら来るからな」



ルウカとカーウェンは【ヴェルタリアスの秘密基地】から自力で外に出てその日の授業の準備をしにそれぞれの家に帰って行ったのだった。


カーウェンは自宅に帰ると娘であるエトシェリカが帰ってこない父親を夜通し起きていたのをリビングで発見し睡眠魔法を自力で解いた娘の成長に嬉しさの反面、戦慄したのだった。

その日のエトシェリカは白目を向きながら授業を受けていたそうである。



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