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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
319/569

聖なる夜とショッキングピンク

【クレイバール島】


《彩りの花園の東屋》



「………気持ち悪ッ!」



ラローネルが最初に発しラローネルとルフェルニカとコナルヴィア以外の女子と日葵とイオンはフジツボマンが東屋を囲っているのを見て立ったまま気絶フリーズしていた。



「……鳥肌が止まらないです」

「テーブルゲームでもして気を紛らわせようぜ」



レンカとルフェルニカはずっと下を向いていて前を見ようとしていないが二人を見習ってラローネルも下を向いた。



「立ったまま気絶している人達はどうするのよ」

「そのまま放置プレイするのネ……それでいて立ったまま気絶するなんて器用ネ…」

「あーしは寝るわね〜」

「食い物がないと寝るのかよ…」

「コナルヴィアは大器晩成型なんですよ」

「……横に横に伸びないといいな」

「レディに失礼よ?レンカ」

「大変失礼いたしました……それでなんのテーブルゲームする?」



レンカは目的を切り替えた。



「トランプゲームでもするか?」

「トランプはレパートリーが多いので良いのでは?」

「なら始めましょう」

「この中でモザイク処理の魔法使えなイ?周りが気になるんだけド…」

「そればかりは



どこからかともなく誰かが走ってくる音が響き出した。

そして……。



「どっせーーい!!」

「わーーーー!!」

「ギャァァァ!全身タイツーーーーー?!」

「「ピンクーーーーーーーーー!?」」





ショッキングピンク色の全身タイツを着たAPP18のへんたいが現れた。



「やっぱりアナタ達ここに居たのね!」

「変態だぁあ!!」 

「誰が変態よ!」

「オカマ口調って事はもしかしテ…」

「反転世界から帰ってきたのよ!」

「聖なる夜なのに…なんて格好しているんですかラブ先生!」

「ミニスカサンタの衣装が届かなかったのよ!」

「だからってラブ先生の全身タイツのショッキングピンクはないわよ!」

「ツッコミどころが違う!そこは何でミニスカサンタなんだ!だろう!?」 



レンカ達は混乱している!



「やっぱりラブで一人に行かせなくて正解だった」

「サニカ先せ…イヤーーーーっ鹿男!?」



混乱してる子供達の目の前にはリアルなトナカイが二足歩行して歩いているように見えいる!

 


「男じゃないから……って子供たち混乱してる」

「イグファルドとファムロスはトナカイのキグルミに関してはリアルを追求しすぎなのよ」

「しかも鹿が二足歩行して荷車を引っ張ってるっ!」

「しかも荷車にフジツボが沢山くっついてるわ!」

「えっ……あっホントだ……魔物化したフジツボはしつこくって気持ち悪いし最悪だね」



二足歩行のトナカイが発した言葉を聞いて子どもたちは静かになった。



「魔物化したフジツボ?」

「……今、島の子どもたちと一緒に駆除しているけど夕方から初めてその日のうちに終わるかわかったもんじゃないよ」

「えっ母ちゃんたち動いてんの?」

「そりゃ…レンカのママは島の治安を守るための組織のリーダーですもの動くに決まってるでしょ?」

「………(後で繕ってあげよう……フジツボが着いた母ちゃんなんて嫌だし)」

「…魔物化してたからキモかったんだね」

「それでサニカ先生たちは何をしに来たノ?」

「落ち着いたから話すけど、アスチル先生は保護したから大丈夫だからね。

ここには君たちを迎えに来たんだけど…嫌なら少し落ち着くまでここにいる?」

「……良かった…保護されてた」

「残ってて良いの?」

「うん……東屋にいても怪我とかしてないみたいだからね。

その代わりと言ってはなんだけど魔物化したフジツボが少なくなったら気絶している子供達を起こして宿屋に戻って来てね」

「「「「はーい」」」」



二足歩行しているトナカイは荷車を炎で一旦燃やしてから浄化魔法で消毒してた。

そしてショッキングピンク色の全身タイツマンを荷車に乗せて移動を始めた。


荷車に乗せてられているショッキングピンク色の全身タイツマンは湧いてくるフジツボマンを炎で燃やし尽くしていたがトナカイの角に炎が燃え移りトナカイが慌てていたのが見えた。


そして東屋の上をレンカの母であるドラゴンに変化したロッカが白い炎を吐きながら通っていった。


トランプゲームを3つほどやると気絶していた莉糸達も目を覚まし、フジツボマンが湧いて出てきていたのが収まってきたのを確認してラローネルがハイビーストに変化して数名が乗りヌイグルミに【魔法の操り糸】を装着させてラローネルに乗れなかった残りの人数が乗り【無敵の宿屋】に戻っていった。



















【無敵の宿屋】


《エントランスラウンジ(左)》



「ふぅ〜……取り敢えず終わったぞ」

「ご苦労さまでした。ロッカさん」

「あぁ」



フルーレは妻であるロッカを出迎えた。



「子供達は?」

「皆、怪我もなく宿屋の大浴場に入れてから軽食を食べさせて少し休んでから寝たわ。

子供達の付き添いで一緒に寝てる人たちも居るからこの宿に戻ってくる島民はロッカが最後よ」



シェシアがソファーに寝そべりながら言った、よく見るとある程度机が片付けられていて代わりに絨毯が引かれそこにご老人たちが寝転んでいた。




「島民の数が足らないが…」

「その他の人たちは例の魔物化したフジツボを解析したり解体したりして鑑定しています」

「そうか」



今度はキユクが答え、いくつか残っている机の上で魔物化につい書かれている本を図書館から持ち出し読んでいた。



「聖夜のパーティは明日に持ち越しだそうです」

「なら風呂に行かせてもらうぞ」

「ロッカ、待ってください。風呂に行くなら薬湯の方に行ってください」



ロッカはハノンに【薬湯の鍵】を渡された。



「もしもの対策だそうです」

「了解した」

「わたくしも身体検査の為にお供しますの」



レシェットはロッカと共に【薬湯】に向かっていった。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








【クレイバール島】


《???????》



「…体の部分は海藻で出来ているわね」

「人間の心臓が在るところから体を動かす司令を出して下っ端のフジツボたちが動かしているのね」

「短期間でここまで知能を持つとは魔物化は研究のしがいがありますな」

「研究してもいいけど禁忌までは行ってはだめだからね?」

「節度を持ちますよ…娘を残して消えたくないので」

「ハノンから連絡が合ったよ。ロッカが戻ってきたって」

「良かった…これで安心して寝られるわ…」

「でもまさか結界をすり抜けて入ってくるとは」

「だからこそどのタイミングでフジツボが魔物化したのかも調べないといけないわ」

「そうだね」



カーウェン、マジェリルカ、サニカ、ラブナシカ、ポーリアが【魔物化したフジツボの集合体】を解体したりしているとルウカとハルディオラとイダルベールがやって来た。



「アスチルの様子はどうなの?」

「大丈夫だ、ラブが持たせていた御守のお陰で寄生されていたが進行が抑えられていたぞ」

「サニカ先生とカーウェン先生とマジェリルカちゃんが作った薬湯が効いて芯の部分に根付く前に取り除けたわ」

「良かったわぁ~」



ラブナシカはホッとしてその場に座り込んだ。



「こうなった要因を追求しましょう」

「そうね」

「まずは海岸の水中から調べて島の川も調べるぞ」

「わたし達も手伝います」

「明日は宿屋の温泉を全て薬湯にしておこうか」

「子供たちはパーティーの準備させないとな……反転世界の事はこの件が片付いたら話すからな」

「後回しにしても大丈夫なんですね」

「うん」




これでどうにかフジツボの件は一応落ち着いたのであった。




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