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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
318/569

シのかほりがするのに緊張感が無くなった

※集合体恐怖症の方には少々きつい表現があるのでご注意ください。

私も書いててブルッと来ました。

【クレイバール島】


《彩りの花園》



子供たちは広大な花園の入口に着くと整備されている道を素早く通り【彩りの花園】の中心にあるキャンプが出来る場所にある【アダマンタイトで出来ている東屋】で休んでいた。

少ししてからディーシェとコナルヴィアも集まった。




「…はァ……はァ……ここまでくれバ………大丈夫よネ……」

「ラローネル、ご苦労さまだったわね」

「そうだぞ…助かったぞ、ラローネル」

「偉そうに言うなイオン……ありがとな」

「水分取れる…?……はい…」

「わァ〜…いつもよりエトシェが優しいワ〜……」

「ドーナツ…美味し…」

「…………(あたしと母上で作って焦げたドーナツを美味しそうに食べるコナちゃん……父上を見ているような…)」



ラローネルはエトシェリカからクレイバール島で取れる天然水の入ったコップを受け取り、コナルヴィアはディーシェからご褒美のドーナツを受け取り元気よくモグモグ食べていた。




「相変わらず季節に合わせて数多の異世界の花が咲いててキレイな場所ね…」

「浜辺の近くの森林か【中心街】か【東地区】にある花園への道を抜けて丘に来ると直ぐだものね」

「冬だからかな…スノードロップとかカワイイ冬のお花さんが咲いてるよ」

「日葵は相変わらず花や植物が好きね」

「両親から受け継いだので」

「隆太郎さんもヒペリカさんも花や植物を愛でてるもんね」

「それを言ったらハルディオラさんとイダルベールさんもだしサニカ先生もよね」



和気あいあいとしているところに玖寿とヴァリラだけは自身が持つ双眼鏡を使い周りを確認し、警戒していた。

だが海より来た者は花園に入ってこれないようだった。



「ディーシェどうですか?」

「中心街からの花園入口にもあたしとコナちゃんを追いかけてきていた【全身フジツボだらけ】が居たけど入ってこれないみたいですの」

「僕もようやく海より来た者の姿を確認しましたが…全身がブルッときました」

「玖寿ってたま~に変な丁寧語が出ているですの」

「ディーシェは語尾がいつも通りのですのに戻って調子良さそうですね」

「お二人さん、何を見てたの?」



莉糸が玖寿とディーシェの近くに来た。



「僕たちを追いかけていたであろうナニカがこちらに近づいてこないか警戒していたんです」

「それでどうだったの?玖寿も見たんでしょ?」

「人型なのですが全身フジツボだらけでした…」

「気持ち悪っ…フジツボ……集合体恐怖症にはキツイわ」



つい先程見た姿を思い出した玖寿はまたブルルッと震え、想像したであろう莉糸もぞぞぞっと震えた。



「あーしはフジツボを美味しいと感じるけど…食べられる部位が少ないのが問題…それに採取するのも大変」

「コナルヴィアはいつでも食い気だよな」

「美味いにこしたことはないの」

「そうだけども……ルウカ先生たちが居ないけど大丈夫かな」

「宿屋にどうやって行こうか話し合わないノ?」




「そうしたいけど……暫くは無理そうだな」とレンカは鳥肌になりながら双眼鏡を覗きながら言った。



「まっまさか……」

「フジツボマンがそれぞれの入口に立ってるんだ」

「フジツボマン…命名してるし……集合体恐怖症にはダメだ受け付けないわっ!」

「フジツボなんて海に行けばびっしり岩場とかにくっついてるわよ」

「やっやめろっ…思い出させるなよ」

「どうやらあーしとルフェルニカ以外は駄目みたいねー」

「分からなくもないけどね」



コナルヴィアとルフェルニカ以外はブルッと震えていた。



「コレより気持ち悪いのが出て来たらどうするのよ…全く…」

「ルニカ、今はまだこの東屋から出ないほうが良いわ」

「コナルヴィア?」

「あーしとルニカより皆の方が生存本能あるね〜」

「えっ」

「足元の花たちを見て?」



ドーナツを両手に持つコナルヴィアに言われて下を見たルフェルニカはギョッとした。

いつの間にか花園の花が枯れボコボコと土が動いていた。



「なっなによっ、コレっ!」

「東屋から出なければ大丈夫そうだねぇ〜…あとギリギリ道もね。

お祖父様の更にまたお祖父様たちが作った道はアダマンタイトとオリハルコンの合金を混ぜて作られた特殊なブロックの一つ一つに【聖なる言葉】が掘られてるからねー」

「詳しいなコナルヴィアは…」

「お祖父様とルファーナちゃんから聞かされてるから」

「あっそっか…実家はこの島の建物やインフラ整備してる工務店だもんな」

「反転世界で何かあったのでしょうか…」

「空の様子が可笑しいわ…青空になってる」

「ホントだ」

「幻術でも掛けられてるんですかね?」

「そう思いたくなるわよね…掛けた本人は少々おバカよね……夜にするなら分かるけど青空よ?」

「もしかしてだが、夜が明けたとかの可能性があるんじゃないか?」

「イオンがそれを言う?夢魔なのに」

「我からしたら掛けられている感覚がないのだよ」

「それは…まぁ…掛けられている感覚がなければ夢魔の感覚的にそうなるか」



動けずに困ったなーと思っていたら、レンカが東屋の中にあるテーブルの上に【人生ゲーム】を置いて遊び始めた。



「ちょっと…レンカ」

「取り敢えず東屋に居れば安心なら迎えに来るまでここに居れば良いんじゃね?それまで時間をゲームやって潰そーぜ?」

「緊張感がないわね…レンカは」

「でも気を紛らすのに良いわネ」

「ウチも混ぜてもらおっと」




ラローネルや莉糸も席に座り遊び始めた。

緊迫感があったのに遊びだしたクラスメイト兼幼馴染たちの様子を見て気を張っていたのが抜けた日葵も東屋にある長椅子に座った瞬間にカチッと何か音がなった。



「ん?…今、カチッて言ったよね?」

「何かが…カチッて言ったわ……」

「えっ……まだこの島に秘密があるの?ルウカ先生達も知らない秘密が?」

「……サニカ先生達も秘密基地を作るのにとてつもないほど才能に溢れた子とか居たっていう話はありますからね」



玖寿も考えるポーズを取りながら立っていたが東屋にある日葵とは反対側の長椅子に座るとまたカチッとなった。



「……………もしかして僕もやってしまいましたか?」

「うん」

「何かの



カチッ



「あっ」

「今度はエトシェリカが鳴らしま



カチャン



「「「「「あっ」」」」」

「何か開く音がしなかったか?……皆して顔を青くしてどうしたんだ」

「どうしたのヨ?」

「なにが…ゔっぐっ!」











いつの間にか足場が消え重力に引っ張られるようにピューーーーと皆一緒に下に落ちていった。



 













【クレイバール島】



《?????》



「いったくない?…皆無事かー!」



ヒョイッとレンカは起き上がろうとしたが足元がボヨンボヨンとして動きにくかった。

なぜなら足元に【ふわふわドーム】が置かれてクッションになっていたからであった。



(これならあの高さから落ちても死ぬことはないな…それと周りを見ないとな)



レンカはふわふわドームの上で伸びている幼馴染たちを見たが数名は寝た振りをしているようだった。



「イオンとエトシェとヴァリラと莉糸は起きてるんだろ?近くに居るやつを起こせ俺も近くのやつを起こすから」



するとイオンとエトシェリカとヴァリラと莉糸はスッと起きて近くにいる幼馴染たちを起こし始めた。



「玖寿、起きろ伸びてる暇はないぞ」

「…………………大丈夫です…起きてますよ…長い間落ちる感覚にゾクゾクして力が入らないだけです」

「日葵」

「あっ大丈夫、おれも起きてるから」



日葵や起こされた子供達はスッと上半身を起き上がらせた。



「ここ何処なんだろうな…ルウカ先生たちは東屋の秘密?、を知ってるのか?」

「それは帰ってきた時に聞くしかないわよ」

「そろそろふわふわドームから降りましょ……」



力が入らないだけと言っていた玖寿も起き上がりふわふわドームから降りた。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








【ヴェルタリアスの秘密基地】


《入口前》


【ようこそ!ヴェルタリアスの秘密基地へ!よくぞ見つけ出した島の同胞よ!ルウカ先生やサニカ先生、ラブ先生に見つからず300年掛けて作ったが島にルウカ先生たちが居ない時の襲撃が起きないとこの秘密基地へ来れないようにプログラミングしてあるぞ】

「あっだから普段はなんの変哲もないんだ」

【だからバレなかったのもあるよ】



コナルヴィアはじぃ~と扉を見ている。



【あんまし見ないで…恥ずかしいから!よりによって自身の子孫に見られるのだけは…!】

「ということは……工務店の人か!」

【そう、工務店の人さ!】

「ドヤってしてそう」

【話が脱線してるから話を戻すけどクレイバール島が何者かに襲撃を受けているけど「フジツボマンな」そうそう、フジツボマ……えっフジツボマンていう名前なの?今この島を襲撃してるの】

「人型なのですがフジツボがびっしりついてて見てて良い物ではありません…」

【うわっ……ナニソレ…気持ち悪っ!……ゾクゾクってくるよ……気持ち悪っ、キモっ】

「ひっでぇプログラミングの人格だな…気持ち悪い連呼してるし」

【だって自分、集合体恐怖症なんだもん……漁師一家は何で平気なんだろうって思うよ………さて君たち、力が欲しい?】

「いや別に…」

【えっ】

「力持ってても狙われるのだけだし…面倒はいやだ」

【まさか拒否られるなんて…】

「身の丈に合った生活で充分です」

「うん」

「前の授業の時にルウカ先生が言ってたわね。

度が過ぎた強すぎる人が一人でも居れば外から同じ強さを持つ人に攻められる可能性が出てくるけど、身の丈に合った強さしか持ってなければ、その強さを持つ人しか来れないから大丈夫だって」

【くっ……相変わらずの平和主義者だなー】

「お手数かけて悪いけど地上に返してもらっても?」

【えっあのフジツボマンがいるのに戻るの?】

「アンタみたいなのと関わるとろくなことが起きないから…だったら地上に戻ったほうが」

【えっそんなのが居るの?】

「今は地球でアイドル追っかけしながら暮らしてるわ」

【そうか…うん、わかった…地上に帰すよ。もし今度こそ力が欲しければまた来るといい…あっそうそう、サニカ先生たちにはまだ内緒にしておいて?見つかったらまた破壊されるだろうからさ…ではまたね】




子供達は最後に発せられた言葉にハハッと苦笑いしたあとに光に包まれていった。


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