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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
314/569

犬の惑星と猫の惑星

【火天の宿屋】


《エントランスラウンジ(暖炉だんろがある方)》



夕食を終え、場所を変え、人を増やしての話し合いが始まった。



「さて、話し合いを始めようか」

「サニカ、一つ良いか?」

「何だい?」

「お前が島に埋めて隠している【ほねっこ】についてなんだが」

「ほねっこ……あぁ…牧場の魔物たちのご褒美か…それがどうかしたの?」

「フェイース対策として掘り出させてもらったんだが…」



ルウカはテーブルの上にゴトッと【黄金に輝くほねっこ】を置いた。



「コレは……私が埋めたほねっこじゃないよ」

「えっ」

「鑑定してみたけどこの骨は数千年前…いや、この島が出来た初期に誰かが埋めてそのまま放置した骨だよ」

「よく見つからなかったわね…」

「それでいてよくルウカも見つけたね…これ」

「それじゃ、ほねっこではないのかコレは…」

「この骨はある意味で【とても希少な骨】だから…骨董品として見つけたルウカが持っているといいよ」

「そうか……」

「というか…ルウカ先生も鑑定出来るわよね?何でその場で鑑定しなかったの?」

「フェイース対策として警戒していたから」



ルウカはなんとも言えぬ表情をしたが【黄金に輝く骨】を自身のアイテムボックスにしまった。



「まずはフェイースの話から片付けましょう?」

「この島を始まりの頃から見守り付けてくれた神獣の一種だけども……時期的に独り立ちする頃だと思っている……というより独り立ちさせないとじゃない?」

「独り立ちか」

「あー…独り立ちする時の反抗と子供達と一緒に居たい気持ちがせめぎ合っているんだねーこの島のフェンリル。

それに君たちがフェンリルに対する契約の仕方が少々特殊な系統だったけど…この状況も一応、想定していたんだろ?」

「主にラブナシカが想定していたよ。この契約のやり方を教えてくれたのはラブナシカだし」

「流石は最古の神様のひとりなだけはある」

「それで島民代表としてポーリアはどう思うかしら?」

「……タヌ治郎によってもて遊ばれているフェイースをこの目で見てきたけど…今すぐに野生に解き放ったらすぐに魔物にしろ人間にしろに狩られそうであと気味悪いと感じたわ」

「その辺りは私も思うところあるけどもね」

「思うところあるのに出そうとしたんかい」

「荒治療法」

「荒治療にも程があるわ」

「仙人がうちの島の教師共に突っ込んどる…」

「ならどうするの?」

「フェイースに関してはこの島に本人が居たいと言ったら居させ、行きたい世界があればその世界に許可を取って解き放ちましょう。

もしまた危害を加えるようならサニカ先生とラブナシカ先生による訓練と調教をして一旦この島の外に放り出すわ。

それでも何か仕出かすなら……【犬の惑星】に追放します」

「イッヌの惑星……?」

「仙人は知らないのか?」

「【〇るの惑星】なら知ってるけど…」

「映画の話じゃないから。

犬の惑星はここ最近…といっても300年前に地球出身の勇者が世界を救った褒美として星1つもらったんだよ」

「えっそんなの聞いてない」

「その不老不死になった元勇者した地球人もといケモナーその1が地球の保護犬たちを貰った惑星に移住させてるよ」

「……もしかしてだけど【猫の惑星】もある?」

「あら〜良くわかってるじゃないの」

「……猫派と犬派の勇者が二人で異世界を救ったんだねー…今もまだ召喚勇者してる世界があるんだ…最近は現地勇者が多いと聞いてたけどさ。

てかその星は地球の犬しか居ないのにフェンリル解き放って大丈夫なの?」

「私達よりも強い従魔契約の法を持ってるからね」

「へぇ…賀実の言い方からすると自身が戦うことに特化するよりもサマナーとして特化してそうだね……というよりその勇者たちと知り合いなの?」

「犬や猫の魔物の従魔を人型にしたいと200年前に教えを請えに来たからね」

「来たのかい!」

「ならもうコレにてフェイース問題は終わりにしましょう」

「さっさと終わらせたよ…このオネェさん」

「少し席を外そうかね…治郎たちの様子を見てくるよ」

「いってらー」



サニカは宿屋から出て行った。



「………ならもう終わりよね、あたしも寝に帰ろうかしら…」

「まだまだ終わらないわよ、ポーリア」

「えっ」

「アタシとサニカが帰ってきたということは反転世界に行ったイルミナット島の報告があるのだから」

「…………そうだったわぁ……ルウカ先生、眠気覚まし一丁」

「…ポーリアのそういうところ祖先の【ヒザクラ】を思い出すな少し待ってろ。ラブと陽雲はどうだ?」

「ボクも欲しいかな」

「アタシは大丈夫よ」






















一方その頃のクレイバール島の某所では…。












「…………という方針で決まったけど…どうする?フェイース」

「くぅ……」

「ほら、サニカが聞いているんだから答えなよ?」



タヌ治郎は本来の姿のフェイースの体の上に座ってフェイースに聞いていた。



「我は………犬の惑星にだけは行きたくないが……この島の外には出てみたい気はする」

「世界から飛び出すことなくか……なら旅立ってみなよフェイース。君の速さらな3年で全部を回れるだろうから」

「えっ今すぐに行くのか?」

「思い立ったが吉日と言うやつだよ。ご飯とか自給自足で頑張れるよね?その代わり君がその辺に放置してある魔物の亡骸はコチラで処理しとくからさ」




フェイースは半ば強引にサニカによってクレイバール島から旅立たせられたのだった。




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