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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
312/569

契約更新の時期です。

【無敵の宿屋】


《エントランスロビー》



帰ってきて早々にルウカは子供たちに自室に行って休んでいろと指示をして向かわせていた。



「ルウカ先生……どうしたのですか?そんなに慌てて帰ってきて…」

「始めは双眼鏡で島の外を見ていたんだが昼過ぎてからフェイースがバグった動きをしているとレンカが急に言ってきてな」

「えっ」

「レンカに何処にバグった動きをしているフェイースが居るんだと聞いてその方角を見たら高い所から海に飛び込み海の魔物を狩ったと思ったら魔物の血に塗れクレイバールの島内を徘徊していたのが見えてな」

「………もしかして学校跡地の方にも来てましたか?」

「あぁ…ということはアスチルたちが仮設テントを使っていたか」

「えぇ、青空教室をしても良かったのですが…牧場の魔物たちが魔物の獣舎から外に行きたがらないので辞めたんです」

「その選択で正解だアスチル。フェイースの奴、もしかしてだが野生化が始まったかも知れん」

「野生化ですか?」

「あぁ、シューゴがオレたちのところに「タスケテー」と叫びながらフェイースを連れて来やがった」

「だから走ってきたんですね」

「シューゴは今イグファルドに修繕を託した。

ここには天藍とクローネに引き付けてもらいながら全力疾走して走った」

「……魂を抜かれていた方々は大丈夫でしょうか?」

「【永劫の伝道師】が見てくれたのだから大丈夫だ、アレの元には転生を司る新米女神や新米神が学びに行くレベルの秘術を使うから」

「そんな方がよく来て入れましたね…」

「そこは転生せずに永く生きているラブナシカの顔の広さだろうな」

「ですね」



そこに裁縫道具を持ったレシェットが近づいて来た。



「ルウカ、窓に真っ赤な犬がこちらを覗いてますの」

「ん?」



その言葉を聞いてルウカとアスチルは窓の方を見ると真っ赤な巨大な犬が中を見れてないはずなのにコチラをじっと見ていた。



「「おぅ…」」

「アレってフェイースですわよね?どうにかなりませんの?ルウカ」

「契約は結んだままだが反応がなくってな」

「それって契約してるって言います?」

「言いませんわ。

…大人組が学校を立て直すために足りない材料をサニカの材料保管庫に取りに向かっていて良かったですわね」

「子供達が返ってくる前に問題解決したいが…」

「それなら【ほねっこ】を用意してあげたらどうでしょうか?サニカがたま〜に騒いでいるフェイースにあげてブンブン尻尾を振るだけの愛玩動物に成り下がってましたよ」



今度はハノンが学校のためマットレスなどを作るための反物や毛糸玉を抱えて持ってきていた。



「ほねっこ……それってゴン○の奴じゃないか?」

「イッヌのオヤツの奴ではなく本物のほねっこです」

「ならまんまの骨か……」

「それにそろそろ特殊な契約をしているフェイースとの契約更新の時期ではありませんか?」

「契約更新の時期……あっ!ヤッベ!切れかかってる!」

「卒なくこなすルウカもサニカや島の長年者と同じようにうっかりミスをするんですねぇ」

「ルウカならうっかりミスして噛み殺される事はないでしょうし行ってらっしゃいな」

「お気を付けて」

「ちょいとまて、サニカがフェイースにやってるほねっこは何処で手にはいるんだ?」

「さぁ?……何処からともなく持って来ますからボクにもわかりかねますが、一つ言えることがあります。

サニカはこの島の何処かに【熟成させたほねっこ】フェイースに見つからないように隠しているようでした」

「サニカには後で説明するとして……そのほねっこを使わせてもらうか……まずは探さないと」



ルウカは自身に透明化と匂い消しを施し表玄関からではなく無敵の宿屋の方にあるカラオケルームの窓から宿屋の外に飛び出した。






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






【クレイバール島】



《せせらぎ古道の薬草の段々畑》



「この辺は子供達が来ないし、サニカやマジェリルカが薬草やハーブやらを育てていて匂いも犬からしたらキツイから来ないと思ったら居やがった」



フェイースはルウカをじっと見つめているがどうやら噛みつこうなどしていないようだ。



「フェイース、魔物の亡骸を放置しないで片付けろ」



フェイースはルウカの側に向かうと「もし次に出会ったらお前を噛みころす」とだけ言ってスゥーとルウカの横を通り過ぎていった。



「……………………(物騒だな)」

『ルウカ、大丈夫なの?お前を噛みころす物騒ねぇ』

「クローネか……お前たちはどうだった?」

『あたしらは大丈夫だったわ、それにしてもフェイースを舐めてたわ。

まさかあんなに高くジャンプして来るなんて思わなかったから』

『我々は島の外に出ているが……戻ってきたほうが良いか?』

「いや、天藍とクローネはそのままクレイバール島の周辺の警備に当たってくれ、月の軌道が真ん中の定位置になったら宿屋に戻れ」

『『了解』……気を付けるのよ?』

「あぁ」




ルウカはサニカの魔力か微かに残っている道を辿り探しているが一向にほねっこは見つからず仕舞いである。




「このままだと噛み殺されるな……フェイースの奴はあそこまで目をギラギラさせるような犬ではなかったが」




ルウカがフェイースに見つからないように探しているが契約期限が迫ったときにようやくルウカは【黄金に輝くほねっこ】を見つけることが出来た。



「こっコレが【熟成させたほねっこ】か…今のフェイースに効果テキメンなのか?……契約が切れたとしても一度宿屋に戻って決めるか…」



ルウカは【熟成させたほねっこ?】を手に持ちながら帰路にたった。








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