スッポンポーーン☆
【第9階層〜氷結と幻の牢獄〜】
《食人花》
「サニカ先生の魔法でどうにかならないんですか?」
「……私が使えるのは至竜が使えるようにしてくれた【六属性初期魔法】と魔法とは別物ゆえに使える【封印術】と【忍術】と【生活魔法】と異質な系統である故に取り上げられることがない【時空間魔法】ぐらいか…封印術を使い解けなくもないけど倍で戻ってきたら怖いからやらない」
「なら【属性の鎖】はどうやって作ってるノ?」
「私が作るのは【六属性初期魔法】と【封印術】を組み合わせて作っているよ、君たちも将来一つの属性だけでもいいから使えるようにしてもらうからね」
「……アタシの母さん下手なのよね…魔法の鎖…」
「カーウェン校長先「僕は封印術は出来るし解くのもね…読み解くのが面倒だから嫌だ」
「この大人たちのラブ先生の扱いが酷い…」
ただ突立ているだけなのはということで食人花を調べていたがただ時間が経つだけ特に進展は起きなかった。
花に触れることが出来ないから。
「それならアタシ達の出番ね」
暗がりの影からフリル付きの服を着たゴツい男の集団が現れた。
リーダーらしき人物の腕にエトシェリカが横抱きで抱えられていた。
「ひっ!」
「サニカ先生!!デーモン!デーモンが大量に出た!」
「ピンクッ!」
「大丈夫だよ、ラブナシカを拝めているフリルデーモンの集団だから。
君たちは両親からクレイバール島に時々現れる【ピンクの妖精】の話は聞いてない?」
「そんなの聞いたことありませんよ!」
「悪魔がラブ先生を拝めてるの?!」
「えッ!ピンク教って邪教だったノ!?ってエトシェ!」
玖寿たちは魔族ではないマジモンの悪魔が現れたのを見て驚いている。
エトシェリカはリーダーらしき人物から解放され翡翠に回収されてラローネル達の側に連れられた。
「まぁ…ラブナシカの作ったピンク教はクレイバール島と【そっち系の世界】以外では邪教指定されるだろうね…クレイバール島でも絶対に布教活動はさせないけど」
『まぁ……久方のフリルデーモンじゃからな…』
「ふっフリルデーモン?」
「昔ラブナシカ様に考えを改めされられたの」
「いや~ん、ゴツいデーモンがオネェ口調」
「しかも小指立ててるワ…」
「あら?アタシ達の事を知らないのね」
「それで単刀直入に聞くけど何しに来たのキトリエス?ここ十年以上も誰一人として姿を表してなかったけど」
「うふふふ…実はラブナシカ様に頼まれてモーリンちゃんをずっと近くで見守っていたの」
「『『えっ』』」
サニカとその従魔達が驚いた子供達の頭上には?マークが浮かんだ。
「モーリンが嫁いで結構な月日が経ったと記憶してるけど」
『クレイバールでは200年以上は経っているはずじゃ……』
「それでなんで急にモーリンが出て来るにゃ?」
「話すと長くなるのだけど…」
『なるべく手短に頼むにゃ』
「そうねぇ〜」
ラブナシカはモーリンに関して嫁いだからには干渉しないと決めていたが、定期的に集まっている神々の定例会でモーリンが嫁いだ世界の魔導師たちに怪しい動きがあると話が上がった事があったらしく「アタシの影に諜報させるわ」と言ってラブナシカが最上位の悪魔であるキトリエスに依頼したそうである。
キトリエスは嫁いだ先に時空間の魔法の法則を無視して向かいモーリンの夫は既に人として寿命で亡くなっており夫の墓を守る墓守として終の住まいとして決めた森の奥で暮らしているそう。
モーリンは自ら不老不死を解き妙齢の女性の姿となっていて3人の孫娘に「こんのバッバッ!」と言われながらもやっていて怪しい動きをしている魔導師達とは関係ない事も判明しているので5体の上位のフリルデーモンで見守っていた。
「…全く持って信用されてない…そのモーリンって人…」
「まぁ……うん……信用も信頼もないよね」
「やって来たことがねぇ…」
それから数年がたったある日ことが動いた。
【イタズラの神キロイス】が死にかけのモーリンの側に現れ「復讐したい者か困らせたい者はいるか?」と説いたそうでモーリンは「サニカとルウカとママ…愛の伝道神と名乗っている神に…最高の嫌がらせを頼むわ」と言って契約してしまった。
「この島がこうなったのって…」
「まぁ……私もモーリンがオイタをするからお仕置きとかしていたけど」
「ただの被害妄想じゃないか?……大体はモーリンが…操られて悪さをしていたし
大人たちの愚痴が止まらくなる前にキトリエスはさらなる話を語りだした。
「そんなこんなでアタシが帰ってきたらクレイバール島がこんなふうになっちゃってたし、冥界の最上位の鬼人が居るし、学校がダンジョン化してるわ、ラブナシカ様が食人花化してるし…どーなっているのかしらね?」
「こっちが聞きたいよ」
「……モーリンの魂がどうなったか見た?キトリエス」
「えぇ、モーリンちゃんの魂はキロイスに回収されたことによって転生の理から外されたわ。
だからもう普通の転生が出来ないし、キロイスの駒としてキロイスがモーリンの魂に興味が無くなるまで使い潰されるでしょうね」
子供達は話の内容についていけず置いてけぼりにされる。
「ねぇ、サニカ」
「何でしょう」
「もしアタシを食人花に食べさせたらどうなる?」
「……最上位の悪魔を糧とするから邪神と化したラブナシカが出てくる可能性が高い」
「やっぱり駄目よね?」
「キトリエスが糧になるのはやめた方がいい……アタシ達の出番ねって言ってたけど糧になる気満々だったね?」
「えぇ」
「生贄をどこからか『グダグダ言ってないで下級悪魔を糧とすれば良い、下級なら大丈夫だろう』
「「「えっ?」」」
譜月と翡翠がフリルデーモンの中でもここ最近入信したであろう若い悪魔の背を押すと、その悪魔は氷の床で滑り吸い込まれるように食人花に吸い込まれると花から光が放たれた。
玖寿たちは眩しくて目を閉じた。
微かにパサパサと花弁が開く音が静かに響き、何かの気配を感じ取り目を開けたくないなーと心のなかで思いながらも目を開けた…。
そこには巨大な食人花の花の上でヴィーナスの誕生の様なポーズをとり右手で食人花の大きな花弁を手に持ちそれで股間を隠し左手にも花弁を手に取り顔を隠しラブナシカらしき人物がスッポンポンで立っていた。
「「「キャァァァァァァァァア!!」」」
「ひっ!?」
「……これはまた」
「何で全裸なんだ!…娘たちには刺激が強すぎる!」
『恥ずかしいという感情は持っているのじゃな……でもラブナシカは秘宝や財宝よりも希少な存在じゃな…』
『モザイク掛けようにも邪魔が入って出来ないにゃ……それにしても相変わらずいい筋肉してるにゃ』
サニカ達は引いているがフリルデーモンたちは物凄い歓喜に溢れていた。
「我らが主よ再誕、おめでとう御座います!!」
「……前と違い、少し禍々しい魔力を感じますが…まぁ大丈夫でしょう」
「おぉ…!我が君の美しさに我々では叶いませぬ!」
そしてラブナシカは左手の花弁を捨てたのを見てラブナシカらしき人物が隠していた顔をその場にいる人物たちは見た。
「ビジュアル系メイク…」
『何でビジュアル系メイクにゃ……もしかして悪魔を取り込んだからにゃ?』
「………ラブナシカ先生」
「我輩は…なんて言うわけ無いでしょう?」
「あっ良かった、いつものラブ先生だ」
ラブナシカが指パッチンをするとピンクの色のフリル付きエプロンではなく赤いフリル付きのエプロンを装着した。
「はっ裸エプロン…」
『本物ですか?』
譜月がそう聞いた。
「えぇ、暫くの間はこのメイクと付き合うことになるだろうけど……キロイス……許さねぇ」
「こんなところに居ないでさっさと出ませんか?目的は話しましたし」
玖寿の一声で皆、ハッとした。
「玖寿、ラローネル、ルフェルニカ、エトシェリカ」
「なに?サニカ先生」
「半壊してるけど食人花の向こうにあるダンジョンコアに触れなさい。そうすればダンジョン攻略になるから」
「ダンジョン攻略………アタシ、海のダンジョンを一番初めに攻略したいから今回のはパスで」
「……ルニカの言う通りなんか嫌よね…ワタシもパス」
「僕もパスします。ダンジョン攻略に興味ないので」
「ならあたしもパス」
『ならミーが「そうは行かないぜ!」
またまた声のする方を向くとそこには子供達は見たことない人物が立っていたが子供達は譜月と翡翠によって隠された。
「どうやって今のこの島に侵入してきたの?タツキ…それによくこの世界に帰って来ていたね」
「いくつもの世界を経由したが今日、ようやく帰ってきたぜ!ダンジョンコアがいらない誰も手にしたいと思わないとは珍しいな」
「このダンジョン癖が強くて嫌がったんだよ」
「ほう…フリルデーモンやラブ先…生は随分とアバンギャルドなメイクしてるな…」
「煩いわよ?貴方はここの卒業生だけども「わかってるよ、滞在しているとヤバいからさっさとズラかるさ、ダンジョンコアを頂いてな」…あら貰ってくれるの?」
「誰も欲しがらないなら貰うさ」
「取るなら私達が帰った後でもいいかい?ここにいれば私達も攻略した者として残っちゃうから」
「良いぜ」
「もし外に出たら花火でも打ち上げるよ」
サニカ達はさっさとダンジョンを降り表玄関から外に出て花火を上げた。
そしてルウカ達公認のイルミナット島のの島長であるタツキがダンジョンコアに触れた。
するとズゴゴゴゴゴ……と建物が動き出した。




