冥界の鬼人と暴挙
デコピンされたラローネルは結構な距離をゴロゴロと転がり壁にぶつかっていた。
そして相変わらずニョキっと手が七色に輝く水晶から出ていてその手が水晶の端を掴むと身体がどんどん出て来て遂に本体が出てきた。
「ふー…ようやく出られました」
「……………鬼人が出てきた」
『冥界の使者の中でもかなりの強者が出てきたにゃ』
『紅凰殿が出てくるとは……』
「おや、随分と縮みましたね、冥犬王となられた方が」
『我はもはや冥犬王ではないのじゃ』
「……こちらの冥犬達のリーダーが急に冥犬王となったのは私の勘違いではなかったのですね」
『時空間の魔法を無視して出てきたお偉方が何をしに来たのですかにゃ?』
「上司から命でとある世界で現世と冥界の境が曖昧になった原因を作った者をシバいて来いと言われたのですよ……私はとても忙しいというのに……ちっ(←小声で)」
子供たちは強者のオーラを感じ取り萎縮している。
「こんなところに子供がどうしているのです」
『それにはカクカクシカジカでな』
譜月はこれまであったことを簡潔に言った。
「それは結構な事で、私はこの島の子供達のように素直に敵の思い通りに動くことに嫌気が差しますね」
紅凰様はいつも愛用している金棒を上に向けて全力で投げて階層の壁を破壊するとガラガラと壁の一部が落ちてきて瓦礫の山となったがピューっと先に落ちてきてから金棒が瓦礫の山を粉々にし、さらにたん瘤を作り気絶したルウカも落ちてきた。
『『「「「えっ」ッ」」」』』
「おや、私の目的の人物はすぐそこに居そうですね。賢者殿の介抱を頼んでも宜しいですか?」
『………宜しいですにゃ』
それだけ聞くと金棒を持ち破壊された壁をジャンプして登って行った。
「…父さんも一度だけ冥界の使者にあったことあると言ってましたが…アレが」
「……ひと目見てヤバいと感じたわ…」
「とっ取り敢えずルウカ先生を介抱しないト…」
「そっそうね……」
子供たちはリュックから【子供でもできる!緊急処置の仕方】を取り出して本の指示を頼りにルウカを介抱した。
介抱をしている最中から上の方から捕まっているはずのレンカ達の悲鳴やらが聞こえていていたが介抱している玖寿達は勘違いだろうと聞き流し、とても熱い水滴がちょくちょく落ちてくるのも気のせいだろうと流した。
「………うぅ………」
「あっ!ルウカ先生が目を覚ました!」
「ポーション!玖寿!ポーション!」
「わかってます」
「ルウカ先生、ごめんなさいネ」
ラローネルは玖寿から気つけポーションを受け取り目覚めたばかりのルウカに向けて紅茶をティーカップに入れるようにポーションを上から口に流し入れた。
「ガボボ!…グハッ、ちょっグヘっ!」




