番外編 かぼちゃパニック
【クレイバール島】
《大広場》
昼から大鍋やらが用意されハロウィン当日ゆえに島の料理上手達はとても忙しくしている。
料理チームとして集められたのはサニカ、白虎、フルーレ、シェシア、マナリオ、ナオハル、ルファーナの8名である。
ハロウィンのメインである採れたてのカボチャを待っていると、カボチャを持ってきた運び手達がボロボロな状態かつぶるぶると震えていた。
島の料理上手達はどうしたんだろうと運び手達を見ていたが運び手達はカボチャを料理上手たちに手渡すとそのまま、またカボチャの生る畑へ向かっていった。
哀愁漂う背中を見送りながら料理上手達はカボチャの調理に掛かろうとしたら運び手達のボロボロの理由が判明したのだった。
「さっサニカ先生……こっこのカボチャ…さっきから念話を送って来るんだけど…?」
「シェシアもそう感じる?」
「オイラの見間違いかな?なんかカボチャが脈打ってるように見えるんだけど…それに目が合うような?」
「…私の方のカボチャも視線が合う感じがするよ」
「カボチャに目なんて付いてないぞ?…何を言ってるんだ先生た
白虎もフルーレと同じようにカボチャを持ち上げた、すると脳内に『知的生命体発見、分析を開始します』と音声が脳内に響いた。
「ひっ!……カボチャがしゃっしゃべっ」
白虎はカボチャを地面に落とした。
「…………もうマジェリルカちゃんたらカボチャをどのように育てたのかしら…?」
「マナリオ、それどころじゃないわよ?……サニカ先生どうしましょう?なんかこのカボチャ、心臓が動いてるみたいにカボチャの中から鼓動が…」
ルファーナもどうすれば良いか分からず困り顔である。
「なんか怖いわね…」
「シェシアもそう思うの?…機能停止するまで待ってみる?まだ時間はあるものね」
「流石のサニカ先生も切る勇気は無いわよね?」
「うん、切ったら嫌なことが起き「ギャァァァァァァア!」………起きたみたいだね」
サニカの言葉を遮りカボチャの実る畑の方から悲鳴が轟くと料理上手達は一斉に畑のある方角を見た。
するとオレンジ色の巨大なカボチャがぐんぐんと大きくなる瞬間を見た。
「でっかくなったわね〜」
「ナオハル?」
「大丈夫よう、ルウカ先生も居るしノディ君も居るもの〜」
「わたしも向かおうかしら…」
「でも収穫チーム達からはこっち来んなってメッセージが来てるわよ?ルファーナ」
「シェシアちゃんの言うように来てるわねぇ〜」
「まぁ無事であることを祈りながらこのカボチャ達をどうするか考えましょうか…」
料理チームはマジェリルカが育てたカボチャを前にして空気が重くなった。
そして収穫が行われている畑では収獲チー厶のルウカ、ノディ、メルゴ、ロルス、フィリム、アシュガ、カイリ、ラタム、カーウェン達が頑張って収穫していた。
《ハロウィンカボチャ専用の畑》
「ギャァァァァァァア!」
「メルゴがカボチャの蔓に捕まるなんて!」
「ガタイの良いメルゴが!こうも簡単に捕まってるし!ワッハッハ!」
「笑い事じゃないから!ロルス!」
「よく見ると蔓が太くね?」
「ルウカ先生も真顔で「蔓が太くね?」って言ってないでウニョウニョ動いてる蔓をどうにかしてください!」
アシュガとカイリは捕まっているメルゴを見て笑っているロルスとは違い、よく動きカボチャを蔓から収穫していた。
「マジェリルカの奴は一体何を作ったんだ!」
「ホントだよな、マジェリルカちゃん何を作ったんだ…」
「あっ、料理チームにカボチャを届けに行ってたフィリムとラタムが帰ってきたぞ!」
スタカタッタとフィリムとラタムは並走して走ってきていた。
「カボチャを受け取った料理チームどうだった?」
「料理チームも困惑してましたよ…」
「だよな」
「全部収穫するまでどれくらいかかるか戦慄するぜ」
「子供たちがカボチャの収獲したいと言ってたけどハロウィンの服装準備に向かわせてよかったと思っいましたよ」
「だよな…」
ルウカ達は超巨大化したカボチャをどうするか悩みながらも収穫鋏を手に持ちチャキチャキチャキと収穫鋏の音を鳴らしながらカボチャとの第二ラウンドの収獲に取り掛かった
一方ハロウィンパーティーの準備をしている子供たちと残りの島民たちはというと…。
《クレイバール学校でハロウィンの支度をしている者たちはというと》
《クレイバール学校…校庭では》
「ラブ先生〜」
「あら?どうしたの?」
「この服ちょっとぶかぶかしてます」
「もう少し大きくなれば丁度良くなるわよ。それくらいがトリック・オア・トリートと言うのにちょうど良いわ」
「わかったの〜」
子供たちはそれぞれの家に伝わる格好を母親に手伝ってもらい着替え、料理が運ばれてくるまで島の隠居達と追いかけっ子やらして遊んでいるとあっという間に夕方になっていて、サニカ達の料理チームが大量の料理を持ってハロウィンパーティーの会場にやって来て収獲チームも服が破り取られたりしてゾンビの仮装しているみたいでハロウィンに相応しい格好になっていた。
「ひっ!」
「きゃー!サニカ先生たちの服に赤いシミが!」
「いやなに、今年のカボチャは活きが良くってね」
「活きが良いってどういうこと?」
「食べても呪われないから大丈夫さ」
「えっ?」
「取り敢えず始めようか」
事情を知らない子供たちは本格的な仮想だなーと父親たちを見ていたが子供たちと過ごしていたがボロボロになっている 夫や親族を見て何があったの?とアイコンタクトを取ったが目を逸らされ、その年のハロウィンは【ブラッディーハロウィン】として記憶に残ったのである。




