女王陛下に謁見
「まさか…サニカ様たちに育てられた人に会えるなんて」
「騒ぎ立てるのを嫌がるのですね」
「例の山に暮らしているのか…見付かるハズがないな」
「そっか例え宿屋一族でも外で育っているからシルトフォレスト山の話を聞いて育ってるんだね」
「…ミオリとショウヘイの言うことを聞いて良かったわ…」
「もしかして入山しようとしたのか?」
「そうなんだよ、オイラとミオリで説得して止めさせたんだが止めて良かったぜ」
「そうですね…大変な事になってましたね」
「それで村の風習で旅をしてるのよね?目的地はどこなの?」
「【リバンティエル】だ」
「…リバンティエルですって!」
リバンティエルの名前を出したら三人は引いた表情になった。
「今の時期いく場所じゃないぞ」
「猛獣の繁殖期と巨大な地竜が地殻変動を起こしながらうろうろしていますよ」
「それがこの時期にしか手に入らない宝玉が取れるらしくてな」
「あとそこの水を汲んで来いって言われているからね」
「恐ろしいな村の風習」
「そう?」
突然時計台がゴーン…となった。
「あら…そろそろ寝る時間ですね」
「もっと話を聞きたかったけど明日に影響したら大変だから休みましょう」
「部屋に案内するぜ」
◇◇◇
それぞれ部屋に案内され休んでいたが何者かの気配を感じて今はタンスの中に隠れている。
『ボス何をしているんだ』
(なんか気配感じてな)
『…この感じはミストルやカフェルネじゃないな』
(だからといって宿の店主と従業員さん達でもないんだよな)
『鑑定スキルが使えれば違うんだがな』
(覚えられる人は稀だからな~)
がさがさ……がさがさ……
(貴重品は置いてないぞ)
『アイテムボックスが使えるからな』
(なかなか居なくならないな)
(ホントだよね)
『ミストルどうした』
(僕の部屋にも来てるよ)
(カフェルネには魔法かけてあるから何も出来ないから安心だよ…仕掛けて良かった)
(ねぇテス死霊系じゃないよね?)
(生きた人間だろう、この気配)
『私達の眠りを妨げるとは…許しません』
『ボスやミストルが寝なければ我々は眠くても寝られないからな…』
(タンスで一晩を明かすのか…宿に泊まる意味ないな)
(憧れの宿屋一族の宿屋でお泊まりだけどなんか違う、想像してたのと違うよ、各地にある隠れ里で休むようにしとけって言われたけどホントだね)
しばらくしても居なくならない為に怒ったミストルの提案で殺気を出して脅し追い出してオレ為達が使える最大級の結界魔法を施しタンスの中で仕方なく眠った。
「おはようございます」
「おっおはようございます」
「カフェルネが居ないな…二日酔いになったか?」
「我輩ならここだ」
顔色が悪くテーブルに上半身寝そべっていた。
「我輩酒に強いハズなんだが…勘違いだったのか…」
「酒を飲んでも飲まれるなって事知ってる?」
「どこかで聞いたことあるぞ」
「ならこのまま休ませますか?」
「二日酔いに効く薬があるから大丈夫だ、このまま連れていくよ」
「テス準備出来たよ」
「サンキューミストル…チェックアウトしたいんだがいいか?」
「はい…こちらに記入していただいて宜しいですか?」
「それじゃ」
オレとミストルでカフェルネに肩を貸して宿屋から出た。
◇◇◇
「ぼんやりしてそこまではわからなかったが…結界を叩く音が怖かったぞ!」
「僕たちはあえて隠れて見なかったけどね、すっかり騙されてくれたよ魔力で作った人形さんにね」
「宿屋一族はあんなのばっかりなのか…寝静まった所に襲撃するのか…!」
「ばあちゃんは違うけど…ばあちゃんに報告しないとだな宿屋一族に魔神教と繋がっている者がいるって」
オレ達は部屋に行く前に魔神教のシンボルを見つけてしまったが二日酔いのカフェルネが居てくれた事でバレなかった…が絶対に夜になんかあると部屋の一部に隠蔽魔法を仕掛けておいて正解だったそしてベッドに自分の魔力で作った人形を寝かせておいた一応結界を仕掛けて。
本人はタンスに隠れて少したった後に部屋に侵入してきたのは女性従業員さんでミストルの所は男性従業員さん、カフェルネの休んでいた部屋に侵入していたのは店主さん、残っていた魔力の跡を追跡したらたどり着いてしまったが気づかない振りをした。
「お前達が仕掛けてくれたのだろう?結界魔法をな出なければ危なかった…!」
「カフェルネが二日酔いでふらふらしていたからね…僕達の隠蔽魔法を見抜けなかったみたいだからそこまでじゃない…と思いたい」
「今度から確実に隠れ里で休もう」
「うん」
「…リバンティエルでひと悶着起きるかもな」
「フラグを立てるなこの野郎」
カフロルト王国 王城正門前
「ここが人間の国の城か…もぐもぐ…うま」
「行儀悪いよカフェルネ」
「食べ歩きもたまには良いな」
「ごちそうさま」
「行くか」
門番ゴツいな…当たり前か。
「何かようか!…えっ…ま…まさか」
「あなた様は!?」
「この城の中に暮らす者に渡す手紙が…えっ」
ミストルは封蝋されている手紙を門番に見せる前にミストルを見てぎょっと目を向いたすると。
「すすすす…スミマセンでした!殺さないでください!」
「ひぃいい!?」
「「「えっ」」」
「ななな…にゃかへどうじょ!マム!」
門番さんパニック起こしてる…さっきの威厳はどうしたどこに行った…それにマム?…上司の軍人の女性に使われる名称だよな?
「取り敢えず行こうよ」
「だな」
城の中に入っていたら歩く度に城内までパニックを起こしていた。
「じょじょじょ女王陛下はあちらでしゅうう!」
「あちらってどこだよ」
「ヒィィイイ!【強血のマドンナ】が帰ってきたぞぉおお!」
「嫌ぁあ!!殺されるぅうう!」
「地獄のデスマッチは嫌だぁああ!」
「お許しぉおおお!」
「助けてお母さーーーーーん!」
「……イシェーラさんなにしたんだろうな?城内パニックだ」
「さぁ…僕が聞きたいよ」
「城が恐怖に陥ってるぞ!」
コツンコツンと足音がして振り返ると。
「はぁ…情けないですね、全く」
「どちら様で?」
「私はこの国の女王直属の近衛騎士団長ミハエルでございます…お待ちしておりましたミストル様とご友人方」
「ようやく話が通じた…でも距離が遠い!」
足がかくかくしてる!しかも遠い!柱の陰に隠れてやがる!他の兵士を情けないと言っておきながら自分もじゃねぇか!
「警備大丈夫?」
「普段は大丈夫です」
「案内してくれるんだよね?」
「イエス!マム!」
「えっ」
「あっ…つい…癖で」
「なんか不安になってきたこの国」
「オレもだ」
「カフロルトの兵士は噂だと屈強と聞いていたんだが…」
「近くにあるその階段を登ると謁見の間です」
「するって言ったのに案内しないのかよ!」
「腰が抜けちゃって…ごめんなさい」
「ホント大丈夫なのこの国」
オレたちは階段を登り謁見の間に着いたのだった、そこに王座に座る女王がいた…イシェーラさんに雰囲気と魔力が似てるな…いや確実に身内だよ、ミストルはカフロルト王国の本来なら王子様だったと言うことか。
「よくきたのじゃ…首を長ーーくして待っておったぞ」
少しだけ離れた距離に偉い人に向けての挨拶をした。
「面を上げよ…」
「母から手紙を…」
「本当に姉上にそっくりじゃ…でも少し柔らかい感じもするのう」
「イシェーラ様からのお手紙は私が受け取らせてください」
とても威厳を感じるご老人にミストルは手紙を渡しご老人が読み始めた。
「…ふむ………ふぉっほほ」
「姉上からなんと返信が来た」
「イシェーラ様らしいですな」
「女王陛下もお読みになってください」
「わかったのじゃ」
威厳なご老人から手紙を渡され女王もすらすらと読み…笑い出した。
「そうか…ふふふふ…姉上…本当に楽しいみたいなのじゃ…さてそろそろお開きにするかのう?クラウス」
「そうですな」
「ここには我々以外いないからのう…寛ぐがよい」
「私がご用意しましょう…【アフタヌーンティー召喚】」
広い場所にアフタヌーンティーのセットが現れ急遽女王主催のお茶会が始まった。