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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【勇者卒業の章】
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この村は規格外な人たちの集まりだった

麓の村 シルトフォール


「おや!ティルクスちゃんとルトラウス様じゃないかい!」

「肉屋のシカナおばちゃんおはよう!」

「ふふふ…元気がいいねぇ!」

「おう…シカナも相変わらず元気そうで良かったぞ!」

「今日はどうしたんだい?」

「ついさっきテスが大きなトカゲを狩ったんだが皆でおすそ分けしようと思ってな」

「おれ頑張ったよ!」

「おやまぁー凄いわね~村の男たちでも三人居ないと狩れないのに…ひとりで狩るなんて!それから男衆の力も必要だねっ!」

「素材を渡すから物々交換したいんだが…」

「なら何が足らないか教えておくれ、準備しとくよ!」

「助かる」


肉屋のおばちゃん…シカナさんが村の男衆を呼んで村の中心に大きなきれいな布を敷いて剥ぎ取りの準備をした。


「これまた随分大きなトカゲを狩ったもんだ!」

「ワシの孫たちでも3人じゃないと狩れないのにティルクスは凄いのう!」

「…でも最近このトカゲ以外にも熊と猪が現れるようになったんだよ」

「そうなのクイントおじちゃん?」

「…捜索はしたのか?」

「あぁ…二十代の連中に一組三人で組ませて探索をさせたんだが川も森も特に異常はなかったんだ」

「カリスでも解らんか…ば…サニカと一緒に毎日探索魔法を使って居るが異常はないからな」


もしかしたら…この山の外で異変が起き始めたのかもしれない…でも異変が起きるのは今から10年後だぞ…おれが戻ってきた事で環境が変わり始めているのか…?


「この地は生存競争が激しいからな…外の人がシルトフォレストに迷い混んだか?」

「人間はこの土地の魔物の腹の足しにならないけどねぇ…」

「うーん…俺が一度隅から隅まで探索するか」

「おれも行きたい!」

「テスはサニカと留守番だ」

「じいちゃん!おれも強いよ!この大きなトカゲおれひとりでも狩れるもん!」

「遭遇したら外の人は厄介者だらけだからなぁ~まだテスに会わせたくないんだ」


確かにな…魔王を狩れる勇者として利用するだけして終わったら付き添いさせた仲間に殺ろさせて手柄を自分たちのものにするもんな……でも!


「…ティルクス」

「何?村長」

「ルトラウス様…ワシが付き添うから探索の手伝いをさせてくれんか?」


えっ…村長が来るの?普通は若い男性とかを付き人にしない?


「カリスなら安心だが…」

「外の者が来ていたらワシが追い払うしティルクスには近づけさせんよ」

「テス」

「じいちゃん?」

「カリスの言うことを聞くんだぞ?」

「うん、約束するよ!」

「カリス…頼んだぞ」

「お任せください!」


じいちゃんが探索している間に村の人たちに解体を頼み、終わったら物々交換したい物と加工品と肉を分けておいてくれと言って村の外に出た。

おれは村長と手を繋いで村の外にでた。


「村長…おれたちが担当するのはどこ?」

「その道を南西に進んだ果樹園の方向じゃな」

「…果物が生ってたら食べていい?」

「沢山生ってたら村の皆に持ち帰ってやろうか…ワシも味見しようかのう」

「うん!」


順調に進んでシルトフォレストの南西にある果樹園に着いた直後に村長がおれに隠れ蓑を被せて隠れるように仕向けた。


「お前さんらどこの者んじゃ」

「何だ…爺さんかよ…どこの人間でもいいだろう?」

「この果樹園はワシの村の者がこの周辺の主から許可を貰っていただいてる恵みなんじゃ」

「何だと?爺さん…私物化は行けないぜ?」

「この山に入るのは外の国では禁止されてるはずなんだがのう」

「だったら爺さんの村に案内してくれよ?」

「俺たち腹が減ってんだ」

「…そもそもこの山に来なければ済んだこと思うがのう?」

「何だと!爺さん!」

「この爺さんを人質にして村に攻め混むぞ!」

「若い女たちと村の持ち物も好き勝手してやる!」

「くたばれ!クソジジイ!」

「村長!」

「大丈夫じゃ!良く見ておくんじゃぞ!」


そこからは一方的な戦闘だった…まず村長は突然土の中から現れた槍を掴んで薙ぎ払い転けた所に男の急所に槍の長い部分を当て攻撃してから魔法を使って後ろから攻撃してきた人を拘束して最後のひとりに向かって頭と頭をぶつけ意識を奪った…爺さんの動きじゃねぇ…。


「こんなもんかのう?…ルトラウス様とサニカ様に鍛えられ早56年!ワシもまだまだ行けるぞ!」


ん?……じいちゃんとばあちゃんに鍛えられた?えっ…村長もおれと同じように鍛えられたの?


「お前たちはこちらで回収してこれからの処分を決める!いいな!」


村長…気絶してるよ…返事出来ないよ。


「村長…出てきていい?」

「もういいぞ」


おれが村長の元に向かったらそこには神秘的な綺麗な女性が居た。


『あら…カリス…この子が今ルトラウスとサニカが育てている子なの?』

「そうじゃぞ…メリアンヌ殿」

『初めましてね?』

「は…初めまして…おれはティルクスと言います」

『緊張しなくていいわ…わたしはこの周辺の主をしているドライアドのメリアンヌって言うの…宜しくね?』

「はっはい!」

「所でメリアンヌ殿…最近この周辺特に異常はないか?」

『特に異変は無いわね…村に何か異変があったの?』

「最近…大きなトカゲと猪や熊がやたら出没してな…」

『……もうあなた達はインフェルナドラゴンを大きなトカゲって言うの止めなさいよ…この世界に居るエンシェントドラゴンたちが嘆いてるわよ?』

「インフェルナドラゴン?」

『……まさかこの子…インフェルナドラゴンの事を知らないの?』

「ティルクスはひとりで狩るぞ、そのトカゲ」


ドライアドのメリアンヌさんが驚いた表現をしていたが『…本当にこの村は恐ろしいわね…この山の外の国々が手を出すなって言うのも解るわ、ドラゴンを狩るのに普通は出現した国は他国の軍に救援してもらって狩るわよね?』と言っていた…マジか…おれがひとりで狩ってたのって…確かに羽生えてるよ、それに炎吐いてくるし氷の息吹き出してくるけど……ドラゴンだったんだ…そりゃあ引くよ…あっ!大きなトカゲだ!って言って普通に狩るんだからバケモノの子って言われてたのわかった気がする…でもやっぱりおれは許せないなあいつら。


「なら帰ろうかのう」

「村長、その前に果物分けて貰おうよ」

『あなたたちにはいつものお世話になってるから好きなだけ持っていって、いくらでも生やせるから…ねぇ?カリス』

「どうしたんじゃ?」

『ラミーは元気?』

「元気じゃぞ、ハーブ園を管理してくれている」

『ラミーに言ってくれる?たまには母に会いに来なさいって』

「わかった言っとくよ」

「…ラミーお姉さんってメリアンヌさんの娘なの?」

『…わたしが拾って育てた人間の女の子よ?…ドライアドは人や魔物と森の生気を吸って暮らすからラミーの生気を沢山吸っちゃって一度ラミーは死にかけたの…ルトラウスとサニカに相談したらこの村に案内してくれてね…ドライアドを普通入れる村はないのに…わたしとラミーを受け入れてくれたの』

「当たり前じゃ…ルトラウス様とサニカ様に育てられた者たちとその子孫の集まりだぞ?」

「えっ」

『ティルクスは知らなかったのね』


…村長達はじいちゃんとばあちゃんに育てられたの?


「あれ?まだ言っちゃいけなかったけ」

『別に話しても平気でしょう…あとはルトラウスかサニカに聞きなさい』

「うん…そうするよ」


こうして果物を沢山貰ってメリアンヌさんと別れて村長と手を繋いで村に帰ったら夕方になり解体が終わっていてじいちゃんは物々交換を終えていた。

メリアンヌさんから分けて貰った果物を村の人たちに分けてから果樹園で合ったことを話して村長が捕まえた人たちを村の錬金術師のカリーナさんが牢屋を速攻で作り自害出来ないように魔法を仕込んで閉じ込め村の中心に放置した。

捕まえた人たちは後日待遇を決めると言ってじいちゃんたちの家がある頂上付近にじいちゃんと手を繋いで帰っていった。



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