仲良シ
【クレイバール学校迷宮】
《7階層〜色欲と欲望の海〜》
「本当に………酷い人達です……このメンバーで攻略できるのでしょうか…?」
巨大なハリケーンに呑まれた玖寿達は死に戻りした時にそのまま海に投げ出され死にかけたが、マーメイド狂いから通常モードに戻ったルフェルニカに助け出され、水が無くなったために歩いていけた次の階層に向かう階段の近くで話し合いを始めた。
玖寿は女子達から距離を取って焚き火を使い体を温めていた。
『仲良死してどうするんじゃ……お前らに巻き込まれ死に戻りしてからと言うもの…玖寿に距離を取られてるぞ』
「……悪いと思ってるけど後悔はしてないわ…」
「反省しなさいヨ」
「あなた達がでしょうが」
「そもそもルニカが『全面的に女子が悪いにゃ』
翡翠はもう充分に温まっただろうと離れている玖寿の側まで向かい焚き火の炎の後始末をして玖寿が背負っているリュックに噛みつき玖寿を無理にでも会議中の所に連れてきた。
そしてズバッと女子がギスギスしていたのを一刀両断した。
『玖寿も嫌かもしれないけど参加するにゃ』
「………」
『最後のハリケーン件は確実にエトシェリカとラローネルも悪いが、ハリケーンの規模を考えないで使った我も悪い。
経験値も我ひとりで独占したからな』
「経験値に関しては僕達は戦ってないですから当たり前です」
マーメイド達を淘汰した経験値は全て譜月に入り、マーメイドの討伐に関わっていないので子供たちと翡翠は一切の経験値が入らなかった。
「…それでどうするノ?」
「身代わり石が最後の一個になるまでは行くっきゃないでしょうね」
「ならモンスターが居ないうちにさっさと次の階層に進みましょう…」
すると何処からか地響きが起きた。
『なんか揺れてるにゃ』
『おい見てみろ!我らが来た階段に巨大な手が!』
「あの指輪とかジャラジャラさせているのワ…」
「ゴテゴテの衣装を身に纏ったギガース?」
「あれ…?なんか手に持ってない…?」
ジー…とゴテゴテの衣装を身に纏ったギガースの腕がニョキっと階段から出て来たと思ったら手に白い服を持っていたのが見えた。
「あれっテ………白いワンピース?」
玖寿はスッと立ち上がり一言。
「逃げましょう」
「やっぱりそうよね?あれって花嫁衣装よね?!」
「えッ」
「逃げるが勝ち…!」
ドタバタしながら次の階層ヘ急ぎ足で向かって行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【クレイバール学校迷宮】
《第???階層》
巨大な氷の塊が2つあり1つにはラブナシカだけが入れられもうひとつには子供たちと3つのランタンが入っていた。
「おー……足の引っ張り合いをしたとしてもギスギスするけど仲間割れはしないんですねぇ。
もっとジッワジッワと苦しんで欲しいと思っているのに…予想外ですねぇ……それにオカマ等の顔を見るのに見飽きてきたので早めに切り上げてしまいましょうか?」
「キロイス……」
「はい?どうしました?【叡悠の賢者】殿?」
ルウカだけは氷の塊の中に入れられることなく鎖で縛られ3重の結界の中に転がされていた。
「どうして辺境の地である……この世界を狙った……」
「理由は特に無いですよ………ただ平和ボケしてそうでしたから命を賭けた戦いをさせてみたいと思った次第でございます。
こうなったからにはアレを使いましょうか…そして迷宮の中にいる子供たちには何をさせようかな?」
「…………(どうやってこの状況を切り抜けるか……活力を常に抜かれている分、マトモに動けやしねぇ。
因果に介入できるだけの実力を持ってても太古の勇者相手には駄目か…)」
ルウカはまた瞑想してどうやって抜け出すか考え始めた。
【クレイバール学校迷宮】
《8階層〜憤怒と高熱の坑道〜》
「あっぢ〜わァ……海の次はマグマ」
「ラローネルはハイビーストモードになったほうが過ごしやすいと思いますよ……」
「ハイビーストの環境の適応っていう奴ね…玖寿、なんか涼しくなる様な魔法無いの?その聖書に」
「あるわけ無いでしょう…」
「ひっ…!」
「もう、…エトシェ気を付けなさいよ?」
「なら話してないでさっさと進んでっ…!細くて脆い足元の岩場が崩れてきてるっ…!」
結構な細道を通り約8メートル下にはマグマがポコポコと音
を鳴らしている。
先頭をラローネルが歩き最後尾にエトシェリカが歩いていた。
だがラローネルがピタッと立ち止まった。
「どうしたの?ラローネル」
「……なんか変な匂いがして来たんだけド……大丈夫よネ…」
ラローネルは最後尾をチラリと見て余裕が無さそうだなと思いトントンと進み大きく開いた場所に出た。
すると他の子供たちも足場が崩れ始めたの感じ取りラローネルがいる場所に早足でたどり着いた。
「はぁ……どうにか間に合ったわ……」
エトシェリカが渡ると足場が全て崩れた。
「…………………趣味が悪いですね」
「どうたの?玖………コッチもコッチで嫌なんですけど」
「えッ?なになニ?」
ラローネルが地面に座って休んでいる場所のちょうど真上に【ドキッ!奥の細道一輪車デスマッチ!今回はBOSSモンスターが居ないかわりに度胸試しダヨ!】と電子案内板が出ていた。
細道の左側通行の方には一輪車に乗った魔物がニヤニヤと笑いながらコチラを見ていた。
右側には一輪車がそのまま転がされていた。
「あのモンスターって…ピクシー?」
『ピクシーもイタズラ好きじゃが、耳も他のピクシーに比べて長くないのう…あそこまで汚ったねぇ笑い方はしないぞな』
『もしかしたらにゃけどゴブリンとピクシーのミックスかも知れないにゃ』
「いやーん、最悪っ!」
「ここにいる限りは大丈夫なのかしラ?」
「そうでもなさそうよ……」
エトシェリカが電子案内板を見て言った。
すると試合開始まで後5分と出ていた。
「あっえっ…ちょっちょっと…カウントダウンが……誰かしら乗らないと行けませんね」
「ならアタシが乗るわ!」
ルフェルニカが手を挙げてから一輪車の元に向かい乗った。
すると残った三人と二匹は突然現れた檻に収監されマグマがグツグツしている場所に吊るされた。
「ルフェルニカが負けたら終わりってこと…?」
「一蓮托生、連帯責任…」
「地獄の底まで一緒って事なのネ……」
『………流石にコレはやり過ぎじゃぞ?』
『酷すぎるにゃ…』
ルフェルニカは捕まった三人と二匹を見てこれはまた…大惨事になったと冷や汗をかいた。