身代わりアイテムがあるから怖くない!ドシドシ登って行こう!
【簡易野営テント】
《救護室》
「…………取り敢えずの所はコレで大丈夫そうだな」
死に戻りをして精神的にやられた子供たちを人化したメフィリーネが魔法を使い落ち着かせ一旦寝かせた。
『助かったにゃ〜…メフィリーネ』
「まさか初めからあんなのが出てくるとはな」
『我も驚いたぞ…サニカと別行動を取って来たと言ってたが…何かそちらでも合ったのか?』
「あぁ、星の泉までは何事もなくたどり着いたのだが、【結晶の木】に邪悪な魔素を固めたマナの結晶が芯に刺さっていてな。
サニカが抜こうとしたら神聖な筈の星の泉から凶悪化した海にしか居ないはずの【シードラゴン】が出てくるものだからダンジョン組もヤバいんじゃないかとサニカとアイコンタクトを取ってすぐに来た」
『……階数を上げればドンドンヤバいのが出てきそうで戦慄するにゃ』
「そのことならサニカから譜月と翡翠宛にアイテムを託されたから受け取れ、それと【帰還の鈴】も全員のを新しいのに変えておいたぞ」
『助かる』
メフィリーネはサニカから預かったキラキラと光る果実を床に置いた。
『こっコレは!【飛び級の実】!』
「向こうが本気で殺しに掛かってきているのであればコチラも容赦しないと託された。
使う機会がなくサニカのバックの底に眠っていた物だ」
『結果はわかりきってるけどもシードラゴンはどうなったにゃ?』
「サニカが魔法の鎖で縛り上げカーウェンが【ドラゴンを斬り続けてきた事呪われた剣】を使い一刀両断して星の泉が穢れたから子供達を治郎とエルシィが守りサニカとカーウェンで浄化してる」
『瞬殺か…しかも泉が穢れたとな…』
「…さてそろそろ我も戻ろうか。この果実はダンジョンの中で食うんだぞ?」
『それくらいわかってるにゃ』
メフィリーネは海馬の姿に戻りテントに結界を張ってからスッタカタッタと校庭を駆け抜けていってから30分後に子供達は目を覚ました。
「あのオーガはどうなりましたか!」
『落ち着くにゃ、玖寿』
「オーガならメフィリーネが来て蹴散らしたわヨ」
「………微かに記憶にあるような気がします…」
「死にかけたから記憶の混雑が起きてる……」
「それでどうしよっか…学校迷宮に行ける?」
ルフェルニカの言葉に3人は黙った。
『それならお前達はここで精神を落ち着かせていろ』
この言葉に子供達は譜月の方を見た。
『サニカから【飛び級の実】を受け取った。だから我と翡翠でダンジョンを攻略し、お前達が階層の行き来をできるようにしようぞ』
『サクッと行ってくるにゃっ!』
「ちょっと待っタ。それじゃ誰がこのテントを守るのヨ」
『メフィリーネが結界を張ってくれている』
『大丈夫にゃ!すぐに戻ってくるにゃ!』
「ちょっと!」
子狼と仔猫はルフェルニカの静止に止まらずにシュバババ!とテントから飛び出し【クレイバール学校迷宮】に入っていった。
「行っちゃった…」
「僕達を守れなかったのが堪えているみたいですね」
「………従魔たちだけで攻略できるのかしら…?」
「こうなったら戻って来るまで待つしかないわヨ」
子供達は精神的苦痛によって体が動かないのにすぐに気づき二匹が帰ってくるまでその場でボーっとして過ごした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……凶悪なダンジョン……日葵も巻き込みたいわ……ワタシ達だけなのが不公平よ……」
「エトシェが突拍子もない事を言い始めたワ」
「でもそうじゃない…?」
「エトシェがそういう風に言いたくなるのわかるわ…まさかここまで理不尽だと思わなかったもの」
「なら一旦、譜月たちが戻って来たら宿屋に戻りましょう」
「そうね」
「戻って来ていいって言われてるものネ」
玖寿達は未だに震える体に鞭を打ち帰り支度を始めているとボロボロの柴犬の大きさの狼?な譜月とぽっちゃりした姿となった翡翠がやって来た。
「どうやら進化したみたいだけど譜月と翡翠もボロボロじゃないノ!」
『……………ごめんフロアボスに勝てなかったにゃ……』
「えっ」
『ここまで引き連れてきちゃったぞ』
「…………えっ?」
次の瞬間、メフィリーネが張った結界が破れれる音が響きテントが真っ二つに引き裂かれた。
そして目の前にはゴテゴテの衣装を身に纏ったゴージャスな巨人が子供たちの目に写った。
「「「「キャァァァア?!」」」」
「おっ……ワシ好みがおるのう」
ゴテゴテの衣装を身に纏った巨人が近付いてきた。
「知能あるモンスターァア!」
「きっ帰還の鈴!」
子供たちは一斉に帰還の鈴を上に掲げるとシャンと鈴の音が響き渡ると一瞬にして景色が変わった。
4人と二匹の目の前には宿屋の室内ではなく見覚えのある恐怖体験した場所にワープしていた。
「譜月、翡翠…どうなっているのか説明してもらっても?」
『宿屋に設定されていたはずにゃ』
『こうなった場合は我でもわか………あっ』
譜月は何かに気付いたようである。
『……もしかするとだが』
「だが?」
『ダンジョンに入ったことでキロイスが作ったシステムによって書き換えられた可能性も無くはないぞ』
それを聞いた子供たちの何が弾け…。
「あのゴージャスなギガースがいる限り外には出られませんよ?気になることを言い放ちましたから」
「ですよねェ…」
「どんなに怖くっても…どんなに痛い思いしても攻略するしかないのね……」
「こうなればやってやろうじゃないの!身代わりアイテムがまだまだあるから怖くないわ!ドシドシ登って行くわよ!」
「自暴自棄になったワ」
「「…………………」」
ルフェルニカが曽祖父から借りている銛を取り出すと残った3人は父から譲り受けた魔導書、サニカから借りている異界の聖書、変身用のアンクレットをバックから取り出し攻略を開始した。




