では行け!小さな探検家たちよ!
【クレイバール学校】
《表玄関の前》
「温室は特に異常はなかったよ、サニカ」
「その割には……君の服の染みが増えていてエトシェリカ以外の子供たちが怯えているんだけど?」
「もう父様ったら最高のユーモアね!」
「この親子ヤダもう……」
「日葵やルフェルニカが見た光景をありのまま話してくれる?」
すると日葵が代表して話しだした。
カーウェン達と共に温室に向かい室内に入ると温室の植物達が一部を除き禍々しい姿に変貌していて毒の胞子を吐き出していた。
カーウェンが切って調べると赤い液体が飛び散り染みが増えてそうである。
この世界では生えることのない異世界の魔界に生える様々な毒性の植物に変わっていて【踊るマンドラゴラ】達にも変化が現れヘッドバンキングをしながらヘビーメタルを奏でるヘビーメタルのバンドマンメイクをしたマンドラゴラがいてその周囲を結構な数のその他のマンドラゴラ達が【K○SS風】メイクをして「ウェイ!ウェイ!」と片腕を上げて囲っていたそう。
そして一部の植物…と言っても例の【とある魔女が勝手に埋めていった木】だけが変化せず半径5メートル周囲を自身の持つ魔力でもとの姿に保っていたそうである。
そしてその魔女が勝手に埋めていった木の側を離れなかったマンドラゴラたちは相変わらずサンバ好きの【踊るマンドラゴラ】のままだったということであった。
「…それで【魔女が勝手に埋めていった木】と【踊るマンドラゴラ】たちは維持するためのちゃんとした栄養を吸えていたかい?」
「えぇ、サニカとルウカがとある異世界で手に入れた澄んだ水をその場で生成する植物を【魔女が勝手に埋めていった木】の側に植えていたので【踊るマンドラゴラ】たちが甲斐甲斐しく木に水を与えたり自分たちもその水を飲んで過ごしてますよ」
「カーウェンさん達はヘビーメタルのバンドマンのメイクをしたマンドラゴラ達に襲われたりしなかノ?」
「高級耳栓をしてバンド風の方の声も聞こえないようにして探索してたから大丈夫だったけど、バレて複数に囲まれて足をゲシゲシと踏まれても痛くなかったわ」
「バレてたワ…」
「呪いとかは特に無いみたいだし良かったぞ」
「うー……わたしもついてけば良かったわ」とヴァリラは温室の方を見てそういった。
「薬の材料にしてもなんかヤバそうな感じがします…」
「おれも玖寿の意見に賛成だよ…」
「カーウェン、ある程度採取しておいてくれた?」
「えぇ、刈るだけ刈っておきましたから後でマジェリルカたちを交えて研究しましょうか……ククククク…」
「そうだね」
怪しい雰囲気を醸し出した大人たちを見て子供たちは「何かしでかさないで欲しい」と心を一つにした。
「それじゃ最後の確認だけしよう」
「はい」
これからダンジョンに挑む子供たちの持ち物リストをチェックして見落としがないか念入りに調べ見落としがないことを確認した。
「……譜月、翡翠も行くんでしょう?私の影から出てきて子供たちよりも先に入って確認してきなさい」
影から現れた子狼と仔猫が現れ『『………………魔境か?』にゃ?』と譜月と翡翠は表玄関を見て言った。
「…………大丈夫でしょうか……僕たち…」
「サニカ先生、盾をもう一人増やしたいんだけど?」
「莉糸は男子を肉盾にしないの」
「肉盾……」
「チームワークを大切にな…譜月たちもエトシェリカ達をよろしく頼むよ」
『…………あぁ』
『不安が残るにゃ…』
子供たちば表玄関の前に立った。
「いってらっしゃい」
「気をつけてな」
「お姉…あんまり無理しないデ」
「そっちもネ」
「……それでは行ってきます」
子供たちは一斉に歩き子狼と仔猫も子供たちの先に歩みだし学校の中に吸い込まれていった。
「譜月も翡翠も大丈夫だね」
「サニカ先生……」
「それじゃ私達も行こうか」
「うへへへへ……」
「ヴァリラがトランスモードに入ってるぞ…」
「サニカ先生、まずは何処から行くんだ?」
「星明かりの森から巡って行こうか…星の泉の湖畔に植えた結晶の木の様子が気になるんだよ」
「え?」
「車で星明かりの森に行かなかったものあるけどね」
「それじゃ行こうよ!」
「心配だから仲良しロープを使っていくよー」
こちらも学校の敷地から出て目的地に向かった。