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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
291/556

タヌ治郎の回想

【火天の宿屋】


《道場》



『『…………………………………………』』



ラローネルと譜月は玖寿の匂いを見つけクンクンと嗅覚を使い匂いを辿ると紐に足を引っ掛けぷらーんと宙に浮いている玖寿を発見した。



「……笑うなら笑えばいいのです」

『その体勢キツくない?玖寿』

「いつもの事なので大丈夫です」

『それが通常だと言うならヤバい気がするぞ』

「降ろしてもらっていいですか?」

「うン」



ラローネルは人の姿に戻り紐を解いた。



「ありがとうございます。ラローネル」

「それでは一応捕まったということで牢屋に入ってもらおうかナ」

「そうします」

『牢屋まで我が案内しよう。ラローネルはこのまま他の子供たちを探してくれないか?』

「わかったワ」



ラローネルは譜月と捕まえた?玖寿と別れて別々の行動を取った。

変身して犬型のハイビーストの姿となりまたまた隠れている子供たちの捜索を開始した。



(…そう言えば何だかだんだん暗くなって来てるワ……明るかった道場がなんか暗いわネ?気のせいよネ?)



ラローネルは周囲を見渡し確認しやはりだんだん道場が暗くなって来ていることに気が付いた。

暗いのに取り逃がしたイオンやエトシェリカや莉糸の居場に↓という矢印マークが出ていた…なぜなら↓の矢印が3つあるからである。

そしてまだ見つけられていない日葵とルフェルニカとディーシェとヴァリラには↓という矢印の上にNewというのも付いていた。



(えっなニ?早く捕まえろってこト?…翡翠に習った背後に忍び寄るやり方で捕まえようかしラ)



ラローネルは翡翠にやり方を教わったように魔力を感知されないようにそっと気配を消し、先に捕まえると決めディーシェとヴァリラの元に向かいポンっと前足を使って叩こうとしたらふたりは簀巻きにされ口輪されていた。



『ふぉッ…!』

「「んー…!」」

『どっどうしてこうなってるのヨ。今解くから大人しク!』



するともぞもぞしていたディーシェとヴァリラは大人しくなりラローネルが犬型を解いて縛られたふたりを解放した。



「おっオネェ!」

「あたしはオネェじゃないワ。お姉よ」

「ニュアンスとか気にしてる場合じゃないのヨ!お姉!」

「ヴァリラもディーシェも誰に縛られてたのヨ?」

「まっマネキンよ…!もしかしてまだラローネルは遭ってないの?!」

「マネキンて何ヨ……ようやく玖寿とふたりを捕まえた所ヨ」

「えっ捕まえタ?………そう言えば譜月と玖寿どこなノ?」

「譜月なら捕まえた玖寿をルニカが牢屋と指定した場所に連れてったわヨ?」

「「あっアウトーー!!」」



ふたりの叫び声に↓の矢印マークが出ていてまだ捕まってない子供たちの↓の矢印マークがビクっと動いた。



「お姉!今はそこが一番危ないのヨ!」

「えっエ?」

「えっ?じゃないわよ!隠れている人達は放置して行くわヨ」



ラローネルは何が何だかわからずじまいだが囃し立てられふたりに急かされ先に飛び出していった妹とヴァリラを追いかけた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




ラローネルとディーシェとヴァリラはルフェルニカがパルクールケイドロで牢屋に指定した場所に辿り着くと……。



『あっちゃ~…間に合わなかったワ』

『えッ……………ホントに何が何やらヨ…今さっき紐に足を引っ掛けて吊らされてたのに譜月と一緒にまた吊らされてル…』

『この様子だとホントにマネキンと出逢ってなかったのね』

『こういった目にいつも会うわよネ…玖寿っテ』

『………パルクールケイドロをしている場合じゃないわネ………あれ?そう言えばマネキンの首から上が無いわヨ?』

『え『エ…』』



三人は背後に嫌な予感がしたが一斉に振り返るとマネキンの頭がありしかも顔がニチァと笑っていたのと目が合った。



『『『キャァァァァァ!!』』』



三人は一斉に隠れていた場所から飛び出し3方向に別れて逃げた。

その様子を上から見ているタヌ治郎は…。



(………隠遁術で姿を…消しているとはいえ、あのマネキン一応ボクの事を警戒しているみたいだね。

脅かしたりするぐらいならボクが動かなくても大丈夫そうだけど…それにしてもホントに玖寿はいつもの人型の魔物やらに捕まったり人が仕掛けた罠に掛かる……)










〜タヌ治郎の回想〜







「うぅ……またワナにかかりました…」

「うーん…流石の白虎もここまで罠に掛からないのですが…玖寿に関しては良く掛かりますね…」

「かあさん…といてください…」

「大人しくしてくださいね」



キユクは玖寿が縛られている紐の一部を切るとスルリと縄が解け玖寿は受け身を取った。



「どうしたものですかね…」

『それならボクが罠に引っ掛からないようにするための事を教えようか?』



玖寿とキユクの事の様子を見ていたタヌ治郎がガサガサと籔から出てきた。



「タヌ治郎ですか」

『平和な世界線の地球人の血を引くとよく罠に掛かる子供が生まれるよね』

「そうなのですか?僕の両親は地球人とクレイバール島の島民のハーフですがふたりとも罠に掛かっているの見たことないのです」

『ユウコと香留は超能力バトルがある世界線の地球人の血を引くからじゃない?』

「そうなんですかね?……それよりもタヌ治郎、何か企んでないですよね?」

『なにも企んでないよ。いたって通常通りだよ』

「…まぁ…タヌ治郎がそこまで言うなら良いでしょう…それでどのように指導するのですか?」

『タヌ治郎の流儀』

「タヌ治郎が自信満々で言うのであればと思いますが、やっぱり不安です」

『もし駄目なら、解任してくれて良いよ』

「……わかりましたそこまで言うのであれば託しますが…このことはサニカ先生に伝えておきます」

『うん、大船に乗ったつもりでいてよ……明日からやるから今日はもう休みなよ』

「そうしましょう」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇













 




【星明かりの森】



《タヌ治郎の秘密基地》



「玖寿も他の子供たちと同じく運動神経は悪くないね。でもどんなに指導しても罠に掛かっちゃうね」

「………おろしてもらっていいですか?」

「うん」



人の姿を取っているタヌ治郎は原始的な罠に掛かった玖寿を救出した。



「かれこれ1か月訓練してるけど呪われてるんじゃない?」

「いきなりそれですか……じんじゃにもおまいりしてますけどとくにのろわれてますねっていわれてないですよ?」

「そうなんだよねぇ、ボクは何人もの罠に掛かりやすい子に秘密裏に訓練して欲しいと頼まれ指導してきたけどここまでなの初めて」



タヌ治郎がうーんと唸っていると【タヌ治郎の秘密基地】にサニカがやって来た。



「治郎、どうだい?玖寿は罠に掛かりづらくなった?」

「それが全く…効果なしだよ…他の子供たちと同じく運動神経良いんだけどね」

「こればかりは少しずつ 少しずつ自身で解けるようになるしかなさそうだね」

「えぇ…」

「玖寿は不服かもしれないけど大きくなれば自身で罠から脱出が出来るようになる子が多いからコレばかりは時間とともにだね」

「それまではボクが側で見守るよ」

「…いつかワナにかからなくなったといませてみせます…!」








……それからすぐにボクは気づいた……どうして玖寿が特に罠に掛かりやすいのか。


いつもそばにいたボクが罠があるよとかを言い忘れると玖寿は人が仕掛けた罠に必ず掛かるが大怪我したり大人たちにガッツリ叱られるような事が起きないということを発見したのと、玖寿以外の異世界の人間にも玖寿と同じ体質を持っている人が居ることも判明した。


玖寿みたいな体質を持つものを異世界では【不運と幸運を平等に持ち合わせる者】と呼ばれている。




(ボクや他の子供たちに罠があるよとかの注意事項を言われてないから今回もそこまで悪いことは起きないだろうし……もう少し見ていよう)



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