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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
290/555

パルクールケイドロ

【無敵の宿屋】



《西側のエントランスラウンジ》



「サニカさん…どうして莉糸を先発隊チームやそれぞれの家の木彫りのアート達の探索に入れなかったんだぞ?」

「……莉糸を入れなかった理由は一つあってね。

学校の温室に向かった後に私が見て回れなかった場所を見にいくと言ったカーウェンと付き添いのルファーナとメルゴのパーティーに組み込もうと思ってて」

「あぁ、それで」

「いざとなった状況下で莉糸は子供たちの中で唯一、ピンチに陥っても直ぐに逃げると言う判断を下して逃げ帰ってこれると確信してるから」

「…………………」

「そうやって判断を直ぐに下せるのは良いことだし悪いことではないさ…それに生存本能があるって良いことだよ」

「はは…」



親としてなんとも言えない気持ちになった唯糸であった。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








一方その頃の【火天の宿屋】


《道場》


『くんくん………譜月…誰の匂い見つけタ?』

『それが弱くなった途端に隠れるの上手い子供らの匂いが探れなくなったのじゃ』

『そっカー…なら音を聞き分けてヨ………あッ』


ガタッという音が響いたと思ったらタッタタと移動する音がした。


『流石の我も聞こえたぞな』

『それじャ……捕まえに行きましょウ』



ラローネルと譜月はニヤァと笑い肉体強化を自身に使い逃げた人物を追いかけ始めた。


最初に追いかけられる人物はいつもと同じように叫びだした。



「イャァア!何でいつもいつもウチぃ!」

『だって一番見つけやすいのヨ〜匂い袋とか使って服とか良い匂いがするから一発ヨ?』

「他にもオシャレいるじゃないのぉ!」

『腹黒から捕まえたほうが良いからの!』

「誰が腹黒じゃぁ!」

『『オメーだヨ』じゃ』



莉糸は全力疾走で障害物を物ともせずに避けまくっているが犬モードになっているラローネルと譜月の体力にはやはり負けるのである。



『『ジャンピングキャッチ!!』』



譜月とラローネルのコンビネーション技が放たれた!…が莉糸は譜月とラローネルがジャンプしたのを見計らい急に立ち止まり身を低くしてふたりのコンビネーション技を避けた。



『『なッ!』』

「ふん!これくらいは想定済みよ!ざまぁ!」



莉糸はくるりと体勢を整えラローネル達がジャンプした方向とは逆に走り出した。



『もう!莉糸は一言二言多いのヨ!この腹黒!』

『苔にされるとイラッとくるのう…おや?』



莉糸は追いかけてくるだろうラローネル達から自分が確実に逃げるために毎回鬼ごっこするたびに使う禁じ手を使った。



「そんなところに隠れてないで出てきなさいよ!イオンとエトシェリカ!」

「なっ!卑怯だぞ!莉糸!」

「これだからアンタは腹黒とか卑怯者って言われるのよ…!」



莉糸はイオンとエトシェリカが隠れている場所に向けて初級の炎の魔法を使い小さな炎を出してここにいるよ!と隠れている場所を知らせた。


隠れた場所を知らされたふたりは一斉に飛び出し莉糸と同じ方向に向かい捕まらないように逃げた。


「いっつもいっつも!最初に見つかる莉糸は隠れている仲間をいつもの手口で引きずり出す!そのままなにもしないで逃げればいいのに!」

「毎回ウチだけ走り回るのはなんか癪だから嫌よ!」

「今回はワタシが捕まるからふたりはそのまま逃げて」



エトシェリカは投げやり風にそう言って後ろから追いかけてくるラローネルと譜月を見て捕まろうとしたがラローネルと譜月の背後にいつの間にか浮かんでいた【マネキンの頭】がニヤァと笑っているのを見て直感的に捕まったらヤバい!と莉糸とイオンが走っている方向とはまた逆の方向に無表情でしかも全力疾走ではり出した。


その様子をちらりと見ていたイオンと莉糸は何が起きたんだろうと思った。

いつも体育の授業で手を抜いているあのエトシェリカが全力疾走で走って逃げているのけどなにか起きたのかと疑問に思ったが残念なことに二人には角度とかの関係でマネキンの頭は見えなかった。


ふたりはラローネル達と距離を開けることに成功してまたまた二手に分かれそのまま逃げていった。




『あー…見逃しタ……まさかエトシェの全力疾走をこの目で見ることになるなんテ』

『あのエトシェリカが全力疾走したの初めてみたぞ。あんなに早く走れるのだな』

『これからどうしよウ?』

『またじっくりと捜索すれば良いと思うぞな』

『そうしましョ。…次の獲物は誰かナ』

『ふふふふふ…』

『ふたりとも少し良いかい?』



するとそこへタヌ治郎が現れた。



『ワッ!…驚いタ……急に目の前に現れないでヨ』

『悪かったよ。ラローネル』

『タヌ治郎、どうしたのだ?』

『莉糸を追いかけた辺から見ていたんだけどさ……この散らかりようって君たちが来てからもこうだった?』

『あっタヌ治郎は鍵を開けるだけで入ってきてなかったのよネ…パルクールケイドロを始める前からこうだったワ』

『そっか』

『何かあるのか?タヌ治郎』

『いや、なんでもないよ。引き止めてゴメンねボクは…見守ることにてっするからね』



タヌ治郎はピョンピョンと高い場所に登って定位置に着き、ラローネルと譜月は隠れている者を見つけるための追跡作業に入っていった。


その様子を見ていたタヌ治郎は……。



(あー…ロルスの奴、処分する前に天命終えて逝った【呪具マニアのキノント】が残した呪いのマネキンを使って訓練してたけど封印を施して片付けるの忘れてたね?

全く、面倒くさがり屋にさらに拍車が掛かってるし……でも何だか愉快なことが起きそうだねぇ。

もしマネキンが刃物を体の絡繰から取りだしたらならボクも介入しよう…それまでは反応を楽しませてね?)





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