宿屋にチェックイン
「オレの決闘騒ぎで夕方になった…すまん」
「仕方ないよ、ラセスに手を出されたんだから」
「…人間は恐ろしいぞ」
「魔族は蹴落とし合いはしないのか?」
「今は特になかったな…魔王は推薦かなりたい奴が魔王をやっているからな」
「へぇ…意外だね」
「殺伐としてると思っていたが」
「魔大陸は勇者が攻めてこなければ至って平和だ」
「魔大陸に行くのは海を渡るか空からのルートだけだが…前回の勇者生活の時はとても忙しく急かされたな早く行けと」
「確かにそうだな…前回の人類側は焦っていたみたいだな…ここ最近は勇者来ないし暇だったぞ」
「何か変化があるのかもね?前回の時は僕は居なかったんでしょう?」
「そうだが考えれば考えるほど混乱してくるぞ」
「今は目的を果たすのみにしようか」
「そうだね母さんの手紙を届けよう…でも夜になるから宿探ししないと」
「それなら宛があるぞ、前回もその宿を経営する一族によく助けられたものだ」
「ティルクスが言うのであれば良い宿なんだろう」
「テスどんな宿なの?」
「ミストルや魔王も1度は聞いたことがあるだろう?最古の一族のひとつ旅する宿屋一族の宿屋だ」
「なんと!極上の食事や温泉に布団やベッドがあると言われている伝説の宿屋か!」
「ここにその宿屋一族が?」
「あぁ、ばあちゃんから宿屋一族の宿に泊まる為のコツと証を貰っているから場所がわかるんだ、迷惑かけたからオレが全部持つよ」
ミストルとカフェルネを連れ宿屋一族が一時的に経営している場所に向かった。
湊藍の宿屋
カランカラン
「いらっしゃいませ~!」
「部屋は空いているか?3部屋必要なんだが」
「はい、空いてますよ」
「あと食事も取れるか?」
「大丈夫ですよ」
「客は僕たちだけなんだね」
「ここが伝説の宿屋…」
「ここに書いて貰って良いですか?」
「オレが書くよ」
書類に書いてチェックインしてから回りを見たらここは隠れ里ファイズマと同じ和風の宿屋なんだな。
「そのネックレス…まさか!会員のネックレス!」
「えっ?」
「ミオリ!ショウヘイ!久しぶり凄い人に会えたわ!」
「シズカ様…はしゃぎすぎです」
「お客さんの前だぜ?」
「今日はもう閉じちゃいましょう!」
店主が興奮している。
「お食事しながら…マナーが悪いかも知れないけどお話出来ない?」
「僕は構わないよ…店主さん出来る人みたいだし」
「我輩は食事が出来ればいいぞ」
「やったぁ!」
店主と従業員が台所に急ぎ足で向かい高速で料理を作っている…速すぎてオレの目でも追えない…連携も見事なものだ。
「たんとお食べ!気合い入れて作ったわ!」
「そちらが知っているルトラウス様たちの話も聞かせて欲しいです」
「伝説の宿屋を受け継いだ方たちの縁がある人か」
「サニカさんたちの事知ってるの?」
「当たり前よ!サニカ様はわたしのご先祖様の妹なのよ」
「もしかしてそちらの従業員さんたちも」
「オイラはルトラウス様の妹の子孫だ」
「ワタシもルトラウス様とは少し遠い親戚の子孫です」
なんと店主さんと従業員さんたちはじいちゃんとばあちゃんの遠い親戚だった…じいちゃんとばあちゃん兄弟いたのか…全く話してくれなかったけど昔なにかあったのか?…帰ったら聞いてみても良いかもな。
「そのふたりは夫婦だから手を出さないでね?手を出してボロクソにされてもわたし知らないから」
「さすがは…宿屋一族、鍛えられているんだな」
「そうだな…宿屋を継ぐと言うことはかなり危険な海辺や国に行ったり深い森や標高が高い山で一時的に経営したりするからな、山賊に襲われたりするから鍛えられている」
「それに親たちからの認定が降りないと旅に出られませんからね」
「へぇ」
「サニカ様は初代様が作った伝説の宿屋を引き継いだ方で他にもうに2店舗もってるらしいの…わたしも泊まって見たいわ」
ばあちゃん達と暮らしていたあの家はその2店舗のどちらかだな、ばあちゃんの本宅は空島のあの家だろうからなー…その宿を目印として待ち人をずっと待ってるって言ってたな。
「ルトラウス様はそこの従業員なんですよ」
「ふたりが常につるんでいるのって…」
「相性が合ったのもあるけどそういう関係性があったんだな」
「ほら、つまみ作ってきたぞ」
「ショウヘイありがとう」
「この宿屋を経営して長いのか?」
「えぇ、もう263年目になるわ」
「にゃんだと~…!」
「カフェルネ…酒に弱かったら休んでろ、明日二日酔いで苦しむぞ」
「んにゃ…らいじょうぶでふ~」
「ダメだこれ…263年ってことはもしかして先祖返りかハーフですか?」
「流石ね、この宿屋を見つけられるだけあるわね、宿屋一族の一族は数多くの種族の血が入っているからね…出るのよね…わたしはインフェルノドラゴンの先祖返りよ」
「インフェルナドラゴンじゃなくって?」
「違うわ【インフェルノドラゴン】よ火竜の原種の血筋よ」
「【インフェルナドラゴン】は【インフェルノドラゴン】の劣化番だから【インフェルナ】と【インフェルノ】で危険度が全く違うんだ」
「へぇ…僕でもそこまでは知らなかったな」
「竜になれるのか」
「えぇ、だから移動は楽ね空を飛んじゃえばいいから」
「ふたりはどうなんだ?」
「ワタシは初代様の付き人様に及びませんが…フォレストスパイダーの先祖返りです」
「オイラは巨人族の先祖返りだ」
「全部結構な有名どころだね」
「ふたりは怖がらないのね?」
「オレらが育った場所が場所だったからな」
「僕もルトラウスさんとサニカさんを知ってる遠い親戚に合えるなんて思いもしなかったよ」
「随分と親しい感じにサニカ様とルトラウス様を呼んでるけど…」
「オレはそのふたりに育てられたんだ」
「僕はそのふたりのご近所さんだよ」
「そそそそ…そのネックレスって関係者の先祖代々に引き継がれている物じゃないの?」
「直接渡された物なのですか?」
「あぁ、旅する時に渡してくれたリュックに入っていたネックレスだ」
「「「えぇ!?」」」
店主さんと従業員さんたちはプチパニックを起こしたがなんとか落ち着きを取り戻した。