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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
286/555

深い霧

【無敵の宿屋】 


《東側のエントランスラウンジ》

  

テーブルに座って話しているのはサニカと現島長のポーリアと先代の島長のアジサイとハノンである。


「…………そんなことがナントークーゼ島で起きたのね…だとしたら草花のプロフェッショナルチームを作って隅々まで調べさせないと…?」

「その前にクレイバール島の周辺に異変や影響が起こるようなら島と海域を魔女や島の術者たちに燃やし尽くして貰えば良いかなって思ってるけどね」

「なかなか過激な事を思いつきますの〜」

「玖寿とルフェルニカは大丈夫そうなのですか?」

「うん、興奮作用のある液体を全身に浴びてたから、今はウニウニしてるくらいで後は寝不足にはなるかも。

持って帰ってきた大樹の欠片はマナリオとマジェリルカとニヴァに調べてもらってるし…残りは……」

「変貌を遂げたクレイバール学校の事ですね」



サニカはこの場に居ない二人に対して頭を抱えたくなった。



「朝になっても迷宮のままで瘴気まで島中に溢れ出るこんなはた迷惑な迷宮を造るのは【イタズラの神キロイス】ただ一人だ……それでルウカとラブは?」

「サニカの予想通りです」

「………迷宮の奥に居るんだね?」

「はい……あっサニカ先生、勘違いしないでね。調査しに向かっただけだから」

「だといいのだけれども」

「サニカ、今現在のクレイバールの調査とかしないのですか?」

「したくないかなー…火天の宿屋に行き来できるようにはしておくけども。

クレイバール島は家を使った強力な結界を敷いてるから出現するモンスターに関しては凶悪なのしか現れないから」

「サニカ先生、牧場の魔物は島の緊急マニュアル通りにここ無敵の宿屋にある森林エリアに入れておきましたよ」

「ご苦労さま…ハルディオラ、イダルベール」



そしてサニカはテーブルから離れ火天の宿屋のドアを一時的に無敵の宿屋と行き来できるように繋げた。



「コレでそれぞれの宿屋に行き来できるから好きな方の宿屋で過ごせるからね」

「サニカ先生、今現在のクレイバール島の調査しないって本当なんか?」

「フィリム…目をキラキラさせても今は駄目だからね?」

「今はなんだな?」

「うん、今はね。ルフェルニカと玖寿以外の子供たちように外でも見てなよ」

「まっ確かにクレイバール島の図書館に魔物図鑑に載ってない魔物がチラホラ歩いてるし…先生がそこまで言うならそうさせてもらうか」



フィリムはスタスタと窓に向かった。



「サニカが今すぐに調査しようと言わないなんて…」

「…予想外な事が多く起きているからね」

「まぁ…確かにそうですな」

「そういえば…白虎に刀術を渡したまんまですけど…大丈夫だったんですか?」

「体術とかあるから大丈夫、私が500年かけて極めた刀術に関しては白虎に馴染ん出るからそのままで良いかなって思ってる。

私が所持している【四季シキ永劫回帰リンカーネーション】も私が刀術を鍛え直す猶予をくれるさ」

「…サニカ先生、それじゃ探索に出るにしても明日に作戦会議するという事で良いの?」

「うん、今日はもう夜遅いから様子見しようか。こんな事なかなか無いから起きていたい子供が居たら無理に寝かせなくて良いよ」



その言葉を聞いた子供たちと付き添いをしていたロッカとロルスがワラワラとサニカの元に来た。



「サニカ先生それホント!?」

「うん」

「言質取った!撤回したら嫌だから!」

「わかってるよ、レンカ」

「ロッカたちも今日は大人しくしていてよ?」

「大丈夫だ、サニカ先生のこういうときの勘は凄いからな」

「俺たちの目でも見えない霧が発生してるんだ…出ねーよ」

「2つの宿屋の鍵を閉めておこうか…譜月とメフィリーネ」

「我らなら既に控えておるぞ?」

「何なりとお申し出を…」

「悪いけど二人で宿屋の戸締まり頼める?」

「「了解した」」




こうして起きている者は起きていて寝る者は寝るためにそれぞれの部屋に入っていった。


































【無敵の宿屋】


《玄関前》



深夜にガタッと音がした。




『ちょっと…!…バレたらどうするのよ!』

『ごめんって』

『ほら…行くわよ?』

『本当に出て大丈夫かなぁ?』

『大丈夫よ!』

『…わかったよ』

『チビども…今は図体がデカいんだから騒ぐな』

『探索…探索…』







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








【無敵の宿屋】



《食堂》



「サニカさん…火天の宿屋の方にも居ないんだぞ!」

「…唯糸、今は落ち着け」

「譜月とメフィリーネが戸締まりして出られなくしたんだけどね…居ないのはクーナとクートとレンカと莉糸か」

「あんのバカ息子……」

「まぁまぁ、ロッカさん」

「僕と白虎は玖寿に付きっきりに…」

「キユクは悪くない。厳しい事を言うが、クーナとクートは今は大人になって聞き分けられているんだぞ?」

「…ラブもルウカもまだ帰ってきてないし霧も昨日のまんまだし…ヤンチャなお子様たちには困ったもんだね。

探索に関しては許可するけど…気を付けて行くんだよ?」



唯糸は戦うすべを持ってないので留守となったがフィリムが宿屋のドアを開けるとドアの前に人の姿をしたナニカが立ってコチラを見てニチァと笑った。



「ひっ!」

「ドアの結界は通れないみたいです」

「………ロッカさん、根性なしでゴメンね…腰抜けちゃったよ」

「フルーレに戦闘力は求めていない、私の代わりに家を守ってくれればそれでいい」

「ここからヒットアンドウェイ作戦出来ない?」

「出来る…あっ……どっか行った」



人の姿をしたナニカは深い霧の中に入っていった。



「………白虎もフルーレと唯糸と共に留守番しててください。

何か思った以上の事が起きそうです」

「地球人であることが悔しいな」

「目がいい俺達ですら見えないからなこの霧」

「フィリム、ロッカ、キユクちょっと待ちなさい」

「どうしたんだ、サニカ先生」

「この子らを連れていきなさい。ヤコウ、フルプス、フクコ」



するとそれぞれの家の木彫りのアートが現れた。



「ヤコウ…いつの間に」

「置いてくなよ〜フィリム」

「フルプス、邪魔だけはしないでくれよ?」

「わかってるわ」

「低空飛行したり結界を張ったり手助けするんよ〜」

「………」

「この子らはそれぞれの家の守り神でこの霧が唯一効かないみたいだから連れていきなさい」



それぞれの家の木彫りのアート達と共に深い霧の中に入っていった。






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