探検
【クレイバールの浜辺】
《海へ渡る桟橋》
「………サニカ先生、聞いてませんよ?」
「急きょ決まったから知らなくて同然だよ」
今回の探検隊にクーナとクートが居るではありませんか、絶対に何か起きる!っと言った表情をしたら。
「もし迷惑かける様なら強制送還だからと言ってあるから同行するのを認めてやってよ」
「そうですか…」
『あれ?同行するって言ってたルフェルニカは?』
「カイリさんと共に船で先に目的地に向かったわ」
『ヴァリラが来るなんて珍しいこともあるんだねぇ』
ニヴァの娘である魔女見習いが探検隊の格好をして居るとは…とタヌ治郎が驚いていた。
「わたしだって練金の材料を取りにうごくわよ」
「兄さん、サニカ先生が出発だってさ」
クートが迎えにやって来た。
「………ほんとうに大人になってる…」
「ヴァリラは初めてだっけ?」
「うん、どちらかというと地球系のイケメンね。それじゃ早く行きましょう」
「はい」
トタタとサニカ先生の元に3人で向かうと沢山のグリフォンが居た。
「牧場からエレメントグリフォンたちを借りたからこの子らに乗って目的地に向かうよ。
私が乗ったエルシィローが先導するからちゃんと着いてくるんだよ?
子供たちはそれぞれ大人の前に乗って相乗りで行くからね」
サニカ先生が組み合わせを考えてそれぞれ乗った。
クーナとクートは手綱を持つ側でクーナとヴァリラが一緒に乗りクートは「ちこくーちこくー!」と言いながらパンを口に咥えながら遅れてやってきたイオンがクートに有無を言わさずに乗った。
そして今回の成人の付き人はピナちゃんで僕が相乗りの相手として乗る事になった……ピナちゃんを見ると朝の風呂に入った感が……今日も水田に突っ込んですか?と思ったが聞かないことにした。
タヌ治郎は人に化けてまだ年若いグリフォンに乗ってわからせている。
「あら、玖寿が相乗りの相手なのね。帰りは変わるかも知れないけどよろしく頼むわね?」
「こちらこそ、お願いします」
「なんだか昔、キユクと一緒に乗ったときを思い出すわー」
「良し皆、グリフォンの背に乗ったね、それじゃ【ナントークーゼ島】への移動を開始するよ」
『でっでは…行きましょう……』
サニカ先生が乗るエルシィローが空高く飛び上がるとエレメントグリフォン達も空高く飛び上がった。
ピナちゃんは手綱をしっかりと持ち僕たちが乗ったグリフォンが最後に飛び上がり列を作り島への移動を開始した。
順調に飛び続け昼になる前にナントークーゼ島に着き先に来ていたカイリさんの船があった。
島の上空で佇んで陸の様子を確認していた。
「船に付いてる帆は白だね…問題なく上がれそうだね」
サニカ先生の指示でナントークーゼ島の砂浜に向けて降り立ち先に来ていて野営地を作っていたカイリさんとルフェルニカと合流した。
「早かったわね!先生たち」
「なるべく急いで来たからね。それでこの島の生態系に何か異変はあったかい?」
「今、父が周辺を調べてるわ」
「それじゃキャンプの準備をしちゃおうか」
何事もなくテキパキとキャンプの準備をしてカイリさんの帰りを待った。
タヌ治郎とルフェルニカは海に潜り貝を採取して僕とピナちゃんはキノコを採取したり魚釣りをし、クーナとクートはサニカ先生の野菜などを切る手伝いをしていた。
イオンは焚き火の火が消えないように監視する役目を担ってボーッと炎を見ていた。
暫くすると服がボロボロ剥がれたカイリさんが帰ってきた。
それを見て昼食の準備をしていた人達はボトッと手に持っていた物を落としていた。
「………何があったの?」
「…植物に絡まれただけです」
「カイリ君…怪我とかは?大丈夫?」
「大丈夫ですよ、ピナさん」
「お昼ごはん食べながら聞かせて貰おうか…」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「えっ…植物たちが意志を持ってる?」
「蔦が絡んできてビリビリ嫌っす的な事もしてきまして…だからと言って傷付けてくることはないですね」
「だから服だけが破られてるのね…」
「子供たちはこの浜辺に残した方が良いと思うのですが」
「それはオススメしないな」
「えっ?どうして?サニカ先生」
するとサニカ砂浜に向かい土を掘るとウニョウニョした触手を掴み持ってきた。
『アハハ!サニカが何か持ってき……ん?平和な浜辺で触手?………その触手ってエロい事に使われてる奴じゃない?』
タヌ治郎が放った言葉を聞いた大人たちはサニカが手に持つ触手を凝視した。
「えぇ……」
「ルニカとタヌ治郎は海に潜って貝類を採取してたけど大丈夫だったの?」
「………海藻がやたら絡んできてタヌ治郎が刈り取ってくれてたけど…まさかなの?」
『僕はルニカが溺れないようにしてただけだけど…ルニカはシェルフィーの血を引いてるから1日くらいは水中でも平気だろうけどね』
「海の中で触手系のモンスターは見かけなかったわよ?」
「まぁ、話をまとめよう、ルフェルニカの話とカイリの話をざっとまとめるといらやしい…エロいハプニングが起こり巻き込まれるけど死ぬことはないということだね」
それを聞いた探索者たちは…。
「ならばもう探索しないで帰りましょう」
「諦めるのがはやいわよ?玖寿」
『始めてきた時はそんなことなかったよね?サニカ』
「うん、世界地図を作るのに回った時は普通の島だったよ」
「…イルミナット島の連中のこともあるからな…もしかしてそういったモンスターを逃したりしてたりしてこの島の生態系がそうなったとか?」
「…この島の物を食べたけど大丈夫よね…?」
「大丈夫です、無害だと調べてから食べてるから」
「それでどうするの?探索するの?」
「うん、調べるよ。この島の生態系を調べるために来たからね…探索するのが嫌ならカイリの船の客間で夕方までのんびりしてればいいさ……それで誰が探索の手伝いをしてくれるんだい?」
すると玖寿とルフェルニカ以外は手を上げた。
「「えっ」」
「死ぬ心配がないのならば」
「捕まらないようにすればいいのよ」
「なんか面白そうね?クート」
「うん」
「我よりも年下組が行くのであれば行くぞ!」
「なんか楽しそうね…グヘヘ」
「ヴァリラが何かを企んでる…」
「それじゃ玖寿とルフェルニカが留守番だね」
「ルニカ、留守番を頼みました…この船の鍵です。内側からの鍵も必要になりそうだから渡しておきます」
「えっ…うん」
ルフェルニカは父カイリから鍵を受け取った。
『それじゃ…私たちもカイリ君の船に避難してますね』
「確かに身軽なのが行ったほうが良さそうだね。エルシィローとグリフォンたち玖寿とルフェルニカを頼んだよ?」
グリフォン達が頷いた。
「それじゃ今回の目的としていたこの島の中央にあるあの大樹の元に向かいながら生態を調べるよ。
今回は男女二手に分かれて活動しよう」
「了解です」
「本当はこのまま真っ直ぐから行きたかったけど、なんかうねうねしてるのが森の中の真ん中の道から出てるから西と東の方から行こう」
「なんか誘導されてませんか?サニカ先生」
「罠だとわかっていても西と東側から行くのさ」
「そっそうですか」
こうしてサニカ先生たちは森の中に入っていった。