探検隊!
【六月一日家】
《玖寿の部屋》
玖寿は揺さぶられ気分良く寝ていたというのに揺さぶられていた。
誰だ?今日は休日だというのにお越しに来たのはと目を開けると見知らぬ男が眼の前にいて驚いた。
「…わぁ!」
「ようやく起きた?……兄さん、おはよう」
「……………誰?……タヌ治郎…どこ…?」
「あはは……まだ寝ぼけてるよ、弟の顔を忘れるとは酷い兄だなぁ……」
「弟………?……………あっ」
目の前のイケメンに後退りしたのを見て弟らしき人物がケラケラした。
「クククッ……小さい頃の兄さんは面白いなぁー」
『ボクなら玖寿のベットから引きずり下ろされたよ』
「………着替えるので出ていってくれます?」
「えっ?男同士なんだし気にしないでよ」
「親しき仲にも礼儀ありですよ?」
「…………わかったよ、嫌われたくないしな」
すると弟らしき人物が部屋から出て言った。
(……鍵閉めたはずなのに…部屋に侵入してくるとは……ピッキングされましたか?……それに僕の知っているクートとギャップが…嫌だと言ったニュアンスを出したら素直に引きましたね)
『あんの小僧…後で覚えてろ…この恨みはらさず置くべきか……(玖寿に聞こえない小声で)』
玖寿はそんなことを考えながらサニカ特性の動きやすい探検服に着替えてリビングに向った。
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《リビング》
「おはようございます」
「おはようございます、玖寿。今日は起きるのが遅かったですね」
「……母さん、月下美人が昨日、咲いたんですよ」
「それで夜遅くまで起きていたのですね」
「月下美人の花の写真を撮っておいたので渡しますが?」
「ありがとうございます。僕が育てている月下美人はまだ咲きそうにないので助かります」
「………朝からなんか物凄い話をしているような」
「そんなことないです……今日は父さんが朝食の番でしたか」
「あぁ、クートから起きてくるって聞いたから出来立てだ」
おにぎりと味噌汁が目の前に置かれた。
「いただきます…」
『いただきます』
朝食を取りながら周囲を見るとクーナらしき人物がクートらしき人物と共に本を読んでいた。
「大人となったことで難しい本を読めるようになり知識を蓄えているそうです」
(戻ったとき覚えているのでしょうか)
「多分、覚えてないと思うんよー(小声で)」
「フクコ、僕の心を声を読まないでください(小声で)」
「それはごめんなんよー(小声で)」
モクモクと食事を進め食事を終えた。
「ごちそうさまでした」
「玖寿、その格好…何処かに行くのか?」
「はい、今日はサニカ先生がクレイバール島よりも南に位置する【ナントークーゼ島】で野外観察すると前から言ってたのでそれに参加するのです」
「あぁ…確かに先生がそんなこと言ってたな…」
「お弁当はどうするんだ?」
「必要ないです。【ナントークーゼ島】の魚や野生に生える果物などを食べるそうなので」
「その場で取って食べるんか……あれ?俺そんな話を聞いてないぞ」
「それなら僕が許可しました」
「キユク…」
「白虎は子供のためになるなら止めないだろうなぁーと思いまして」
「………まぁ…玖寿のためになるな反対はしないがな…(俺にもそういうの教えてほしかったな…)」
父がしゅんっとしてましたがそこは母に任せましょう。
「夜までには帰ってきますのでご安心を」
「怪我なく帰ってこいよ?」
「はい」
『大丈夫だよ、ボクもいるから』
フクコが僕に探検帽子を被せてタヌ治郎がリュックを持ってきてそれを背負い靴を履きタヌ治郎と共に待ち合わせの場所に向かった。