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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
281/555

子供の策略、大人の怪談(後編)

【クレイバール学校】

 

《玄関前》



「………俺たちの番が来ちまったな」

「行くカ…」

「行きなくねぇ…もう帰ってきてもいいのに学校に入ったペアが誰一人帰ってこないんだが?」




ゾロゾロと学校に入ったまま、誰一人としてまだ肝試しから帰ってきていないのである。

クーナとクートとルウカ先生に限り悲鳴は聞こえてきてない、そして指定された時間になり入るところまで来ていた。



「キユクと唯糸のそばには、みんな帰ってこないって連絡をサニカ先生にしたら譜月を寄越してきたから大丈夫だロ」

「それに譜月も言ってたが『学校の中にそれぞれペアがまだウロウロしておる。操られている感じもしないから大丈夫じゃろうて』って言ってたんだ誰かと会うだろ」

「その大丈夫が怖いんだけどな」

「…でも行くだろ?」

「あぁ」




俺たちは3人並んで高校生の頃に通っていた学校に足を踏み入れた。


譜月が持ってきたランタンの火を灯しラタムが先頭に立ち俺が真ん中で隆太郎が最後の順番で歩き出した。


そして問題の場所に着いた。



「「「………………………………………」」」



誰一人としての喋らないためか天井を這うナニカの音が余計に響くが全員、上を見ずにスタスタと足早に去ろうとしているが着いてくる着いてくる。


そして何度も同じ場所をぐるぐる回っているのがわかっているが天井に居るであろう存在を見たくないので学校の一階の廊下をもう8回も回っている。



「………多分だが天井のソレを見ないと先に行けなくされてるよな?」

「それは確実にそうだろうナ…もう8周目だシ…見たくなイ…」

「ラタム君、本音が漏れてるぞ」

「……一斉に見るか」

「うン……それが一番だろうナ…」



するとラタムがランタンを上に掲げ一斉に天井を見た感想は。



「「「ぎゃああア!?」」」



ラブさんが天井にくっつきコチラを見ていたのを見て俺と隆太郎は腰を抜かした。

さすがはラタム、俺たちと違い腰を抜かすことなく瞬時に魔法の防壁を作り上げ俺達ごと守ってくれていた。



「なっなななななっ!」

「そんな予感はしてたけどもっ!コチラを見てくる表情ヤバいわ!!白目で見てくるし恐怖じゃねえか!見守っているとか言ってたがコレは…!」

「らっラローネルたちがブツブツと天井に張り付くラブちゃんどうにかして欲しいと毎日言ってたガ……こっコレは……心臓に悪いゾ…」

「毎日コレだもんな…」

「先生たちが対策を練ってるみたいだけど、どうにもならんとボヤいてるもんな」

「あぁ…すぅ~て消えた…」

「おっお前ら立てるカ?」

「すっ少し待って…」

「……回復してやるヨ」



ラタムが俺たちの抜けた腰を治してくれた。



「コレで大丈夫だロ?」

「あぁ…問題ない」

「立てるようになった…」

「少し順番を変えるカ」

「だな」



歩く順番を変えてあるき出した。

今度は俺が先頭に立ち隆太郎が真ん中になりラタムが最後尾になった。


つつがなく進むと思っていたが、今度はラブさんが壁に擬態していたり曲がり角から急に出てきたり背後になどの心臓に悪い精神攻撃を仕掛けてきている。


隆太郎は数回は耐えたが幾度目かの腰を抜かし俺は反射的にラタムと共に防壁張ったりしていたがスルスルすり抜けてくるわ来るわで怖すぎて吐き気がしてきた。




「もうなんなんだよ!ラブさんは毎日何してんだ!学校で!」

「子供たちはコレを毎日のように味わっているのか…先生たちも対策を練ってくれてるけど暴走機関車ラブナシカを止められてないもんな」

「精神的に来るナ……ラブ先生の奇行に関してはアスチルでも「無理です」って駄目だもんナ…地球の学校に席を移したとしてもラブ先生が着いてくるだろうし本末転倒の事態になるナ」

「それこそ廃校になる気が…この学校呪われてますって事になってな…」

「……それよりも変だよな」

「何がだ?隆太郎」

「俺たち3階まで来たけど誰とも…まだ仕掛け人の子供たちまでも出逢ってないだが」

「「…………………………」…もう皆、校庭に戻ったんじゃカ?」

「確か、そこにある非常用のスロープで学校から出るんだよな?」

「あぁ、……屋上には出なくていいんか?案内があったけど」

「行く必要はないゾ……もう隆太郎もおれも限界だシ…ここまで来ましたよの証拠の写真だけ取ろうカ」

「写真……根性なしって言われてもいいから帰ろうぜ」




隆太郎がそれだけ言うと既に用意されていたスロープに入り校舎から順番に出ていった。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【クレイバール学校】



《校庭》



「おっようやく戻ってきたか、三人衆!」

「あっラタム君が言った通りに子供たち戻ってきてたな」



そして既に体の硬直から開放されたキユクや震えていた唯糸も通常通りに戻っていた。



「お前ら何処まで行って戻ってきたんだよ?」


ニヤニヤしながらフィリムが聞いてきた


「3階の左端の魔法工学室までだヨ」

「「「「「えっ」」」」」


するとフィリムとフルーレや子供たちが驚いた表情をしていた。


「なんで驚いているんだよ」

「それは本当ですか?父さん」


息子の玖寿までもが聞いてきた。


「そういえば玖寿たち仕掛け人とも出逢わなかったな」

「……………僕たちはなかなか最後の組である父さん達が来なかったからもう引き返そうかとなり、1時間前には校庭に帰ってきてたんですが…」

「えっそんなに時間が経ってたのカ?おれらの腕時計には30分しか経過してなかったゾ?」



そこで不穏な空気が流れ始めた。



「やっヤダーもう、怖がらせないでよ…オジサマたち…」

「ホントに3階まで…登ったんだって…証拠もあるぞ?」

「おれらも父に言わないといけないことが出来たよ…」

「ん?どういうことだ?日葵?」

「おれ達が企画した「普段からラブちゃんのせいで肝試し状態の学校生活を大人にも味合わせよう」は2階の校舎までだったんだよ〜」

「そんな企画の名前だったんかいって……2階までだと……!」

「そうなノ……だからお父さんたちの帰りが遅いし変だなって騒いでいた所に帰ってきたからホッとしてたのヨ」

「えッ」



ラタムも目をギョッとしていた。



「でも3屋上まで案内があったよな?ふたりとも」

「「うん」」

「えっ屋上?」

「俺たちは3階でもう限界が来たから帰ってきたんだよ。屋上に行かないでもう帰ろうぜとなってな」

「少し良いかしら?………ねぇ3人に聞きたいんだけど…」



ナオハルさんが出てきて聞いてきた。



「どうしたんですか?ナオハルさん」

「ルウカ先生たち見なかった?」

「見ませんでしたよ、俺たちは本当に誰ともすれ違ってないので……もしかして」

「まだルウカ先生とクーナとクートが戻ってきてないのよ」

「「「えっ!」」」

「だからこういった事の専門であるマジェリルカちゃんとサニカ先生たちに学校に入ってもらって見回ってもらってるのよ」




俺たちはクレイバール学校の方を見た。



「なら俺もクーナとクートを探しに」

「駄目ですよ」


するとキユクが歩いてこっちにやって来た。


「キユク?」

「サニカ先生達がここに来たときに普段と違いなんか異様な感じがするから三人衆が無事に戻って来たなら待機させろと言われていますので」

「えっ」

「2次災害になっては行けないとのことです」

「………………………」






そして数時間後に珍しくヘロヘロになったマジェリルカちゃんと顔を青白くさせた先生が戻ってきた。

そしてラブナシカの奇行は夜見るもんじゃないと言ったあとにふたりは隅々まで二人で回ったが3人が居なかったそう。



そして俺たちに起きたことを聞いてきた。




「………マジェリルカ、そんなのあったかい?」

「…サニカは気付かなかったの?」

「私は見なかったよ。マジェリルカは?」

「アタシは見かけたわ、屋上にどうぞって」

「やっぱりあったよな?」

「えぇ、あったわ。なんか時空間的な奴の嫌な感じがしたからサニカが気付かなかったから無視したわ」

「………先生」

「治郎と譜月とで行ってくるよ」



サニカ先生は少々顔色が悪かったが校舎内から屋上に行くと言った。



「先生、譜月に乗って壁のぼりしないのか?」

「…歪んでてどこに飛ばされるかわからないから今は登らないかな…」



譜月の背に乗った先生の背中はイキナクナイと言う哀愁が流れていた。



だかしばらくすると能面の様な無感情な表情をした先生が歩いて帰ってきた。

その背後には光の鎖で縛られたルウカ先生がまるで捕虜の様に歩かされ、さらに光の鎖で徹底的に縛られた二人組を譜月が引きずりながら捕虜の様に歩かされているルウカ先生の後から現れた。 



「先生!クーナとクートは?!」



先生は俺の言葉に反応して徹底的に縛り上げられている二人組を見た。



「「「「「えっ」」」」」

「数多の異世界を歩きイタズラを仕掛けている【イタズラの神キロイス】が今回、この島に遊びに来ていてたみたい。

一部の神様しか作れない【大人の飴】ちゃんの裏取引をした後で既に手遅れだったよ」

「………もしかして」

「皆の想像どおり大人の飴を食べて大人化した二人を取り押さえて連れてきた」




今日はこのまま大人になった双子はこのまま宿屋で今日だけは預かると言って、先生は宿屋のドアを召喚して二人を宿屋の中に放り込んだ。


そして今日はこのまま解散と先生が宣言して肝試しの余韻に浸ることなく現地解散となった。






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