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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【クレイバール島の日々】
280/555

子供の策略、大人の怪談(前編)

【クレイバール学校】


《校庭》


「キャハハ!楽しかったね!クート!」

「楽しかったね!クーナ!」



さっきまで校内での肝試しのプレオープンに参加していたクレイバール島の最年少の双子が手を繋ぎ両親の元に向かって走ってきた。



「二人とも、走っていて転ばないでくださいね」

「だいじょうぶよ!キウトとちがってこけたことないもん!」

「そうだよー!」

「コラ、兄をコケにしない、玖寿のことを兄と呼べと言ったはずだぞ?どうして呼び捨てなんだ?」

「だって~まいにちワナにかかってダサいんだもん」

「毎日罠に掛かってダサくて悪かったですね」



双子が両親の元に辿り着いて直ぐに兄である玖寿も両親の元に来ていた。



「さっきまで学校の仕掛けの場所にいたんだろ?戻ってくるの早いな」

「僕にはタヌ治郎が居ますので早く戻れるんです」



そういった玖寿は白い布を全身に被ったゴーストの格好をしていた。



「父さん、母さんもそろそろ回る順番とペアの組み合わせ決めの時間だそうです」

「あぁ…」



今回の肝試しは子供たちが提案し夏の自由研究の課題として作り上げた仕掛けであるから余計に肝試しとか無理と断りづらいのである。


そして今回の組み合わせは夫婦ではなくランダムに組み合わせたほうが楽しいとしてクジ引きとなっている。


俺は重い腰を上げクジ引きと肝試しの入口へと向った。

















【クレイバール学校】


《玄関前》




「うぉおお!なんで俺のパートナーがフルーレお前なんだ!」

「黙れ、フィリム。そう決まったんだから諦めろ」

「キユク、宜しくなんだぞ」

「よろしくお願いします。唯糸」

「おや、アタシはシェルフィナか」

「宜しく頼むよ、ロディンナ」

「白虎、隆太郎、よろしくナー」

「こちらこそ頼むよ。ラタム君」

「男3人で回るのか…」

「あらあら〜わたしはノディ君となのねー」

「…ナオハルと一緒だと肝試しにならんな」




イダルベールさんとハルディオラさんご夫婦は牧場にある魔物たちが暮らす小屋がごっそりと空き牧場に住む魔物たちの部屋移動をしているのでこれなかったのである。


ロッカさんとカイリさんはそれぞれ空と海の安全を守る警備隊として来れなかった。

隆太郎は来たがヒペリカさんは嫌だと言って拒否り来なかったので一組だけ3人で回ることになったがまさか俺の組み合わせがそうとは…。




「その他の大人たちはやんわりと断りこねーから5組しか居ないな」

「そんなことないぞ、オレが居るではないか」

「ルウカ先生も好きねぇー」

「あぁ、オレはこういうのは大好きだが、ガチのスポットとかは行かないぞ」

「サニカ先生ってこういうのは苦手なのね」

「アイツはそれなりに生きてきてるからお前たちの前ではそういった素振りを見せないが芯の部分では苦手だな」

「それで誰が一番手なんだ?」

「フィリムとフルーレだな」

「「えっ」」



ふたりはルウカ先生の方を見た。



「当たり前だろ?ほら、さっさと行け」

「ルウカ先生のペアは誰なんだよ?」

「クーナとクートで4番目だ」

「ルウカ先生に関してはすでに決まってたよ…」



大の男ふたりがブツブツ言いながらルウカ先生に言われた通りに一番手で学校の中に入っていった。


それから直ぐに悲鳴が聞こえてきた。




「フィリムたちが情けない声を出してるぞ」

「ホントですね。しかもガチな方ですね」

「……そろそろだな。次のペアも進んでくれ」

「ではお先に失礼します」



そして2組目のワクワクした感じのキユクと唯糸のペアが入っていった。


するとだいたい時間的にフルーレたちが悲鳴を上げたところ当たりで唯糸の悲鳴が聞こえたと思ったら物凄い勢いの唯糸が飛び出してきた。



「なっ何あれ?!」

「唯糸、大丈夫か」

「てっててててててん」



唯糸はとても動揺している。



「アレは流石にヤバいぞ!!」

「何がだ?」

「見ればわかるぞ!もうおいらは無理!これ以上は無理!」

「唯糸をここまでさせるとは……子供たちの考えた仕掛け面白そうだな」

「「えッ」」



俺とラタムの声がハモった。



「何だ、ふたりして…ビビってるのか?」

「あぁ、大のスプラッター大好きがこうなってるからな」

「その割にはキユクの悲鳴は聞こえないな」

「キユクはこういう強いからナー…



「「イヤァアアア!!」」とイケボの声がまたまた響いた。




「フハハ…ビビってる声が響いてるヨ、ふぉっとかビビる程度だと思ってたけど大の男がナ…ヤバいかもネ」

「場合によっては後からくる人をビビらせるために大袈裟に騒いでいるとかはないか?」

「フィリムはやりそうだな」

「次はロディンナとシェルフィナペアだぞー」

「ラタム、行ってくるよ」

「気を付けてヨ?怪我なくネふたりとも」

「大丈夫だろさ…行ってくる」




逞しい代表のふたりが勇ましくズンズンズンズンと玄関に入り暗闇に吸い込まれていった。


そして時間的に一組目の悲鳴が出た場所に付いたであろう…すると暗闇から顔を青くしたシェルフィナがカチッと固まったキユクを抱えて全力疾走で戻ってきた。



「なんなのアレは!!」

「駄目だったかシェルフィナさん」

「駄目も無理もないわ!」

「シェルフィナ、ロディンナさんは?」

「ビクッと驚いたけど固まったキユクを「ここから連れ出さないとだね」とアタイに託して第一のポイントでアタイを待ってるわ」

「……シェルフィナ、もしかしてだけド…先に進むノ?」

「当たり前よ、最後までやりきるわとルフェルニカと約束してるもの…行ってくるわ」

「いってらっしゃい」



シェルフィナはキユクを置いて暗闇に戻っていった。



「……………心拍とか異常ないヨ」

「そうか」

「わー…母がかたまってるー!」

「クーたちいちどめぐってるけど、とくにこわいのとかなかったよ?」

「そこまで暗くなかったからじゃないか?」

「「そんなことないもん」」

「まっ暗くなってもう一回行くのと、どう違うかよく見て回ろうな」

「「はーい」」



最後のペアであるオレら男三人衆は今か今かと時が来るまでズゴゴゴゴゴゴ…という効果音が着いているように見える暗闇を3人で見ていた。


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