とある世界の勇者と魔王が因果から解放された未来
いつものルーティンを繰り返し8年の時が流れていった。
玖寿が5歳の時に双子の娘と息子が誕生した。
双子の名前は俺とキユクの祖父母ズが3日の議論を交わし娘はクーナと名付けられ息子はクートと名付けられた。
クーナとクートは玖寿と同じ人間として誕生したが背に白い翼を持って生まれてきたので先生たちはハーフエンジェルではないかと最初は驚いていたがラブナシカさんが何度調べても人間だった。
双子の翼は特別な力もない翼だと判明し白い翼を隠したいなら将来教えるし、もしかしたら訓練次第では飛べるんじゃね?とルウカ先生が言った。
そんな双子も5歳となりお転婆真っ盛りである。
玖寿が6歳の時にアスチルが旅から帰ってきたのである。
クレイバール島で教師をしたいという目標を持って。
現在は教育実習生として玖寿たちと共に学んでいる。
そして【境界兵団】も様々な種族が集まり過ぎたのが原因なのか価値観の違いやらで内輪揉めによって後100年もすれば空中分解するのではともっぱら強者たちの間で話になっているそうである。
特に事件なども起こらず充実した毎日を過ごしていたがふとした瞬間に真っ白い空間に立っていてここは現在なのかと彷徨っていたが…一際目立つ明るい場所を見つけてそこに向かった。
「おや、君がここに来れる日がくるなんてね」
「……………」
真っ白い空間に性別不明で靄が掛かっている人物が椅子に座りそう声を掛けてきた。
「君は覚えてないだろうけどかなりの大昔に一度だけここに来てるんだよ」
「覚えてないな」
「まっそうだろうね。勇者と魔王の因果が始まったとき以来だからね…満足行く人生を歩めているかい?」
「過去のことはさっぱり思い出せないけど六月一日白虎としての人生は充実してるよ…それでなんのためにここに俺を呼んだんだ?」
「本当に遠い昔に因縁を終えたら一度だけここに来るって約束していたから呼んだんだ」
「そうか」
「でもこんなに早く因果を断ち切れるなんて思いもしなかったよ。
もっと掛かると思っていたから」
「それは俺たちの人生に寄り添ってくれていた人達のおかげだろうな。
俺は恵まれた環境に生まれて育つことが出来たから」
「……一目君を見るために呼び出したけども、特に何か言いたい事とかないし…次にココに来るまで今の人生をめいいっぱい楽しんでね」
「オレがこの場所に呼び出されるのが決まってるのかよ」
「…特別な魂を持っていたから転生のサイクルを元に戻すのに手を加えないとイケないからだからだよ。
次の人生からは世間一般的な人達と同じようにまた繰り返すようになるから安心してね、それじゃ次にここに来るまでバイバイ」
すると意識がシャットアウトしていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はっ……ここは…」
「……!!……母さんー!父さんが目覚めたー!」
「「あっ待って!お兄!」」
玖寿と双子がそう言って走りながら妻を呼びに言った。
するとバタバタと急ぎ足でコチラに向かってくる足音が響いた。
「白虎!」
愛しい妻が思いっきりダイブしてきた。
「グハッ」
「ようやく目覚めてくれましたね!!」
「ゴホッゴホッ…!………はぁー………キユク、俺はどれくらい眠っていたんだ?」
「半年ですよ!半年!」
「半年かー…」
「気が気じゃなかったんですから!」
「悪かったよ…」
そんなやり取りをしていると先生たちが現れた。
「おかえり、白虎」
「ただいま先生たち」
「…それで向こうのアレはアナタに対して何を言ったの?」
先生たちは俺が呼ばれてたの知ってたのか。
「今の人生をめいいっぱい楽しめだってさ」
「そう、それなら良かったわ」
「コレでもう怪我やら何かしらの要因がない限りは気絶もしないし急に死ぬ心配はなくなったな」
「ルウカ先生、物騒な事を言わないでください」
「本当にコレで終わったんだな」
「アレに呼ばれたって事はそうだろうね」
「それと先生、起き上がるのに俺は訓練は必要か?」
「うん。マッサージとかしてたけど訓練必要だろうね」
俺はこの後、一ヶ月はまともに動けなかったが日常生活に戻れるように訓練して日常生活に戻っていった。
【六月一日家】
《リビング》
「行ってきまーす!」
「気をつけて学校に行くんだぞ。転けるなよ」
「大丈夫ですよ!」
息子の玖寿がリュックを背負ってクレイバール学校に向かって家を出た。
「兄はさわがしいですねぇー」
「クーナは話を逸らさずニンジンを食べなさい」
「わたちにはひつようなくってよ」
「必要な栄養だぞ?」
「ならおれが!」
「クートはシイタケを残さない」
「シイタケむり」
「無理ではありませんよ?」
「……ぶー」
「ぶーではありません」
「えー」
「えーと言ってもダメです」
母キユクに言われ双子はキユクの目のスキを見てお互いのニンジンとシイタケを交換して口に入れた。
「……」
「いまの見たか?フクコ」
「素早かったんねー」
「次こそは苦手意識を変えさせるメニューを考えないとな…」
「頑張るんよ」
「おや、食べられたではないですか」
キユクはそのことに気づいていないようである。
「うん!」
「少し休んだらフクコを連れて遊びに出かけていいですよ」
「「わーい!」」
その一言を聞いた双子の娘のクーナと息子のクートはテーブルから離れ遊びに行く準備を始めた。
「全く…僕が気づいてないとでも思っているのでしょうか…夕飯にクートにはシイタケを…クーナにはニンジンを再チャレンジさせましょう」
「バレてたんよ」
「当たり前です」
「少しずつ食べられるようになればいいさ」
「白虎も見てないで注意してください」
「善処します…」
こうしていつもの幸せで穏やかな日常を噛みしめながら未来に向けて俺はこれからもこの世界で生きていく。
コレにて本編は終了させていただきます。
ぐだぐだと続けてエタるよりも終わらせられるタイミングとして良いかなーと思い切り、この話を本編の最終回として六月一日白虎の物語は終わらせてもらおうかと思ってます。
そして読者の皆様、誤字が多く読みづらかった素人の作った物語にお付き合いくださり、ありがとうございました。
次からはクレイバール島の次世代の子供たちや日常の話を書こうと思っています。
ネタは少し浮いてきていますが今は少しお休みをいただきまして、また書き始めたいと思っています。
今後とも宜しくお願いします。