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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【最後の使命】
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最近のルーティン

【火天の宿屋】


《???号室》


「…………ん?……」

「うー…」

「…………………………」


あれ?この感じ……いつの間にベットに寝ている、それにこの声って玖寿じゃないか?………あの後俺はキユクたちの泊まっていた部屋に運ばれたのか?


「ぱー………」


ペチペチと手と足をバタつかせてるなー…我が息子よこれでもくらえ。俺はこちょこちょと玖寿の脇にやったつもりだったが。



「お前ら仲良いな」

「え”」



俺はすぐさま飛び起きるとベットの上にルウカ先生が玖寿の横に寝そべっていた。



「ぞぞぞぞって来たな」

「何でルウカ先生が居るんだよ……」

「最近、島の子供らの寝相が気になってな」



そういえば…家を移動する前だったけど朝からフルーレや隆太郎、カイリさんの悲鳴が聞こえたりしたなー…コレをされたんだな…心臓ばくばくしてる。



「寝相が大人しいだろうと思っていた夫婦が意外にも大胆な寝方をしていたり、あの子らはこんな感じだろうかと予想通りだったり、豪快に寝そうだなと思っていた子が普通の寝相だったりするしな」

「それで俺たちの所は?」

「こんな感じだろうなと予想通りだった」

「ルウカ先生、ひとまず部屋から出ていってくれないか?息子を着替えさせて俺も着換えたいんだが?」

「別に良いだろう男同士なんだから。それに玖寿の着替えはオレがしておいたぞ」

「俺から…父親の役目を取らないでくれ」



それだけ言うと俺はルウカ先生を部屋から追い出し家から持ってきていた服に着替え息子と朝のコミュニケーションを取ってから息子を抱っこして部屋から出て食堂に向かった。



「おはようキユク、先生」

「あっ起きましたか、おはようございます」

「おはよう。朝からルウカが悪いね」

「あれは心臓に悪いからやめさせたほうが良いよ」

「……やめさせたいのだけどね」

「もし2回目があったら全力で拒否させてもらうから」

「うん」



すると俺たちの息子がぐずりだした。




「ぁ”あー…」

「白虎、玖寿を預かります」

「頼んだ」



キユクが玖寿を受け取ると食堂に併設されている授乳室に入って行った。



「キユクと先生たちは朝ごはん食べたのか?」

「キユクとルウカとハノンとレシェットは食べたけど私はコレからだよ。白虎も私と同じバラちらしで良い?」

「(朝からよく生物がイケるな)…俺もそれで」



うん、美味い。魚の漬けやきゅうりが酢飯とベストマッチ。



「……僕もバラちらしとか食べたいです」

「子供が卒乳したら【子供の為に食べずに頑張ったで賞】としてキユクたちがそれぞれ食べたいものを1週間作り続けてあげるからもう少し頑張って」

「……はーい」

「その代わり、キユクも少しお腹空いたんだったら野菜たっぷり照焼きチキンのホットサンドを今すぐに出してしんぜよう」

「良いのですか?」

「キユクも食べられるなら栄養つけないとね」




先生はキユクの座っているテーブルの所に照焼きチキンのホットサンドを先生がすぐさま作り温かい緑茶と共に置いたら俺はキユクから玖寿を預かりキユクが美味しそうに食べている光景を見ていた。



「こういう景色を俺たちは全力で守り抜くぞ」

「うん」



すると今度はハノンが火天の宿屋の従業員の服の上にエプロンを着たままの姿でやって来た。



「ハノンの朝の仕事は終わったのか?」

「終わりましたよ。宿屋の一階にある養殖場で魚に餌やりをしてさらに温室の植物に水をあげてきました」

「そうか、俺もそろそろマジェリルカさんに納品するポーションとか作り始めないとな」



レシェットが火天の宿屋に入ってきた。



「無敵の宿屋の清掃完了しましたの」

「ありがとう、レシェット」

「いつものことですので、それにサニカに仕事を取られるわけには行かないですの」



先生は生活魔法に適性があってパチンと指を鳴らしただけでどんなに広い家であろうと一瞬で綺麗に出来るからな。



「キユク、今日は俺が玖寿を預かる日で良いんだよな」

「そうです」

「それじゃこのまま家に戻って仕事を始めるよ」

「何かあったらすぐに連絡を頼みましたよ」

「あぁ」

「ふたりともお弁当持っていきなさい」

「ありがとうございます」

「ありがとう、先生」



俺はキユクが食事を終えたのを確認して少し休み俺がこのまま玖寿を抱っこして宿屋から出ていき二人で途中まで歩き、キユクは学校の研究室に向かい俺でも扱える薬を作るために家にある仕事部屋に向かった。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






【六月一日家】



《白虎の仕事部屋》



『…白虎の息子も良い子やな〜ワイもかれこれサニカのアイテムボックスからずっと覗いていたんやけどな』

「そうなのか?」

『そうなんや、ワイはなんの素材を使うか見えるし喋る錬金釜やから強者からくれないか?とか来るんやでサニカは譲れないと断っとるがな』

「はぇー……」

『白虎、それは【ピキリン草】やからそれ入れたら中和剤になるから入れるのをやめーや』

「おっと…ありがと」




地球の薬草やらは覚えたんだけど異世界産の薬草はまだまだ覚えきれないからこういうのは助かっている。




『どういたしましてやで…昔のサニカはワイを扱うときは雑に扱ってたんやけど、ここ3000年間は丁寧に使うようになってきたんやで』

「ありがたみとかがわかるようになったんじゃないか?」

『確かにサニカに少し前に言われたなぁ…最近まで雑に扱って悪かったってな…でも昔から整備するときに必ずピュアオリハルコンやら使ってたから文句はあらへんのになぁ。

………白虎、弱火にしてから【ピュアマーガレットの花粉】を入れるんや。このままだと劣化したポーションになるで?』

「………うん」



釜子の指示で作っている傷薬の材料を弱火にして煮詰めながら玖寿をあやしたり抱っこし5時間ほど煮詰めると擦り傷などの軽症の傷を治すための傷薬が完成した。



「良し」

『いい出来やな〜』

「そうか」

『コレで今日の仕事は終わりか?』

「いや、後はマナリオさんに頼まれた【純正マナポーション】を作る予定だな」 

『【純正マナポーション】か……マナリオ嬢め作るの面倒だから白虎に押し付けたんやな…』

「えっ」

『本来は工程とかホンマに面倒なんやけど、ワイがおるからパパっと作ったるわ!』

「さすがの錬金釜だな」

『まずは【ふわわチューリップ】と【リドリマナマナ草】を入れて弱火で煮込むんや』

「ふわわチューリップとリドリマナマナ草を弱火で煮込む…」

『玖寿がぐずりそうやな…ほなあやしなはれ。釜の中が焦げないよう管理しとくわ』

「おう」



俺は一仕事終えたのでぐずりそうな玖寿を抱っこし、あやしてから揺りかごに寝かせルウカ先生から貰った鈴の着いたヌイグルミを玖寿の隣に置くと満足気にヌイグルミの鈴で遊びだした。

そして通称釜子こと【カマリエール2世】の指示に従った。



『錬金釜の中の液体が黄色になったら【ピュアマナ草】と【魅了蘭】と【キングブルーローズ】を入れて一気に強火にするんやで、するとワイの釜の中に入っている液体の色が緑色になるはずや』



グツグツと煮込んでいると黄色の液体から緑色になった。

なんか科学の実験してるみたいで錬金釜の調合って楽しいな。



『次は【幻想パンジー】と【エリアルフラワー】と【フリルリリー】とまた【ピュアマナ草】を入れて中火にして煮込むんや、今度はなんかの青色系の液体になるはずや。

なるべく何色の青と行ってくれるとわかりやすいんやけど』

「わかった」



グツグツグツグツ……と煮ていくと紺碧色になっていった?



「黄緑色系の青の……紺碧色……か?これ?」

『…んー……そうやなぁ……紺碧色やろうか……まぁそうやな』

「次は何をするんだ?」

『最後の手前の工程として【クインプリンセスローズ】と【赤桜花】を入れて強火にして煮込んでから【ピュアクリスタルアイス】を入れて急激に冷やすんや』



俺は釜子から渡された花と氷を入れて釜を急激に冷やした。

すると今度は毒々しい紫色の液体になった。



「どっ毒々しい色になったけど大丈夫か?これ?」

『大丈夫やで。最後に【蜂蜜花】を3つ入れて混ぜるんや』

「わかった」



蜂蜜花を3つ入れてからぐるぐると混ぜ合わせているとかき混ぜにくくなってきた。



『もう少しの辛抱やで』



釜子に言われた通りにかき混ぜ続けると蜂蜜のようなとろとろとした液体に変化した。



「おぉ!コレは凄いな色も蜂蜜みたいになった!」

『大成功やで後はこの液体を瓶に詰めたら終わりや』



俺は液体を残すことなく瓶に入れて釜子を綺麗にしてから納品するための箱に詰めてアイテムボックスに入れて機嫌よくヌイグルミで遊んでいる玖寿が寝ている揺りかごを持って魔法屋に向かった。




「……………………………………」




その様子を覗いていた者が1人………。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【クレイバール学校】



《職員室》



「…………的な事があったんですよ」

「(白虎は釜子の声を聞き、話せるんだね…)そんなんだ」

「一人でぶつぶつと喋りながら錬金していたのですが…」

「大丈夫、錬金のしすぎでどこか悪くなったとかないよ」

「ですが……少し不安になります」

「大丈夫だよ」

「えぇ〜」

「本当に大丈夫だから。昨日、色々とあったからね(後で白虎にも【金物念話術(かなものねんわじゅつ)】を教えて釜子にも念話するように言っておかないとだね…)」

「昨日の影響がまだ残っていたのでしょうか…?」

「……そうかもしれないね、キユクは白虎に良く休むように言っておいてね」

「そうさせます」








……………今の体に転生する前から釜子と喋ったり普通にしていたが、実はキユクが言ったように客観的な方からみると一人で錬金釜に向かってぶつぶつと喋ってる…そう見えていた事が判明したのが今か1500年前である。


島の子供らには「あー…サニカ先生たちもストレスとか溜まってあぁやって錬金釜に話をかけてぶつぶつとストレスを発散しているんだよ」と先祖代々から言われていたと聞かされたときなんとも言えぬ想いが込み上げてきがどうにかその場を誤魔化して耐えた。



その日の夜にルウカとラブナシカの3人で釜子との会話について話し合っていたが当時の島の子供にも聞こえる子がいて訪ねてきた。

それからというもの稀に釜子と話せる子が生まれた場合のみに釜子や喋る金物と念話が出来るように念話専用の魔力を鍛えて【金物念話術】を使えるようにしている。



そして白虎も例外なく【金物念話術】が扱えるようになったのであった。



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