新たな結界と踊るマンドラゴラ
【クレイバール島】
《上空》
「本当にやるの?」
「えぇ、何か【境界兵団】に動きがあったみたいだからこれまで考え抜いた事を実行に移すわ。
アタシたちが結界を張るだけじゃだめみたいだから」
「この島の家の配置をも使い魔法陣として組み込みさらに強い結界を張るぞ」
「家の配置自体を魔法陣として効果が出るようするなんてね」
「この魔法陣は山暮らしをしていた時に昔一度だけ使ってた時があったけど流石に勘弁してくださいやりすぎですと言われて解除した奴だね。
どれだけの効果が出るかわからないがやって見ようか」
四人の魔力を合わせ複雑な魔法陣が島全体に浮かび上がるといくつかの家と施設とライフラインである水道管なども宙に浮かびそれぞれの魔法陣の要となる場所に配置され水道管なども新たな場所に配置された。
そして島全体を包み込む魔法陣が完成し新たな結界が発動されより強固となった事で侵入者によって島に仕掛けられていた悪い物のも結界の外に弾き出された。
「賢者の石で出来た島にゆえにここまでとは…」
「結構な奴が仕掛けられてたね…やはり私たちの結界だけじゃ駄目だったみたいだ」
「この結界はクレイバール島の生命や生活を脅かしたりする強者も弾く、これだけやっても駄目ならば無敵の宿屋と火天の宿屋頼みだな」
「あら、イルミナット島の住人たちとその他が船で来てたみたいね…何しに来ていたのか話を聞いてきましょうか?」
「必要ないだろ、やめて差し上げろ」
「…話し合いはイルミナット島の島長であるタツキを通して行ったけど血脈が無理だとようやく理解したと思ったら…今度は土地を寄越せだってさ。
タツキも悔しそうにしていたけど何が紛れ込んでるかわかったもんじゃないから無理だと言ったらスッと引いたから何が思い当たる事があるみたいだし」
「タツキの統率力もなかなかの物だがそれでもいくらか嫌な雰囲気を持っているのがチラホラ居るからな」
「まずはコレでね?」
ラブナシカの言葉にその場にいる全員で頷いた。
「蒼はどうやって自国民たちを守ってるんだろう…今度の強者たちの集まりのときに聞いてみようかな」
「それもアリだな」
「ふぁ……あたし寝に戻るわ」
「マジェリルカ、ありがとよ」
「どういたしまして」
マジェリルカは自分の家に帰っていった。
「……これまで私たちが仕掛けた結界を解くよ」
「えぇ、逆にアタシたちの結界が邪魔をしちゃうから。
それに結界にまわしていた魔力も戻ってくるし準備万端と行きましょう」
「マジェリルカ……アイツ実際は結界張るのサボってたな?」
「要領いいから張って解いてを繰り返していたかもね」
「………行くわよ?「「解除」」」
クレイバール島周辺に何百にも及ぶ結界が解かれるとイルミナット島経緯の侵入者が複数名ほど待ち構えていたのかクレイバール島に向けて何かしようとしたがクレイバール島を守る新たな結界が攻撃を弾き飛ばした。
「やっぱり凄いわね〜無敵の宿屋を使った結界は人間やめた輩の攻撃を全て弾き飛ばしたわ」
「…混乱しているみたいだな」
「当たり前さ、前のときは結界が割れたりヒビ割れたりしてそのスキに近づく的な事をしてきたけどそれが出来なくなっているんだからね…それにしても本当にしつこいね」
「その辺はなるようにしかならないと思う、ここまで続いてるしな。
子供らの従魔たちにも注意深くさせておこう、こういうのは野生の勘の方が良いからな」
「アタシたちも寝ましょうか。お肌に悪いし」
上空から島全体を見ていた島を守護する強者たちは未だに懲りずにやって来る者にイタズラをしてから寝に戻っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【クレイバール島】
《六月一日家の周辺》
「なんか寒いなと思ったら景色は初夏に近づいてきているのに海から物凄い数の氷の柱が生えとった」
「しかも巨大な氷の柱ですね…こんなことをするのはルウカ先生でしょうか?…ここまでの大さは見たことないですが……それにしても島の雰囲気が少し変わりましたね」
「俺は特に感じないな」
「分かりづらいですからね」
「先生にそういう変化が判るように鍛えてもらうかな………俺たちの家は少し移動したくらいか」
「そうですね」
「周辺の草花に霜が付いてる……薬草とか大丈夫だろうか」
「もし摘んでも駄目ならばルウカ先生たちに文句を言いに行きましょう」
「だな」
俺たちは朝食を取ってからひとまずルウカ先生が居る無敵の宿屋の方に向かった。
「無敵の宿屋を何軒が距離を保ちつつ囲ってますね…コレが昨日、ルウカ先生が言っていた案件ですね」
「そうみたいだな」
「よっ白虎」
「フルーレも無敵の宿屋の方にようが出来たのか?」
「サニカ先生に頼まれていた無敵の宿屋の方の刃物を研いだから届ける所だ」
「ロッカさんは?」
「ルウカ先生を確保して氷の柱を破壊するべく動き出したよ…船が出せないとカイリさんが騒いでたから。
どれだけの武器が破壊されるか戦慄しているところだなー」
「あぁ」
そして【無敵の宿屋】に着いて宿屋の中に入った。
《食堂》
「こんな朝からどうしたの?」
「サニカ先生、研ぎ終えたよ」
「ありがと」
「先生、あの氷の柱は…」
「昨日この島に何かしようとした輩に対しての牽制のつもりでルウカとラブが作ったみたいだけどやりすぎだよね」
「……大丈夫なのでしょうか?」
「前よりは侵入してこなくなると思いたいけどね。結界も新たに張り直して前よりも強力になったから」
「あっそれで島の雰囲気が変わったんですね」
「神経を尖らせている子供らは敏感だね。今日のうちには氷は破壊しておくからいつも通りに生活を続けてよ」
「先生、霜が降りたことでいくつかの薬草が収穫できなくなったんだけど…」
「それなら白虎たちに懐いている【踊るマンドラゴラ】を連れて行く許可を出すから薬草の場所に行きなさい。くれぐれも取り扱いに注意はするんだよ?」
「「「踊るマンドラゴラ…」」」
「それから子供らの託児所として通例通りに常に無敵の宿屋と火天の宿屋を解放しておくから火天の方にいるハノンかここにいるレシェットに話してね」
先生はそれだけ言うと宿屋から出ていった。
「先生も氷の柱を破壊するのをやるのか」
「そうみたいだな…」
「……学校の温室の【踊るマンドラゴラ】を連れていけとって言ってましたね」
「気になるならキユクも着いていけば?」
「…僕も観察してみたいですね」
すやすや寝ている玖寿をレシェットに預けると「ふへへ……期間限定のぷにぷに頬〜」と言っていたのが心配なのかキユクの相棒のクローシェも残ると無敵の宿屋に残った。
そして俺たちはクレイバール学校の温室に向かった。
【クレイバール学校】
《温室》
「▽△○☆◇△○☆!」
「◇△▽◇△☆○…」
「なんかいつも陽気だよな」
「そっそうですね」
俺とキユクが温室に入り【不思議な大木】に近づくと大木の上に登っていたマンドラゴラたちが降りてきて俺たちの方に乗ったり数匹が腕にしがみついたりしてきた。
「☆○◇△▽☆○○!」
「◇△◇☆○☆!」
「ぷぷっ……マジで懐かれてるよ」
俺とキユクが振り向くと俺たちよりも多くのマンドラゴラたちにしがみつかれたハルディオラさんがやって来た。
「ハルディオラさんも凄いですね…」
「オラはマンドラゴラたちと話せるから余計だよ」
「種族的にそうだった…あと先生からコレ」
「うん……確かに許可書だな。
これだけ懐かれてれば問題ないな…場合によっては手伝って貰えば良いか。
では…踊るマンドラゴラたちこの島の植物たちを元気にしてきてくれないか?お礼は…上質な腐葉土や堆肥を分けよう」
すると踊るマンドラゴラたちはカーニバル衣装を身に纏い物凄い勢いで温室から出て行った。
「踊るマンドラゴラを使役してる…」
「大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ、踊るマンドラゴラたちは既に土から離れて生活してるから「ピギャー」とかの悲鳴はよっぽどの事がない限り出さないから」
「…それじゃ観察してみるか(悲鳴を聞いても死なないよな?)」
「ですね」
「踊りの邪魔だけはするなよー」
「はーい」
踊るマンドラゴラたちを観察していたが途中で俺の意識が消えたと思ったら、意識が戻ると俺はいつの間にか病院に運ばれた。
俺が寝かされた病室にはフルーレと隆太郎が俺と同じように寝かされていた。
ガラガラと病室が開くとマジェリルカちゃんが現れた。
「目覚めたみたいで良かったわ」
「……何があったんだ?いつの間にか病室に運ばれててわけがわからないんだけど…」
「踊るマンドラゴラたちが突然大絶叫してそれを近くで聞いた白虎とその場に居合わせたフルーレと隆太郎も聞いちゃって倒れたのよ」
「……キユクは大丈夫だったのか?」
「キユクは絶叫に対しての対策してたから大丈夫だったわ」
「なんか体が怠いんだけど…もしかしてするのか?」
「大丈夫よ、3時間きっかり寝ていただけだから」
「良かった3週間とかじゃなくて…それで踊るマンドラゴラたちが大絶叫した原因は?」
「………ニヴァが【踊るマンドラゴラ】のリーダーとその番を襲って秘薬の材料にしたのが原因よ」
「えっ(番なんていたんだ…)」
「マナリオに結構強めの説教されて居るからこれに懲りたらしないと思うけどね」
「それでなんの秘薬を作ってたんですか…」
「【秘花の種】という秘薬でその種を地面に埋めてお互いの髪の毛や体の一部を肥料として花を咲かせるのよ」
「咲かせたらどうなんだ?」
「子供が作れない存在であろうとも子供が咲き誇った巨大化する花から生まれるのよ」
「………………それって」
「本来の流れからすると生命の冒涜になるから禁断の秘薬に指定されているの」
「もしかして…」
「アスチルの為じゃないわよ」
「えっ……それじゃなんのために?」
「レフィがフィギュアとの間に子供が欲しいと裏でコッソリとニヴァに依頼していたみたいなの。
ニヴァもニヴァで実際に産まれてくるのか?と試したいと思ったみたいね」
「………………そこまでいったのかあの人は…」
「やはりそういった反応を取るわよね。…もう体が動くようなら家に帰っていいわよ?貴方たちを治すのに太陽の万能薬を使ったから」
「太陽の万能薬?」
「そう、あとー…
【六月一日家】
《リビング》
キユクが玖寿をベビーベッドに寝かせあやしていたが俺が自力で帰ってきたのに驚いたのか物凄い勢いで俺の側にやって来て「もう大丈夫なのですか!?」と思いっきり服を掴んできた。
「大丈夫だそうだ。太陽の万能薬とやらを使ったそうだからもう帰って良いと言われたよ」
「たっ太陽の万能薬?!」
「なっ何かヤバいのか!」
「いっいいえ…何か異変が起こるとかはないですが……何事もなく本当に良かったです(よりによってどうして太陽の万能薬を使ったのですか…場合によっては玖寿をサニカ先生たちに預けないとですね)」
「そうだな。それと今日は火天の宿屋で過ごすことになったから服を取りに来たよ」
「え」
「副作用でぬるま湯に入らないと行けない可能性があるかもだから今日は宿屋で過ごせと言われたんだよ」
「それならちょうど良いですね。僕と玖寿も火天の宿屋に泊まります」
「…わかった、なら一緒に準備するか」
「はい」
玖寿を交代で抱っこして宿屋に泊まる準備をしてからサニカ先生が寝食をしている火天の宿屋に向かった。
そして俺が寝落ちしないように先生の従魔の1体である譜月と共にぬるい風呂に入れられ体の火照りがなくなるまでぬるま湯の風呂に入った。
そしてその火照りがなくなると譜月と共に風呂から出て囲炉裏のある場所に向かい俺は譜月をタオルでワシャワシャして毛を乾かしブラッシングをし終えると俺は譜月のモッフモフの誘惑に負けてそのまま寝てしまった。
【太陽の万能薬】………この秘薬を扱うときの取り扱い説明書。
この秘薬は一般の人間に使ったとしてもと特にヤバい副作用が出ることなく使うことが出来る秘薬の一つだが副作用は有り
太陽の万能薬と言われる由縁となるのが使用後の数時間後に体の火照りが出て場合によっては一晩中ぬるま湯に入らないと行けない可能性がでてくることがある……他にも火照りを抑える方法もあるがここでは書かない。