認識
【クレイバール島】
《カフェ・ド・ラブリー》
「………ということなのよ」
「そういうデリケートな事は本人にしかわからんし聞きすぎるとストレスになるから」
「そんなこと知ってるわよ……アタシはこれまで性別を超越して過ごしてきたわ……この間来た侵入者に関してはおいたが過ぎたから男性機能を使えなく魔法で処置しただけだし……」
「いっそのこと男に戻れば?服装も男性の物に戻せばかなり男前で女神様たちすら腰砕けにするフェロモンが出るくらいだから」
「嫌よ〜女子にキャーキャー言われるの好きじゃないの。
それにアタシは性別を超越して過ごしてきたのよ?今更…男に戻るってねぇ」
「アスチルとの関係については今後どうするの?」
「アスチルの魂はアタシとの遠い昔の約束を果たしたのよね……203年はこの島に縛り付けちゃったけどね」
「………オカマよ、解放してやったらどうだ?」
「ル……アンタねぇ」
ルウカは既に左手にガラガラを持ち右手にもガラガラを持ってスタンバっている。
「島に生まれた子供の所に行きたければ行けばいいじゃないの…アタシに絡むんじゃないわよ」
「この島の子供らは子育てが上手いからオレは必要ないと避けられているから暇だ」
「「…………………………」」
「アスチルに関して変態行為をしちゃってた自覚が今になって気付いて出てきたからアタシだって反省してるわ。
だからアタシの加護は付いたままだけど自由にしなさいって言ったわよ」
「それで昨日、アスチルは旅装束に着替ていたのか!」
「可愛い子には旅をさせよ…か」
「えぇ、アタシと約束をしたから守りが付いてるし…襲われたとしても大丈夫だと思いたいわ」
「確かに外に行くにはいいが…良からぬことを企む輩と接触しないといいな」
「ルウカ、それフラグ…」
すると何やらズドンとカフェが揺れたがしばらくしても誰もやって来なかったのでひとまず大丈夫だと三人は安心した。
「この揺れはこのカフェだけね」
「超常現象かい………流星群の時に願って星の加護が動いているから血で血を洗うことにはならないだろうけど……そもそもフラグを建築しても動かないようになっているはず」
「…まぁ…数多な世界に襲撃したときに手を出してはいけない輩の企てによって【境界兵団】がほぼ壊滅的被害を受けてから大人しいから不安になってるだけよ」
「長きに渡る勇者の魂と魔王の魂の件は終わったからな…オレたちはいつも通り子供らに知識を教えればいい」
「なるようにしかならないものね。アタシは話したわよ?ふたりとも…何か抱えているなら話しなさい」
「私は特に何もないよ。子供らがこの島を駆け回り始めるまでぐうたらさせてもらうけど」
(サニカに関しては…たまに戦闘訓練させないとね)
「オレは赤ん坊たちのベビー用品をこの島で量産だなっ!イグファルドたちと共にな…ふふふふ」
「やりすぎて子供たちに引かれないようにするのよ?」
「わかっているぞ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【火天の宿屋】
《エントランス》
「……いつの間に机や椅子が片付けられてモコモコした大きなマットレスがひかれてるわ」
「お前たちも赤子の頃は安全な宿屋のエントランスによく集められコロコロしていたんだぞ?」
「そんな昔の話はいい」
「ロッカ、照れるなよ」
「照れてない」
「こういう時は何か起きる前兆なきがするんたけど」
その場に集められた新米ママになった島の子供らは赤子を抱いたままジッとルウカを見た。
「いや、今はまだ起きないと見ている」
「今は起きない?」
「もしかしたらここ2年〜10年を目途に見ている」
「…襲撃系ですか?」
「あぁ、襲撃系だと思っている。
だから無敵の宿屋と火天の宿屋を移動させる案が出ていてな…まずは東地区はそのまま火天の宿屋を少し移動させて中央区のド真ん中に空いてる土地があるからそこに無敵の宿屋をと思っている」
「………無敵の宿屋の移動ですか…」
「ふふふ……色々と事情があるのさ。悪い意味ではないから安心してくれイダルベール」
「その辺はサニカ先生やルウカ先生、ラブ先生に任せてるからアタイたちは子育てに時間を費やさせて貰うよ」
「それでいい」
モコモコマットレスに赤子たちは寝かされると早くに生まれた子供らは寝返りをうちハイハイをして動き回っている。
「ラタムの所は早いね。もう高速ハイハイをしているよ」
「高速ハイハイ?……まだ1歳にもなってないのにハイハイの動きが早っ」
「シェルフィナの所も早いじゃないの〜」
「唯糸の所は……なんかハイハイしている組の邪魔してない?わたしの見間違いかしら?」
「……いや、邪魔しているんじゃなくてハイハイしているラローネルの足を掴んでるわ」
「……なんか将来が不安になってきたぞ」
「女の子たちは活発なのが多いな、ヒペリカたちの息子の日葵はどこだ?」
「日葵はわたくしの腕の中よ。女の子が多いからなんか雰囲気にやられたのかしら」
「そのまま寝てるから構うのは無しだな……玖寿はどこだ?」
ルウカがキョロキョロと辺りを見渡すとキユクが。
「まだ寝返りが出来るようになったばかりなので僕の側に居ますよ」
「おぉ……1番遅く生まれたからこれからか」
「そうですね」
「あ〜子供はやはり宝だなーどんな財宝にも変えられん……父親たちがドアの前でスタンバっているから入れてやらないと尋問を受けそうだな」
ルウカは宿屋のドアに向かいドアを開け妻と子供を迎えに来た夫たちが宿屋に入った。
「先生さんよー?オレの孫にベタベタと触らないでくれ」
「孫のコナルヴィアに嫌われないようにな孫ラブその1」
「うるさいですぞ」
「孫ラブその2も場合によってはロッカとルルエールによって近づけなくなるぞ?」
「大丈夫ですよ、おれはメルゴと違いそこまで執着しませんから」
「おっ?なんだ?やるのかー
メルゴとロルスがシュッとこつ然と消えた。
「キョウカちゃん、うちの夫と幼馴染みが悪いわね。きったない言葉を子供たちにまだ聞かせるのは早いからね?」
「いいえ、義母上。孫にデロデロになるのは仕方ない事ですので気にしてません」
「うふふ、ありがとう。ロルスもついでに飛ばしておいたけど大丈夫かしら?」
「ありがとう、ルファーナさん」
「ルウカ先生とサニカ先生とラブ先生から聞いたけど本当に移動させるんですかな?」
「あぁ、お前たちが寝静まっていて気付かぬうちにやっておくよ。もしかしたら家が移動している可能性があるかもだけど気に入らなかったら抗議してくれ」
「わかったよ」
こうしてそれぞれの家族は家に帰っていった。
「さてと…サニカとラブとマジェリルカの準備も終わっているだろうから行くか」