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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【最後の使命】
271/555

仲良しすぎないかい?

【クレイバール病院】


《診察室》



「……ここに来た時点で気づいていたみたいだけどおめでとさン。ご懐妊だヨ」

「やはりそうでしたか……こんなにも早く身籠るなんて思いませんでした」

「確かにナ、先生たちからも言われていたけどおれらは長命の種族の血を引いてたりするから子供が出来にくいと言われていたけド」

「アタシが妊娠するのに約5年も掛かったけどこういうこともあるもんだねぇ」

「仲が宜しいようでおれとしては安心しているヨ」



ラタムとロディンナさんは結婚しても島の医者だからと新婚旅行には行かなかったが「ロディンナと出逢ってアプローチしながら旅に付き添って新婚旅行もどきしてたから別にナ〜」とのことだった。 


ロディンナさんも「新婚旅といってもねぇ…子供が成人してから旅行に出ても良いんじゃないかい?」と言って島に残っていたのであった。



そして4月にはラタムとロディンナさんとの間に娘のラローネルが誕生したのだった。



「月からするとおれたちの娘と同い年になるナ」

「そうみたいですね」

「……新婚旅行に行っている夫婦どもが子供が生まれそうだから帰ってきたって言ってきたラ…その夫を引っ叩く所存だゾ。

妻が妊娠したかもと思ったら直ぐに様子を見せに戻ってこいと言ってから送り出したからナ」

「数名は確実に引っ叩かれますね」

「まァ…取り敢えずキユクはまだ安定期に入ってないから激しい運動とかストレスとか溜めすぎないようにするんだゾ?」

「わかりました」

「あと食事とかも気にかけるんだよ?」

「そのあたり俺も気遣うよ」

「もう帰って良いゾ。暫くはルウカ先生がしつこいだろうからもし嫌だと感じたらサニカ先生かアジサイ様かイダルベールさんに言うと良イ。黙らせてくれるかラ」



ラタムは言い付けたんだな。悟ったような表情で俺たちを見ているし。


俺とキユクが診察を終えて病院から出ようとしたら隆太郎とヒセットさんが病院に入ってきた。



「隆太郎、帰ってきたのか」

「戻ってきたよ」

「ふたりとも結婚おめでとう。新婚旅行に出ていて式には出られなかったけど直接言いたかったの」

「ありがとうございます。ヒペリカ姉さん…………夫婦で帰って来たと言うことはもしかしてですか?」

「…帰って来たばかりでそういう話になるってことはもしかしてキユクたちも?」

「はい」

「あら!おめでとう!結婚してまだ少ししか経ってないのにこんなことがあるなんて」

「それじゃ俺たちも調べて貰うために行くからまたな。

ヒペリカさん、俺たちも行こうぜ」

「えぇ」



ふたりは仲良く手を繋ぎファムロスさんが受付をしている場所に向かった。



「一気に来ましたね…暫く病院やサニカ先生たちは忙しくなります」

「そうだな……改めてキユク。ありがとう」

「ふふ……これからが大変ですよ?」

「気を張らずに行こう」



まずはそれぞれの両親に手紙やらで報告すると次の日には祝の手紙や品を送ってきたがキユクが安定期に入るまでは来ないそうである。


そしてキユクが安定期に入るとそれぞれの両親がクレイバール島にやって来てキユクの様子を見に来てなにか不便はないかとか体調に変化はないかと世話を焼いていた。


そしてこれ以上やったらストレスになるなと一足早いベビー用品を置いて嵐のように去っていった。


そしてその頃になるとラタムに言われたことを無視した夫が臨月に入りかけている妻や既に臨月に入っている妻をそれぞれ連れて帰ってきた事でラタムは怒り「臨月になる前には帰ってこいって言ったよナ?身重なのに連れ回したんカ?ああン?」と臨月近くになるまで連れ回した夫たちに往復ビンタしていた。


病院に連れて行っていたのに解せぬ…と思っていた夫たちにはルウカ先生がこの島で見守りたかったな〜などネチネチネチネチと8時間も話に付き合されされたと後で聞いた。






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





クレイバール島の若夫婦たちが帰ってきて数日、今回は女子は女子で男子は男子と別れて話をすることになった。



【無敵の宿屋】



《食堂》



「男同士の飲み会なのに…」

「ルウカ先生には嫌ってほど根掘り葉掘り旅の話を言わされたんだよ…勘弁してほしいしこういう時はサニカ先生の方が聞いてこないから気楽なんだよ」

「ヤンデレモードに入ってたみたいだからねぇ……まぁ空気に溶け込むようにしておくよ」



それだけ言っておツマミ料理を一通り出して俺たちの話に入ることなく少し離れた場所のソファーに体を預けたようである。



「ラタム、1つに聞いておきたい」

「何カ?」

「往復ビンタはやりすぎじゃないと思わなかった?腫れが引かないんだが?」

「いヤ、やりすぎではないと思ってるヨ。この島の島民たちは少々特殊な肉体を持ってるから妊娠したことで体の変化が起きていつ突然なにが起きるかわからないからネ。

おれの祖先の時に突如としてお腹に居る子供に拒否反応を起こして死にかけた妊婦さんと子供が居た記録が残ってるんだからナ?」

「それは…そうだが…」

「しかも前例がそれしかなかったからまだ治療法が見つかってないシ、その時はマジェリルカちゃんとサニカ先生がどうにかしなければと掛かりっきりでどうにかなったんだかラ」

「…………面目もありません」

「そう考えると隆太郎とヒペリカ姉さんは判断が早かったよナ。直ぐに新婚旅行を切り上げて帰ってきたシ」

「それに関してはヒペリカさんがもしかして……と気づいたんだよ。しかも初めての妊娠だからとそろそろ旅して結構経つから帰ろうかってなったんだ」

「流石、判断が早いな…ヒペリカ姉さんは」

「それに比べてフルーレとフィリムとカイリさんはナ?」

「悪かったな。妻と二人っきりで居られる時間を邪魔されたくなかったんだよ」

「もしもの時が来て命が尽きたらどうするつもりなんだヨ」



そこからまたラタムがお説教モードに入りカイリさんは苦笑いしながら話を聞きフルーレはロッカさんがそう簡単に死ぬか?と言う表情で聞き、フィリムに至っては聞き流している。



「それに臨月が近いから島の年上の方たちはソワソワしてるしなんか落ち着かないからこっちまでソワソワしてくル」

「なるようになるだろうさ」

「フィリム、しつこくして唯糸に家出されないように気をつけろよ?唯糸は繊細なところあるしストレスが溜まりすぎると大胆な事もするからな」

「えっなにそれ」

「確かに、これぞ幼馴染だから知る情報だな」

「えっ」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






【火天の宿屋】



《食堂》 



「ほら出来たぞ。体に障らない様に改良された軽いツマミとデトックスウォーターだ」

「久し振りにサニカ先生の味付けが食べられるわ〜」

「相変わらず…地球の料理は食べやすいな」

「帰ってきたーって言う味だね」

「それにしても……皆さんよく食べますね……」

「キユクって安定期に入ったばっかりだっけ?」

「はい、ようやく食欲が戻ってきた所です」

「私も安定期に入るまでは大変だったわ」

「ヒペリカ姉さんもですか?」

「えぇ」

「へぇ……ヒペリカはなかなか頑丈だから大丈夫そうに見えたがそうはならなかったんだな」

「ロッカと一緒にしないで貰っても良いかしら?」

「はいそこ、あんまり険悪モードに入らないの。

あたしはコレからだし、有益な情報を貰いたいからお黙りになりなさい」



ニヴァがそういうとふたりは喋れなくなった。



「「………………………………………!」」

「所でロディンナさん」

「ん?どうかしたかい?」

「産むときってやっぱり痛いの?」

「……痛かったけどスルッと娘が産まれてきてくれたからそこまで痛みは感じなかったよ」

「おぉ…流石だぞ」

「生まれてからが大変だよ。寝不足気味でね。

でも限界になればファムロスさんが手助けしてくれるから助かってるけどもね」

「あー…孫ラブになっているファムロスか……アイツ獣化してラローネルをあやしてるよな」



ファムロスさんが獣化するとグリフォンのような姿になりもふもふしていて子供に人気だった。

その様子をどこからか見ているシューゴとフェイースが嫉妬するというのもセットである。



「フェイースの毛はサラサラして触り心地は良いんだがなんか雰囲気からして触りづらいよね」

「ファムロスさんは触りやすくなんか安心するんですが…」

「シューゴは…固くてなんかキグルミみたいで怖いのよね」

『まっまさか……子供たちにそんなことを思われいたなんて…』

「「「「えっ」」」」



女性陣が声のする方を振り返るとシューゴがリードを装着させたフェイースと共に火天の宿屋に来ていた。



『………キグルミのようで怖いですか……』

『…子供らが近づかないのは…必要以上にキラキラしている毛か?毛のせいなのか?』

「………なんかゴメン……」

『ルウカ!どうにかしてよ〜!』

「それは無理な話だ。シューゴがキグルミに見える理由はお前の中に自我という意思が詰まってるからだな。

もしソレを取ったならお前はタダのヌイグルミに戻るだけだが?」

『そんな〜!』

「フェイースに関してはそもそもフェンリルなんて種族は近寄りがたいしこの島の子が近づかないのは本能レベルでヤバいと避けられてるんじゃね?」

『……メルゴたちと同じ事を言うのだな…一度大人になった子供らに突撃して聞いたことがあったが…ルウカが言った通り、なんか本能レベルでワシャワシャさわれないと言われたんじゃー!』

「だろうな」



こういった話を挟みながらルウカは女子たちにうまく溶け込み聞き手となり女子会を楽しんだ。







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