番外編 子供の日と思い出
謌←の字はリアルの命名で使えないようなので【謌実】から【賀実】という字に変更します。申し訳ないです。
【クレイバール島】
《大広場》
「…オレたちが地球で買い物をしている間に何があったんだ…子供らが魔法の鎖で縛られ顔だけ鯉のぼりの口から出て吊るされとる」
「…えぇ」
大広場に飾られている30個の鯉のぼりのうち4個が子供入り鯉のぼりとなっている。
そして吊るされた子供の熱中症対策と苦しくないように足元から風が吹いている。
「ルウカ先生、子供らが何をしたン?」
「アレを見てみろ」
カトラ(ラタムの父親)が聞くとルウカ先生が顎で方向を示すとそこにはビリビリに引き裂かれたこの島の守り神のヌイグルミのシューゴがバラバラ事件になっていた。
「シューゴ!?」
「あぁ…うん…」
「自分たちの時にはなかったことをするのか…子供って純心さと残酷さが絶妙だな」
「それでユウコたちは何処に?」
「それなら他の子供たちと【星あかりの森】でキャンプの準備してるぞ」
「そうか…ルウカ先生、助けることは可能か?」
「……怪我したくなければやめておけ」
「え」
すると子供たちを地上に降ろすために向かった父親の悲鳴が聞こえた。
「ギャァァァ!!ナニコレェ!!」
シュッとどこからか吹き矢が飛んできてアジュガに当たりそうになったが持ち前の反射神経で避けブリッジした状態となった。
「この罠を仕掛けたのって……」
「お前たちの想像した人物であり母親のメイリーン(フルーレとレフィの母)だ」
「……コレは警告か。子供が反省するまで手を出すなという」
「だと思う」
アジュガがブリッジしながら戻ってきてスッと立ち上がった。
「…………怖かったです」
「結構ぶっとい針が付いてるよな…コレ」
メルゴが吹き矢が刺さっている場所から取って来た。
「コレは本気だな…シューゴ直せそうなのか?」
「いまサニカがシューゴの散らばった意志の欠片を集めに走り回ってる」
「それまでバラバラにされたんかイ!」
「だからここまでしたんだろう。ナオハルたちもな」
オレたちは…子供たちの表情をじっと見ていたが反省しているどころか寝ている。
「器用だな…寝てるぞおい」
「やっていいことの分別がついてると思うんだけどな…」
「全面的に吊るされた子供たちが悪いのか?」
「というと?」
「シューゴが良からぬことを言ったのではないかと」
「それは言ってないみたいだよ」
瓶にシューゴの意思を集めきったのだろうサニカ先生が戻ってきた。
「普段から猫をかぶっているヒセットとおっとりさんのナオハルが怒ってたからねぇ」
「サニカ先生、ご苦労様です」
「これでようやく直せそうだよ。ロルス手伝ってくれる?」
「うん…」
「吊るされてる子供たちの監視についてはフェイースにやらせるとして、香瑠(ユウコの夫)はユウコたちの元に向かいなさい」
「うっうん……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【クレイバール大広場】
《ガゼボテラス》
「で現在のシューゴはツギハギだらの姿になったとさ」
「………ヤンチャすぎないか?」
『ヤンチャを通り越してサイコパスだよ〜』
「……僕たち覚えてないですよ」
「覚えてなくても仕方ないと思う。キユクたち年下組は年上組の所業を見てギャン泣きしてそのまま寝ちゃってたから」
「………えぇ」
『キユクたちを泣き止ますのにぼくも動いたんだにゃ〜』
と言ったのは先生の契約している魔物?の一体で猫又の翡翠。
宙に浮きのんびりしている。
「……そのへんの記憶もないけド…」
「本当にショックだったんだから記憶が飛んだんだろ」
「なんか誤魔化されている気がするんだけど…」
「それで、白虎たちはどうだったのですか?」
「……子供の日は私の宿屋に近所の子供も呼んでお祝いしてたくらいで悪さする子供は歴代で居な……居た悪ガキ」
「え」
「六月一日家にはいなかったけど近所の子供でいたな…六月一日家に美女や美男が生まれるとちょっかいを出してくるやつ」
「それって…」
「好きな子をいじめる的なやつだと思うけどそれにより嫌われるという悪循環が生まれるやつだね」
「うわ…」
「この島では起きたことがない現象だネ」
「場合によっては心の痛みというのを小さいうちに味合わされますからね」
「体の傷は治るけど心の傷はそう簡単には治せないと言うことを教えるんだよ」
「その教育方針どうにかならないの?」
「オイタな子供が生まれない限り自然に任せるぞ?」
「そうなんですけどね」
「……子供の成長って早いと思うこの頃…」
「急にどうした先生」
「ん?……なんか感傷に浸りたくなったのさ」
それだけいうと先生は黙り込んでしまいそして席から離れて宿屋の中にある図書室に行ってしまった。
「……お前たちに良いものを見せてやろうか?」
「何を見せてくれるんだい?ルウカ先生」
「お前たちの先祖や親の結婚式したときの写真だ」
「え」
「サニカが大事に大事に全部保管してるのがある。お前ら小さい時に親や先祖の結婚式の写真みたいって言ってただろ?」
「……そんなこと言ってました?」
「言ってたがお前たちではないのか?」
「……親の結婚式の写真はそれぞれの家に飾られてるから先祖の奴みたいな」
「少し待ってろ」
数分後にぶっといアルバムを持って来た。この島に暮らし始めた祖先の結婚式の写真を見た。
俺はこの島の初代先祖とも言えるビワトとルヴェルの結婚式の写真を見せてもらった。
ルウカ先生たちは本当にこの頃から姿形が変わってないのだと知った。俺の先祖はとても幸せそうに微笑んでいる。
でもよく見ると写真の端に少し寂しそうに微笑んでいる人がいたが司祭の服を着たサニカ先生に励まされている。
……この写真誰が撮ったんだろ?
「どうしてオイラの血統に巨乳が居ないのかわかった」
「僕の方には大きい人が居るのに…どうして」
フルーレ…今それをいうか?キユク…。
「スッスゲ……2000年前の写真なんだろうこれ…」
「魔法…凄いぞ。そこに写る男女が白虎の先祖…イケメンと物凄い美女だぞ」
「あ〜やっぱりロッカさんとポーリア姉さんたちって遠い親戚だーってサニカ先生たちよく言ってるけど白虎が見ている写真を見るとそうだとわかるよね……ポーリア姉さんたちの先祖の瞳の色って青紫色だもんね…あと白虎の先祖も」
「なんか瞳の色が現在まで残ってると思うとなんか執念を感じるよ…」
「………多分だけどもうポーリアやヒペリカ、そしてロッカと白虎も青紫色の瞳の色の子供は必ず持っ生まれて来ることはないと思う」
いつの間にか戻ってきた先生の方を見た。
「え?」
「生まれるには生まれるかもだけどね。
白虎の魂の使命を終えて白虎の血が途切れようともう大丈夫になったから」
「そういえば役目を終えての帰ってきたばかりでしたね」
「その地球で過ごしてた時の記憶が曖昧なんだけど…」
「お前の中の魂の記憶が反応してたんだろう。ふと白虎を見ると別人に見えたりしたし」
「えっ」
「危害は無いから大丈夫さ」
「…………なら良いけど」
この日は子供の日と言うよりも先生たちによる昔話で盛り上がり一日を終えたのだった。