封印された地球で見た夢…?
『………綺月…この星は駄目だ。別の地球での出来事なのにピンチに駆けつけてくれた異界の地球人の魔法使いや賢者にこの地球の道を封鎖して帰って貰った』
『総督』
『この世界に侵略に来た異世界の勇者や重鎮どもを閉じ込めた、コレで侵略者の世界は闇に覆われる。
向こうの勇者も生まれなくなり向こうもこの地球と同じく滅びを迎える。ざまぁないな』
『総督、それで俺はどう動けばいい?』
『もう特に動くことはないから好きにしろ。たとえここで殺されたとしてもこの世界は【封じられた世界】の一つとなり転生も出来ずに封じられるんだから』
『では俺は』
『好きにしろ。今日を持って【世界防衛部隊】は解散だ……と言っても既に隊員は貴様を含めて十人しかいない。
他の奴らは死に急いで先に行きやがったからな…』
『………では』
『あぁ。この世界の終わりを告げる放送を暫らくしたら流す。お前の大切な者と共にこの最後の防衛地を離れろ』
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『綺月、それでどうなったの?』
『【世界防衛部隊】は解散したよ。この世界の終わりを告げる放送が流れる前にこの地から離れろだそうだ』
『…地下シェルターでの生活とはオサラバかー』
『いい場所があるが付いてくるか?そこなら5年は不自由なく過ごせるだろう』
『その場知ってるぞ?僕たち3人の生まれ育った小さな町だ』
『あぁ、そこなら俺たちが昔、異世界を旅した時の保証として貰った異世界の女神サマの報酬もある』
『そうだね』
『昔の口調に戻ってるが?』
『あら、申し訳ありませんわ』
『……………ギャップが凄いな』
『うふふ……それじゃ異世界の住人が帰れないとパニックになっているうちに帰りましょうか故郷に』
『あぁ』
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【………という理由でこの地球はもう封じられた、侵略者ども…共に地獄に行こう。
そして地球に住む我々同胞たちすまない、この愚か者どもを封じ込めるために犠牲としてしまった。
だかこの侵略者どもの世界も我々の地球同様に滅びに向うだろう……なぜなら侵略者どもの世界の魔を撃つ者がこの地球に封じられこの地球を滅ぼした代償として勇者が生まれてこなくなるからである。
そして私が死ねばそれが完遂する手筈になっているからだ。
さらばだ!愚かな侵略者ども!!】
ターンと銃弾が放たれた音がした。
そしてしばらくすると空が真っ暗になった。
『綺月…今のって』
『……総督だろうな…だからこその移動できるときにしろだったんだな……暫くは闇に覆われ身動きは出来ないなこりゃ』
『えぇ………故郷に戻ったのは良いけど戻るまでの道が世紀末の世界って感じだったわね…』
『もう人とすれ違わなかったな』
『……私たちもどれだけ生きれるかしら』
『生きれるまで生き抜いてやるさ』
『そうね、アイツに生かされた者たちとしてね』
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食料問題で争った異世界人たちの亡骸があった。
『………この生活になれてきたけど嫌ねぇ。侵略者たちも食料の取り合いで仲間に手を掛けたみたいよ』
『……鹿や猪を狩ったとしても血抜きやらをしないと食べられないし寄生虫とかの問題もあるし、そもそも地球の食べ物や環境がな』
パキっとガラスを踏む音がした。
『エリザ…』
『えぇ』
『食料よこせぇ!!』
『!』
『子供の声っ!綺月!』
『わかってる』
左手に持っていた鉄パイプを声がした方に構え攻撃を防いだ。
『その格好……異世界人の子供か』
『…随分と痩せてるわね』
『自給自足が出来なければ今のこの地球では生きていけないからな、死にたくなければ引け。見逃してやるから』
『うぅ…ウガァア!』
『手を抜きなさいよ』
年の差、経験の差によって異世界人の子供は一撃で気絶させられその場に倒れた。
『このまま放置して行くぞ』
『…………えぇ』
『子供であろうと容赦はしない。侵略者は俺とエリザと〇〇の両親を俺たちの目の前で笑いながら殺したんだからな』
『そうね…』
『特に使えそうなものはないから帰るぞ』
『うん』
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『エリザ、どうして連れてきた』
『……この子から何かを感じたの』
『コイツは敵だ』
『だとしてもこの子は…侵略者の…侵略者の子供であろうとこの地球で生まれた子供なのよ?』
『…………住める場所は俺とエリザで管理してるからあるけど…俺は面倒は見ないからな?……コイツらは絶対に裏切る。戦場で何度も停戦して破ってを繰り返してきたんだから』
『……』
『俺は絶対にオススメしないが好きにしろ』
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『………………綺月、ごめんなさい。食料全部持ってかれた』
『……1年の時を共に過ごしたとしてもあいつらは俺たち地球人をバカにしてる。
どんなことをしても良いと俺たちと似た姿をしていようと地球人は所有物としか見てねぇ。
コレで懲りたら二度と拾ってこないことだ』
『………………』
『そろそろこの場を移動しなければヤバいな…他の侵略者に住める場所があると知らせたようなものだからな。
この場を守ることはせずに明日までには移動しないと』
『……ホントに私はいつも綺月たちの足を引っ張るわね』
『お前が生きて俺の側に居てくれるだけでいい。それにそろそろだと思っていた』
『……ありがとう』
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『……ふふっごめんなさい……下手…こいたわ』
『喋るな、まだ間に合う』
『………もう…無理よ……自分だからわかるもの』
『………俺はまた守れないのか…?』
『仕方ない…わ…異界の侵略者たちの介入で…この世界はもう…生命が途絶え…輪廻転生も出来なく……本当に終わりを迎えてしまった…から……あのね、綺月』
『嫌だ』
『………本当に、困った人……でもこの世界を、グチャグチャにした………の張本……の侵略者たちは………彼の命と引き換えに……倒せた…から…綺月、どうか……後は』
『…お前ひとり先に行かせない。もうこの世界は再生できないだろう。どうして地球系列に手を出す事が禁じられているか、こうなってわかった気がする。
俺たちが異世界に呼ばれ旅して手に入れたこの力なら…』
『…ダメっ……その力は自分の為に使っては…!』
『使う。この力を使った代償を支払いきるその日まで、お前との約束を果たせる日まで…!』
『どうして……?』
『……このままならお前が生まれ変わることなく消えてしまうからだ……いつかお前の名を呼んでやる。
その時まで待たせるから俺以外と結ばれようとも俺はっ!』
『……私の事は……もう、忘れて欲しいのに……』
『忘れてたまるかっ!………も居ないのに!』
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『勇者の魂よ、ようやく戻ってきましたね』
「……貴女は?」
『この地球を…命を守れなかった愚か者です』
「俺を呼び出したみたいだが…」
『はい、貴方は異世界の神の罰を受け数万もの時を異界で過しその罪を返し終えた今、この地球に戻ってきましたね』
「返し終えたのか?なんかろくな事をした覚えはないんだが……」
『大丈夫です…返せてますから。そしてこの地球を侵略した異世界も充分に罰を受けた事でしょう。
…そして貴方の魂を守っていた者たちにも感謝しなくてはいけませんね』
「先生たちか」
『そうです。……貴方には【解放の真言】を託します。
今はこの星を巡り侵略者たちの魂を解放するべきだと思うのであれば解放し、解放するべきではないと思うのであれば真言を破壊しこの地球から彼らと共に飛び出しなさい』
「…解放せず封印したなら彼らの世界は不毛の地となる…か……まぁもう少し先生たちとこの地球を巡ってみるよ」
『貴方が選ぶ選択に後悔がありませんように』
「はい」