封印された地球で
「……ここが封印された地球か」
「僕としても地球系列の世界を調べる上に最高の資料になりそうだ。…人が滅んだあとの地球を一度調べてみたかったんだよね」
「その前に殺られる覚悟はあるよね?」
「え」
聞き覚えのある声が響いた。そしてパルテルカの肩をガシッと力強く掴んだ者が…。
俺とパルテルカがゆっくりと振り向くとそこには能面のような表情をした先生が普段のラフな格好ではなく異世界を旅する格好をしてその場に立っていた。
ルウカ先生も動きやすそうな旅人の格好をしてナルコルさんと何かを話している。
「白虎、無事だね」
「うん」
「ナルコルさん、このバカ借りるよ」
既に先生は風属性の鎖でこうなった原因を作り上げた輩を縛り上げてた。
「少し手を抜いてくれると良いのだけれど」
「無理だな」
ルウカ先生も指をコキコキと鳴らして自主規制。
そして数分後。
「さて、これからどう別れて活動するか話そうか!」
パルテルカはスッキリとした表情でそういった。
さっきまで包帯ぐるぐる巻だったのに再生能力が半端ない。
「……僕とナルコルは西側を探索させてもらいないなー」
「ナルコルが手綱をちゃんと掴んどいてくれたらな」
「わかってます。【天災】をけしかけられるのは嫌なので」
「復活早いな」
「それでアナタたちはどうするの?」
「白虎をこの地でぶらぶら歩きさせて様子を見る」
「ナイトメアの迷宮の主さんからの手紙に書かれた内容通りなら特定の場所に行けばなにかしろ起きるだろうから」
話し合いはすぐに決した。ナルコルさんはパルテルカの首根っこを掴み空飛ぶ円盤に乗って調べに向かった。
「………先生から借りた刀と力を使わなかったから返すよ」
「いや、そのまま持ってなさい。その力を持ってればいきなり戦いなさいと言われても出来るから」
「ou…」
「まっ取り敢えずこの場から移動するか」
先頭には先生が俺は真ん中でルウカ先生が後方となった。
そして暫く歩くと見覚えないはずなのになぜか懐かしい感じがした。
「……ここの生態系はこれぞって感じか、鳥が多く肉食獣が居ないって面白いな。
地球を違う場所に移動させたせいなのか地球なのに大きな星がいくつも見える景色が不思議だな」
「陽の光も明るすぎないから他にも星が見えるよ」
先生たちは雑談しているが俺は小高い丘の一番高い場所まで辿り着きそこからの景色を見た。
するとズキッと頭に響くと景色が一変した。
目の前に広がるのは殺戮の景色。
無抵抗の人々が異世界の兵器によって蹂躙され、そこから逃げた人々に向けて異世界の生物を解き放っている異世界の兵士たちが見えた。
そしてこの地を守るはずの組織も蹂躙されている。
「貴様ら今すぐに助太刀に行くぞ」
「あぁ(あれ?勝手に返事してる)」
「もう【世界防衛部隊】でもだめか…ガキンチョの頃はのんきに異世界キター!って言えたのに侵略されこの地獄を見た日には無理だな」
「お前ら喋ってないで行くぞ」
「副長官すみませんっす!」
「そもそもなんでナンバー2が現場に来てるんですか」
「いい加減、表に出ないと体が鈍るからだ」
すると副長官と呼ばれた男が殿として先に小高い丘から飛び降りて先に行った。
残りの部隊の隊員もこの場から飛び降り侵略者と対峙をした場面で頭痛が終わると元の景色に戻った。
「白虎、大丈夫か!」
「ルウカ先生…なんかこの世界の過去に起きた事が見えた」
「……それでどのようなものを見たんだ?」
「市街地戦闘だね」
「サニカ、お前も見えたのか」
「見えたと言うよりもこの場の上空から見ていた感じだね。
そこから見えたのはこの地を攻めたのは2つの異世界だということだね」
「一度に2つの異世界が攻めてきたというのか?」
「魔法科学力が進んだ世界とこれぞファンタジーと言われるような世界の2つだね」
「持っと情報が欲しいが……先に進めばわかるだろう」
「白虎、歩けるかい?」
「頭痛がおさまったし痛くないから平気だ」
そこから道沿いを歩いているとさっきほどの頭痛か起きて映像を見ての繰り返しが起きたが休憩を挟みながらどんどん先に進んだ。
俺が観た映像は人や魔獣を斬って斬ってを繰り返し異界で作られた魔法兵器を数人で破壊する場面だけだった。
そして市街地戦闘が起きた場所から結構な距離を離れた場所に行くと先生と同じ現象が遂にルウカ先生にも起きた。
「!?」
「おや、私と白虎には現象が起きないがルウカに起きたみたいだね」
「うん」
ルウカ先生はぐぉおお…とかうぐっとか頭を両手で抱えて唸っている。
「どのような映像を見ているかねぇ」
「唸っているけど…」
俺と先生はうぉお…と唸っているルウカ先生を放置して広大な荒野に何かないか探った。
「んー…地下施設とかあるかなと思っていたが地殻変動やらで壊れてしまったかな?」
「地殻変動…」
「本来の地球の時間とは切り離されているからどんな感じに時が経つのかも調べられてないからねぇ」
「時間…先生、魔法を使って調べないのか?」
「使いたいんだけど…この地球は異世界の技術や魔法によって蹂躙され滅んだでしょ?この地球に残っている怨念と言えば良いのか魔法を使うとそういった念が悪さして良からぬ事が起きたりするから使わないんだよ…」
「そうなんだな」
「そうなんです」
「お前ら…オレを放置して散策とはいいご身分だな」
「お前なら何が起きても大丈夫だとわかっているから放置して先に何かこの辺にないか調べてたんだよ」
「それで何か見かけたか?」
「なんにも」
「ルウカ先生はそれで何を見たんだ?」
「……司令室のオペレーターと司令官がなんか話していたのを断片的な感じを見たな」
「何か意味でもあるのか?」
「さぁな…わからん」
俺はふと空を見上げると何かキラッと光る不穏な物を見た。
「先生、なんか空から嫌な感じがする」
「え」
先生とルウカ先生が俺のもとに来て空を見上げると空から何かが降ってきた。
「人型ロボットだ!オレたちが知っているロボットよりも旧式じゃないか!」
ルウカ先生が目を輝かせて降ってきた人型ロボットに近づくとそのロボットが持っていた剣をルウカ先生に向けて振りかぶった。
「おっと!」
ガキンとルウカ先生がアイテムボックスから鋼の剣を取り出し攻撃を防いだ。
「白虎も私が渡したその腰に掛けてる刀に手を置きなさい」
「もっもしかして戦えと?」
「大丈夫、刀を振るう技量も力も渡してるから負担も少なく体が勝手に動くから身を任せなさい…来るよ」
「ぇ」
それだけいうと先生は空から降ってきた人型ロボットに向けて向かっていった……ぶっとい本を片手に持って。
「えぇ!本を片手に持って向かったよ!」
先生はぶっとい本の角をロボットの頭に向けて俺の目で追えないスピードで背後を取り、ぶっとい本を振りかぶり攻撃しロボットの機能を停止させた。
※危ないから真似しないでください。
ルウカ先生の方は鋼の剣を使い体がどうなっているかとか部分破壊やら解体業者のように調べなが戦っている。
「このロボット脆くないか?」
「サニカが怪力なだけだろ」
「君をこの本の角でひっぱたこうか?」
「いらねぇよ、旧式だから古くなってるのだろう」
「だといいのだけどね」
「ひぃい!」
先生たちが一斉に俺の方を見たが大丈夫だろとすぐにまだまだ降ってきている人型ロボットの撃破に向かった。
先生に言われたように俺の体が勝手に刀を振るい先生が培ってきた動きが自動で動いている。
それでもどんだけの場数を踏んだらロボットの頭上をピョンピョンと跳ねたり、足だけを狙って斬ったり、高速移動が出来たり、スパッと一刀両断したりが出来るんだろうか。
昔、刀術を見せてと言っても先生が苦笑いして見せてくれなかった理由は先生の今の肉体に転生する前に使っていた技は今の体では負担が大きく使えないから封印しているようだ。
昼間からの戦いは夜明け近くまで続いたが終わりを告げかなり遅いが休むことにした。
「それにしてもフルーレと白虎以外の男はチェリー卒業しやがったからどうやってからかってやろうかな」
「色ごと突くの禁止令を島のルールに入れたのに手本となるはずの君が破るのやめてくれない?」
「それよりもなんでいかがわしい事をしてるとかしてないとか知ってるの…」
「それはね…※※※※※すると本人たちの魔力に少し変化が起きるんだよ。
ルウカはニヤニヤして近づいて茶化すから子供たちに嫌がられるんだよ」
この人さらっと表情一つ変えずに※※※※※って言ったぞ。
「うっせぇエロ男爵」
「私をエロ男爵と呼ぶならば、お前も保健体育の授業を教えるときに雄しべと雌しべになぞらえて教えるのをやめて生々しいちゃんとした性教育をしてくれるんか?」
「それは…」
ルウカ先生はプイッとそっぽを向いた…顔を赤くして。
精神年齢は先生よりも永く生きているのにいつまでピュアかお前は!と心の中で突っ込んでおく。
そんなこんなの話が始まったので長くなると言われ先生に先に寝るように言われ寝た。