そして……【封じられた地球】
【ミアプラキドゥス監獄】
《所長室》
「このバカ!なんてことをしたんだコラ!」
「仕方ないじゃん、ここにいてもつまらないし」
「人を巻き込んでんじゃねぇぞ!無理矢理つれきてどうしてくれるんだ!バカ!」
「そのことならコチラで世話をさせていただきます」
「ナルコル様、このバカは殺すべきです。この世から消えればこのバカに振り回される者がとても少なくなります」
凄い言われようである。
「確かにそうかも知れないけど、この人もやる時はやるのよね、1万年前にあった極悪人の脱獄犯を投獄してみせ、【境界兵団】も夫の事になると逃げるし」
「それはそれです。性格はナルコル様に、頭脳はこのバカのを受け継いだルファンナ様もいらっしゃいます」
「それでも駄目です」
「デスヨネ……それでは彼を頼みます。そしてこのバカはこのまま収監していてもよろしいのですか?」
「はい、構わいません…と言いたいけどこのまま引き取らせて。夫に責任を取らせるために白虎君を【大海と島々から連なる世界】に夫婦で無事に運ぶわ」
ジト目で俺はバカ王こと手を出しては行けないヤバい人のひとり【快楽主義の愉快犯パルテルカ】を見た。
「夫が申し訳ありませんでした」
「帰れるのか?ホントに」
「ちゃんと送らせていただくわ【※※※※※※※王国】の名にかけて」
「なんか聞こえなかった」
「ふふ…聞こえなかったらそれで良いのよ。そして国王がこうですから我々の世界に強者は来たがらないし。
おもちゃにされるから」
「でしょうね」
「我々の宇宙船パンデモニウムにお乗りくださいな」
「……(ネーミングセンスがヤバいな(笑)」
「ふふ宇宙海賊に襲われても大丈夫なように作りましたから」
「えっ」
もしかして…船を作ったのナルコルさんなのか?
「はい、わたしが作りましたよ」
「ネーミングセンスを笑ってスミマセンでした」
「いいのです。地球の日本では悪魔たちの巣窟という名前だから」
「でもまさにそれな気がします」
「夫に対してはそうでしょう」
「そうそう、僕の妻も【手を出しては行けないヤバい人】の一人だからね」
「……でしょうね。なんて言ったって貴方が選んだ人ですし」
「ふふふっそうなんです!」
「うわっ」
「夫であるパルテルカとの関係からー」
俺は宇宙船パンデモニウムの司令室に案内される3時間もの間にパルテルカについて奥さんにたくさんの話を聞かされ知りたくもない情報を知った。
どうやらこの二人は幼馴染みでナルコルさんの方から押せ押せだったみたいであるとは言っておく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【パンデモニウム船内】
《オペレーター室》
「デカいと思ったら6人乗りかい!」
「はい、6人乗りですよ」
「今は僕とナルコルと白虎君しか居ないから実質3人だ」
「運転に関しては夫にしっかりとやらせますので安心して客席にお座りください」
「今回はワームホール使うから早く帰れるよ」
俺は適当な椅子に座ってベルトをした。
「それじゃ出発するでやんす」
「語尾!」
宇宙船が動き出すと物凄いスピードでこの監獄から飛び出していった。
「まさかこんな形で宇宙旅行をすることになるなんて思わなかったな」
「そうですねー。地球と外の科学力は比べ物にはなりませんから」
「最初のワームホール行くよー」
時空の扉が開きビュンビュンと進んでいった。
「休憩する前には【大海と島々から連なる世界】に付くようにしておくから」
「当たり前です」
真っ暗な空間をぐんぐん進み1つ大きな星にたどり着いた。
【大海と島々から連なる世界】ってこんなに大きんだな。
「あれ?あの星って……」
「貴方、間違った道を進んでないですか?」
「そんなことしないよ。君に愛想つかされたくないもの」
「あの星に何か問題でも?」
「えぇ、問題有り有りよ」
「あの星は元地球さ」
「元地球って…」
「あの地球は数多の異世界の人間たちに侵略され破滅の道を辿った地球でね。
君が生まれた地球やその他の地球系列の世界に影響が出てしまうと異世界を旅した地球系列の賢者や魔法使いによって分岐点をも切り離され異空に封印された【封じられた地球】さ」
「星を封鎖した時空に閉じ込めたはずなのにどうして…」
俺はその星を見たが地球と違いほぼ緑も水もない火星のような感じである。
だけど、どこか懐かしい感じがする。
「この【封じられた地球】にはわたしたち永い時を生きている者であろうと安易に近づいては行けない地球なのですが…どうなのですか?この場から移動できそうですか?」
「この宇宙船壊れてないのに動かないよ」
「さて、どうしたものかしらね」
するとピピピッと連絡が入った。
「「!?」」
「……ここでは通信装置なんて入らないはずなのに」
「どうする繋げる?」
「もし繋げたら確実にヤバいことに巻き込まれるのは確かだろうね…好奇心旺盛だと自覚してるけど下手に取りたくない」
一旦、無視した。
「こうなったら【エマージェンシーコール】ね」
「それしかないかー」
ナルコルさんが【エマージェンシーコール】と唱えるといくつものディスプレイ映像が現れた。
そこに映し出されているのを見て俺は鳥肌がたった。
オーラがまじでヤバい人だっ。
『ナルコル、お前がエマージェンシーコールを使うとはどうしたんだ?』
「実はカクカクシカジカでして」
『ほう、そういうことか。二日前に起きた【境界兵団】の襲撃があったと思ったらそんなことになってたか』
『それでナルコルはどうしたいの?帰りたいなら力を合わせて帰還させるけど?』
「いえ、どうもあの地球に呼ばれているようなのです。
我々の魔力を使っても帰還が不可能なので」
『そういえば【叡誓の忍】が準備してから【封じられた地球】に向かいたいと申し込んできていたな』
叡誓の忍?
『とういうことは特異点が目覚めたみたいだね』
『【叡誓の忍】と【叡悠の賢者】は【封じられた地球】に強制連行だな見届人として。
襲撃が終わったし、ひとまず落ち着いてるだろうから』
『取り敢えずどうしょうもないから今回限りは特別に許可を俺たちが取ってきてやるから上陸が出来るなら上陸しろ。
上陸したならそのまま二人を強制連行させるから』
「アイアイサー」
通信が切れヤバい地球に上陸することになったようである。
特異点ってもしかして俺か?
「白虎君は【叡誓の忍】から扱う力と刀を渡されてるか大丈夫よね?」
「その【叡誓の忍】って先生の事か」
「あら?聞いてなかったの?」
「通り名で呼び合うの見たことなくって」
「あのふたりは気が向くとふらりと異界を旅するくらいで基本は引きこもってるからねぇ。
鎖国してないで開いてくれれば遊びに行けるんだけど」
「へぇ…(そっか、あのふたりも元勇者で異世界を好き勝手に移動できる強者なんだよな)」
「わたしとしては二人にはこのまま【歩く天災】を封じ込めてて貰いたいですね」
ラブさん…アナタは一体、ホントに昔なにをしたんですか?
そう思っているとガタンと宇宙船が動き出した。
「…あっ動いた【封じられた地球】に座標を入れ直したら」
「あらホントね」
「どれくらいの期間封印さているのだろう…」
「わたしたちが生まれたときには既に封印されてたわ」
「数十万年レベルだと思う。【封じられた世界】って目の前の地球も然り結構な数あるし」
「へぇ」
【大気圏突入します、衝撃にご注意してください】
数分もしないうちに【封じられた地球】に上陸した。