空からの襲撃、そして観察して見よう!
「サニカ先生、その星渡りの星間獣ってとてつもない程の巨体なのですか?」
「うん、とてつもない程デカいけどどうかしー……」
先生が急に黙り窓を見た。
俺たちも窓の外を見るとそこにはとんでもないのが上空に写り込んでいた。
「ひッ!何なんダ!あの巨大な怪物ハ!」
「デカすぎるだろぉ!あれ!」
「なんか見られてない?」
上空から巨大な目玉がキョロキョロと動きこの世界を見ている様子を伺える。
「俺が想像してたのとなんか違うっ!」
「姿形が歪に見えますがどこから神秘的な物を感じます」
俺たちが星間獣を見ているとどこからかともなく上空から無数の何かが降り注いだ。
「なっ何だあれ!」
「星間獣の腕だね」
上空からどんどん迫りくる星間獣の腕は【境界兵団】の数多の戦艦を破壊しながらこちらに向かってきていた。
上空に浮かびこちらを包囲していた兵団の兵士たちを払い除けながら島に張られている結界を壊し巨大な手と思わしき物が宿屋を掴もうとしたしたが宿屋の不思議な力に弾かれた。
「弾いたね」
「そっすね」
「星間獣って面白いですね…竜の鱗に包まれていると思ったら魔獣のような部分もありましたし。
星間獣を研究しているかたも居るのでしょうか?」
「いないよ、私たちですら避けてるくらいのだし。研究するにも自身が星間獣と戦えるくらい強くなきゃ無理だから」
「そうなんですね」
「あっ宿屋を掴めなかったからってクレイバール島を掴んだ」
ズゴゴゴゴゴゴ…と雰囲気を醸し出している腕が
上空に引いたと思ったらクレイバール島を掴んだのだが。
「………島浮かばないネ」
「このクレイバール島がこの世界の要だからだね。持ち上げられたとしても世界は壊れることないから大丈夫さ」
星間獣の腕の様子を見ていてるとフンッと力を入れたりしているのがよくわかる。
腕をよく見るとぷるぷると力を入れすぎて振るえている。
その行動を何回か起こしたが懲りずにやっているし上空にある表情は変わってないのが余計になんかこう…な。
そしてカチカチと5時間がすぎた頃にようやく腕を島から外し上空に戻っていったと思ったら今度は星間獣が痺れを切らしたのか星ごと噛み砕くことに決めたようだ。
「星間獣って龍と魔獣がミックスした感じなんですね。この宿屋に居るからこそ観察できます」
「ヒィィ!星の海に居るはずの星間獣の口がガバッと開いたヨ!」
「うわぁ……牙が口の奥まであって怖いな」
「ラブ先生、どうにかしてくださいよ」
「それは無理な話よ〜」とラブナシカさんが言った瞬間にガブッと星ごと噛みつかれた。
宿の周りにあった家が粉々に砕けた瞬間を見てさらにはこの宿屋を囲んでいた兵士たちが消えたと思ったら血がそこら辺に血が飛び散った。
「はふんっ」
「あっ隆太郎が倒れたぞ」
「唯糸はこういうのを見ても?」
「オイラは大丈夫だぞ。スプラッター映画は大好物だから」
「へぇ…あっ歯が折れてる」
宿屋ごと噛み付いたのが運の尽きなのか星間獣の巨大な牙が折れて口から青い血が流れていた。
「もぐもぐタイムしてるけど建物が揺れるとかないな」
「これも数時間タイムか…」
「いえ、そうでもなさそうです」
星間獣は牙を擦り合わせていたのをやめて口を離した。
この星全体が真っ暗闇に包まれていた感覚があったが星間獣の口がこの世界の外に戻ると光が刺してきた。
そして一斉に上空を見ると星間獣がスンっとした表情をしてこの世界から離れていった。
「……サニカ先生、世界が一変してます…」
「この島は形こそは崩れなかったけど星間獣の血で一色に染まったね。それに海やクレイバール島の周辺の島は崩れたりして景観が変わってそうだね…これはまた世界地図を1から作り直さないと」
「火天の宿屋の方は大丈夫かな?」
「大丈夫、この宿屋と同じく壊せないから」
「星間獣の牙や血を調べたいですね…」
キユクが外に出ようとしたが出られなくなっていた。
「サニカ先生、ドアが開きまー」
キユクが宿屋のドアを開けようとしていたが次の瞬間、宿屋がとても大きく揺れ先生以外は体勢を崩した。
「痛っ!」
俺は後ろ向きに叩きつけられたが他の皆は上手く受け身を取ったようである。
「白虎、大丈夫カ?」
「すまない、ラタム」
「一応このまま動くことなく過ごしてネ。軽い脳震盪起こしてるかもだかラ」
「わかった」
ソファーに寝転されたがここからでも窓の外がよく見える。
強い衝撃を受けた理由は星間獣の尻尾らしき部分がこの世界に叩きつけられたからだとわかる。
巨大な尻尾が無敵の宿屋に弾かれて切れてもなおビクンビクンと跳ねてドシンドシンと地面を揺らしている。
「消えたと思ったら尻尾攻撃ですか」
「切れてもなおの生命力と衝撃がやばいな」
「ビクンビクンしてるし」
「どうする?火天の宿屋に行きたい?」
「えっ行けるの?」
「行けるよ。系列の宿屋だから」
「それなら火天の宿屋の方に行きたいな」
「それじゃ繋げちゃうか」
宿屋のメインのドアの鍵穴に先生が念じで現れた光る鍵を差し込みガチャと音がなってドアを開くとそこは火天の宿屋のエントランスに繋がった。
「うわ…ホントに繋がった」
無敵の宿屋の方の玄関のドアを先生が開いたが火天の宿屋の方の玄関のドアにルウカ先生がのしかかっていた。
「サニカ、今すぐにドアを閉めろ」
何やら火天の宿屋の方では何かが起きたようである。
先生は瞬時にドアを閉め鍵をガチャリと閉めた。
「何が…あったんだ」
「……水鏡で何があったか覗こうか」
すると先生は無敵の宿屋にある混浴風呂に皆を集めた。
【無敵の宿屋】
《混浴風呂》
「今から【水鏡の映しみの術】を使うから皆、風呂場の中に入って手を繋いで円を作るよ」
先生が【水鏡よ、その美しき水面に真実とともに我が血族の状況を映し給え】と言うと火天の宿屋のエントランスの天井からの景色が鮮明に映り15名で作る水鏡はとても大きくよく見える。
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【火天の宿屋】
《エントランスラウンジ(暖炉がある方)》
そこに映るのはきらびやかな雰囲気を醸し出すこれぞ理想の王子様の様な人であった見た目は。
ソレを見るなり先生とラブナシカさんが声を揃えて言った。
「「お前が来てたのか」」と。
すると呼ばれた人物は火天の宿屋の天井を見上げて笑いこういった。
『助っ人に来た相手にそんなことを言うなんて…』
「えっ……反応してる」
「お前の様な快楽主義の愉快犯に助けてもらいたいと思ったことは一度もない」
『そんなことを言うなんて酷いじゃないか』
「どの口が言うよっ!あんたの快楽主義の実験に巻き込んだ事を忘れたとは言わせないわよ!」
『え?何をしたって?』
「こっコイツっ」
ラブナシカさんが拳を強く握りわなわなしている。
「それともう一つ、星間獣が来たのに関わってないよね?」
『えっ?何のこと?』
「コイツ、絶対に星間獣に襲われても大丈夫な世界であるってどこかで知って試しに来たわよ」
『ソンナコトナイヨー』
「絶対にそうよ!だってナルコルちゃんが居ないもの!」
「うちの子たちに手を出したなら【強制連行の行使】使うよ?ホントのこと言えや」
『まぁ確かに…僕が暮らす世界でも【境界兵団】が厄介になってたし、兵団の中にいる強者が星間獣を狩れるのかをちょうど試すのに良かったかなって』
「アンタって…」
『大丈夫、大丈夫。君たちが守っている子供は外には出してないからさ。そこまで鬼畜じゃないよ僕は』
「当たり前じゃ」
『でも一石二鳥だったでしょ?もう【境界兵団】はこの世界から消えたんだし』
「あの星間獣はどうするのよ?」
『…………さぁ?自然と居なくなるんじゃないかい?居なくなるまで観察しようじゃないか』
「論外だよ。ナルコルさん呼ぶからね?」
『くっ!こうなったらっ!』
すると水鏡から手が出た。
「えっ!てっ手が!」
「コレが術式を無視しできるヤバい人たちの行使かヨ!」
「先せー」
その手はなんと俺の腕を掴み引きずり込もうとしたが先生が俺の手を掴んだ。
「白虎に私の刀術をそのまま使えるように刀と力を託す!」
俺はギリギリまで先生に掴まれていたが何かを受け取ると俺の体が時空の裂け目によって裂ける前に手を離したようである。そして火天の宿屋に連れ去られていた。
「いらっしゃ~い」
「え」
「僕と一緒に行こうか!筋肉たちの楽園へ!」
「絶対に行きたくねぇ!」
そして次の瞬間、快楽主義の愉快犯と共に転移した。