衝撃な事が判明した
いつの間にか次の日になっていたらしくいつの間にか俺が普段使っている部屋に寝かされているようである。
まだ目を開けていないからわからないが。
ならなぜ目を開けないかというと…俺は現在進行系で半胎児型の寝方をしているのだが俺の横腹に違和感があって起きれないのである。
どうやら俺にのしかかっているのは女性で胸の大きさから先生ではないことは確定しているんだがな。
こんなことをしてくるのは唯糸か?でも中学校に入ってからはしてこなくなったけど……先生と違い俺にのしかかっているのは慎みやかな胸の持ち主の様である…そこまで成長しなかったんだな……痛っ。
なんか腹の肉を抓ってきた。
俺に乗っている者よ、起きてるなら起き上がってくれそしてなぜ俺の部屋にいるのか説明を願おうか。
今すぐ退くなら聞かないでそっとしておくが?
すると起き上がり俺の部屋から出ていったみたいだ。
少ししてから起き上がり準備してから火天の宿屋の東側のリビングに向かった。
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【火天の宿屋】
《エントランスラウンジ(囲炉裏がある方)》
「おはよう。白虎」
「…おはよう先生。あれ?起きてきたの俺だけか?」
「ううん。先に起きてきたルウカと仙人は朝ごはんを食べながら外にいる方々を煽りに行ったよ。
隆太郎と唯糸は仙人が深夜の時間帯には元に戻した家族の元にいてキユクは宿屋にある温室で植物たちの世話をしてるよ」
そうか、唯糸や隆太郎の家族は元に戻れたのか…良かったな…ふたりとも。
ルウカ先生たちが気になった俺は宿屋の窓から外の様子を見ると、この宿屋を欲しがっている輩を煽っているルウカ先生と仙人さんがロボットに向けて宙にうかびながら生身で煽っているのであろうか。
ロボットはガシャンガシャンと動いていて宿屋に足をぶつけて些細なダメージを受けているがこの宿屋にはダメージが入ってない。
「先生、あの二人はどんなことを言って煽ってるんだ?」
「鈍いとか鉄くずとか………後はピチピチモッコリボディスーツ(笑)とか言って搭乗者を煽ってる」
「完全にディスってる。それでどうするんだ?これから…」
「唯糸や隆太郎たちの家族次第だろうね。受け入れ先はもう既に複数あるから大丈夫だけどもね」
「先生、それと俺の両親と姉と祖母は?」
「もう既に春兎と美鶴は出会った地球に渡ったよ。蜜花は藍海たちと技術力の高い地球に行って亀稲は夫の冬嬉吉の眠る地球に行った」
「一家離散してんじゃねえか」
「なかなか意見が纏まらなかったからそれぞれ好きな方へ行かね?ってなったって」
「俺は放置かよ!」
「白虎は既に成人の年齢だったから好きにしろってさ」
「父さん…えぇ」
「でも、孫が生まれたら直接見たいからクレイバール島に居ろってさ」
「俺の場合は指定されてんじゃねえか…拒否権がなくない?」
「うん。好きにしろって言った割には拒否権がないね」
「でもクレイバール島に長く住みたいって思ってたから別に良いけどさ…」
「そうか…ゆっくりしてなさい。明日帰ることになるだろうから」
それだけ言うと先生は俺の座っている場所のテーブルにフランスパンで作ったサンドイッチと紅茶を置いて食堂の方に入っていった。
そして俺は部屋から持ってきた5冊のうちの1つを読んでいるとキユクが温室から出てきていつの間にか俺の隣に座り俺が持ってきた本を手に取り読み出した。
そして俺は窓をちらりと見ると相変わらず仙人さんとルウカ先生は人差し指でロボットを指差しゲラゲラと笑い何か言って煽っている。
そしてロボットのエネルギー源が尽きたのかロボットは動かなくなり搭乗者がぞろぞろと出てきて今度はビーム銃を使って二人を攻撃しだした……相当お怒りのようで搭乗者をよく見るとロボットアニメのスーツと違って確かにかなりピチピチしててある部分がかなりモッコリしてるのがくっきりしているボディスーツである。
そんなことが午後3時になるまで続き隆太郎や唯糸、そしてその両親だけが部屋から出てきた。
俺が知っている隆太郎と唯糸の両親と少し変わっていて顔色が悪い包帯で巻かれている。
「おや、起きてこられるようになったみたいで」
「澄谷さん……お世話になったようで」
「囲炉裏がある方は居るから…ソファーが沢山置いてある西側の方のリビングで座っていてくれますか?」
「はい」
唯糸や隆太郎が身体を支え西側のリビングのソファーに腰を掛けた様だ。
弟君や妹さんは出てこないって事は休んでいるのか?
…先生はそそくさと飲み物やケーキを用意して隆太郎たちの元に向かって話し合いを始めた。
俺たちに関してはまだまだゆっくりしなさいと俺とキユクの元にもケーキと紅茶が用意してからだけど。
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【火天の宿屋】
《エントランスラウンジ(暖炉がある方)》
「それで、良く話し合えたましたか?」
「はい……仙人さんとやらから説明がありましたが…我々ははこのまま澄谷さんたちが暮らす世界に渡りたいと思います。
もし隆太郎がその世界から出たいと言ったならば力を貸してください」
「わかりました。それで善和家は?」
「我々も同じです。こうして少しでも生きている間に…唯糸の為にやるべきことは全部やって起きたいので」
「わかりました。住める家は沢山あるので好きな家を選んでください。我々が住む世界に行けば多少は体が楽になるでしょうから」
「はい」
「それから…」
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【火天の宿屋】
《エントランスラウンジ(囲炉裏がある方)》
「というわけだから白虎、キユクさん。よろしくだぞ…」
「はい」
隆太郎も唯糸も話し合いが終わったがテンションがかなり低いのである。
普段のおちゃらけた感がない。
「………町がなくなっとるやないかい。大切なものが無くなるのって一瞬だな」
「俺もこの地球に戻ってきて驚いたよ。一日二日向こうに居ただけでこうだからな」
次の瞬間、ドッカーンと外から物凄い音が響いた。
この場にいた俺とキユクと隆太郎と唯糸で窓側を見るといつの間にかピチピチボディスーツ集団とロボットが居なくなっていて上空の戦艦がビーム砲やらを撃ち始めた様だ。
「音を遮断しますか?」
「しなくて良いぞ。ホントにこの宿屋ヤバいぞ」
「これ食らっても壊れないんかよ。てか跳ね返してるし」
そう、隆太郎が言った様にビーム砲を跳ね返し戦艦に倍返しで戻っていって戦艦のバリア機能を破壊して当たり、その戦艦から煙が出ている。
「いい気味だぞ」
「そうだな唯糸」
その様子を見て隆太郎と唯糸から黒いオーラが出てウヒヒヒッと薄ら笑っている。
ルウカ先生と仙人はいつの間にか消えていた。
どこに行ったんだろうか…。
先生の方を向くと何か隆太郎たちのそれぞれの親と何かを話しているようだが盗み聞きするのは流石にな。
「そういえば糸央と璃那はどうしたんだ?唯糸、隆太郎」
「………そのことなんだがな」
「弟や璃那ちゃんは父さんたちをあんなふうにしておいらたちを襲ってきた集団に連れ去られた可能性があるらしいぞ」
「えっ」
「澄谷さんがそう言ってた。今、この宿の外にいる輩がそうなんだと、なんか見たことあるシンボルマークだなと思っていたら【境界兵団】と呼ばれている境界を越えたならず者の集まりのシンボルマークだそうだ…」
俺は内容が衝撃だったのか何を言おうとしたか忘れてしまった。
「多分だけどもう既にアイツらが居住にしている世界に弟たちは連れ去られているとも言ってたぞ」
「それは…」
「キユクさん、俺たちに気を使わなくて良いっすよ。【境界兵団】は澄谷さんたちですら相手にしたくない、関わり合いたくない、手を焼く(殺さない程度に〆るのに)の三拍子揃う集団だそうだ」
「…………」
「もう、オイラたちが生きている時には弟や璃那ちゃんには会えないとそうハッキリと澄谷さんに言われたぞ。
でも弟や璃那ちゃんは奴隷のような扱いは受けずに【ブラッドザパティグリ】として扱いを受けるだろうとも」
【ブラッドザパティグリ】ってなんだろう?と思っていたらキユクがはなしてくれた。
「【ブラッドザパティグリ】とは希少な血統を持っている保護されるべし者と呼ばれている者のことを言います。
そして【血統を守る】と言われている通り、その遺伝子を持つ者から生まれる子供はとても強く他種族の者と結ばれようともその種族の特徴が強く現れると言われています」
それが隆太郎や唯糸以上だったと言うことなのか?
「…ここからは僕の予測ですが、怪物に変貌させられていた唯糸さんや隆太郎さんたちと違い実験をして連れ去られたふたりは血脈を受け継いでいた種族の姿となったのでしょう」
「……助けに行きたいと直談判したら実の妹に殺される覚悟があるならばと。でもわざわざ殺させにも行かせないともな」
「……」
「【ブラッドザパティグリ】は白虎の近くに実は居ます」
「「「えっ」」」
俺たちはキユクを一斉に見た。
「僕やシェルフィー…いいえ、クレイバール島の全原住民たちは全員【ブラッドザパティグリ】です」
「え」
「ミックスブラッドと言っていますがサニカ先生たちが僕たちを守るためにそう言っているだけなんですよね。
白虎も【ブラッドザパティグリ】ですから。白虎は天使の血筋で僕たちよりも希少ですからね?」
その場の空気が凍った。
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【火天の宿屋の周辺】
《とある某所》
「さてと、話を聞かせてもらおうか…自害は出来ないようにしといたから何しても無駄だからな?」
「さて、【特別な地球】の皆様。どうしてこんな非人道的な事を行ったのか聞かせてもらいたいな〜…犠牲者は0だけど」
「……………………………」
「千太郎もだ。どうしたんだ?何があった」
「……………………………」
「黙りかよ」
「無理やり口を割らせても良いけどさ、なんか嫌だよね」
「あぁ、オレらはそこまでやり合うつもりは無いからな」
それから何分経っても誰も喋らなかった。
「んー…どうしたものか」
ルウカと仙人がふと気を抜いた瞬間にタンっと発砲音がしたがその玉をルウカは光の剣で叩き斬ってみせた。
「どれだけバケモンなのよ」
そこに現れたのは特殊部隊の格好をしライフルを持っている美鈴であった。
「…………そういう事か。随分と手の込んだ事をしたもんだな」
「えっ、なんで悠珂はわかったの?理解するの早くない?」
「お前ら【境界兵団】だろ?」
ルウカの口から発せられた言葉を聞いて美鈴は「御名答」と言って仙人は物凄く嫌そうな表情をした。
「手間隙かけて来たというのに…あの至楽って言うトカゲのハーフに感づかれるなんて思わなかったわ。
子供のうちから近づいて取り込もうとしたのに失敗したわ」
「この態度だとすればコイツは…オレたちと同じか」
ルウカは美鈴の一瞬のすきを突いて千太郎に向けて瞬時に光の剣を使い斬り裂いた。
すると見る見る間に千太郎ではない全く知らない人になっていた。
「本物はどこに行った?」
「あの老害なら老害の母親ごと消してあげたわ」
「それが身内に対して言うことか?」
「だってそんなことはさせないのって邪魔するんですもの。それに長生き出来たんだから良いじゃない」
「うわ〜……コレが噂に聞いてた【境界兵団】のバトルジャンキーどもか〜。やること成すことやばいなー」
「あの宿屋に関しては本当に便利よね。本当なら」
「お前らのような輩には渡らないようになっているから使えなくなっていることに納得だ……だとすると嫌なことになりそうだなぁ…」
ルウカは場合によっては古き友人たちの子孫を手に掛けないと行けなくなるのかと思った。
「世代が変わればまた違ってくるんだろうね。不変であり続けられるのは極一部なんだろうさ」
背後から現れたサニカが所持している【四季・永劫回帰】を鞘から抜いた状態で持っていることに驚いた……そして血で刃が濡れていることにも。
「あら?サニカさんじゃない」
「ほら、最後の手土産げだ、受け取りなさい」
サニカが左手で持っていた物を美鈴に向けて投げ生暖かい何かを受け取ってすぐに悲鳴が出て手放した。
「ヒィッ!!」
「サニカ……お前」
「ルウカ。その目の前にいる者たちはただの侵略者だよ。力試しだと言って沢山の命を奪う輩さ。
美鈴がその輩のお仲間だとはね」
「ひいっ!片腕!」
「【境界越えの指名手配書】が更新され載ってたのを見て驚いたよ、見かけたら生死を問わないとも。
すきを突いたつもりだったんだけど紙に書かれた人物には逃げられたよ」
サニカが持っていた複数の手配書にはかなり昔に親しかった者の子孫の名が書かれていた。
「だよな。そこん所をちゃんとしないと、中途半端だと島の…オレたちが今守るべき命が失われるな」
ルウカか向き合った瞬間にタイミングを計らった上司らしき人物がどことなく現れた。
「おやおや、部下が勝手して申し訳ない。アナタ方とは今はやり合うつもりはないから片腕で済ましていただきたい」
「隊長!」
「美鈴、下手をこいたな?お前が仕掛けた事でそこの強者を通じて他の世界の強者たちの懐に忍び込ませていた者が特定され全て台無しになった」
「!!」
「お前ならもっと上手くやってくれたと思ったんだがな」
「……待っ」
「沙汰は追って知らせる、今すぐに戻れ」
それだけ言うと美鈴はどこかに飛ばされたのか消えた。
「では御機嫌よう。地球出身の強者たち」
「二度と面を見せんじゃねえ」
幹部クラスが消えた瞬間に上空にあったはずの戦艦も消え去った。
「美鈴のことは少し落ち着いたら話そう」
「それが良いかもしれんな」
「…ぼくの方も警戒しないとだねぇ…このことは他の地球出身の元勇者たちにも共有しよう。あと【時空維持】にも」
やれやれと地球出身の強者と呼ばれた3人は心の中でため息をした。