異世界の生物の血脈
【朽ちた町中】
「先生、さっきのはどういうことだ?」
「もっと落ち着いた所で話したかったけどいいか。
…唯糸と隆太郎の両親と弟と妹は一応無事だ」
「一応ってことは無事だけど何かあるみたいだな」
「でも…良かったぞ」
「それで美鈴は?」
「美鈴とその家族はキユクと千太郎によって保護されてオレたちが向かっている場所に居る」
「そうですか」
車内がホッとした雰囲気に包まれた。
「サニカは唯糸たちに付いている物を外すための物を探させてるし少ししたら元に戻れるだろう」
「………ルウカ先生、この場に来た地球に戻るのか?」
「いや、戻らんぞ。この場所から直接だが異界の地球に向かいたいと思っているが何か忘れ物があるようならオレかサニカで取ってこよう。
サニカたちが作った町はもう既にないと思え」
町がないってどういうえっ、急に事が起きすぎてわけがわからない。
「街がないってどういうことだぞ」
「まんまの意味だ、サニカたちが秘匿してきた町を誰かが特殊部隊使って襲った」
「えっ」
「まぁ無駄だったがな」
「「えっ」」
「サニカが仕込んでおいた魔法陣が発動して火天の宿屋に町の住人が強制的に移動させられ人的被害は0だ」
「………」
「今頃、襲った輩は焦っているだろうな」
ルウカ先生はくっくくと笑っている。
「どんな兵器を使おうが【火天の宿屋】だけはポツンと残り壊れないんだからな」
「あの宿屋ってなんなんだ…」
「普通の建物ではない事は確かだな。今はその火天の宿屋から前もって要請していた受け入れ先の異界の地球や異世界に向かっている」
「何が起きたの…元の地球では」
「今言えるのは人間の欲望って凄いなって事だ」
「……俺たちが暮らしていた町だけが狙われたんか?」
「あぁ、お前たちが暮らしていた町が狙われたんだ。コレからどうするかはお前らの家族と再会して話し合といい」
ルウカ先生はスピードを上げて色んな種類の何かにぶつかりながら車を進め目的地に着いた。
【朽ちた何かの建物】
《エントランス》
「おかえりなさい、ルウカ先生」
「おう、留守を頼んで悪かっ……千太郎、お前なー」
「フガフゴフガ」
亀甲縛りをされた金髪のハーフエルフがエントランスの中心に転がされていた。
「余りにもナンパがしつこかったので縛り上げました」
「お前と言うやつは…懲りねぇなー…」
「「美鈴!」」
頭部が花の奴と蜘蛛の頭部なのが美鈴らしき怪物の側に駆け寄った。
「隆太郎さん、唯糸さんどうしたんですかその頭部…」
「白虎が俺たちを人間に戻そうとしたらこうなったんだ」
「中途半端な感じになったぞ」
キユクは隆太郎と唯糸に対して失礼だな〜と思ったがルウカが良くふたりを見て笑わなかったな〜とも思った。
「それで隆太郎たちの家族はどこなんだ?」
「その場には僕が案内します。唯糸さん、隆太郎さん着いてきてください」
「白虎、ルウカさん。美鈴と千太郎さんを頼んだ」
「ああ」
ふたりはキユクに案内されそれぞれの家族の元に向かった。
「千太郎の紐を解くか」
ルウカ先生が千太郎さんの側に向かい紐を解くと千太郎さんは体を動かした。
「相変わらずお前らの所の子供たちは容赦ねぇな」
「当たり前だろ、お前みたいな痛いやつを締め上げるくらいはするように仕込んでるからな」
「…さて、この地球は封鎖だな」
「封鎖?」
「あぁ、この地球に来たければ自己責任でしか行けなくなると言うことだ」
父さんたちは大丈夫だろうか……。
「お前の家族は大丈夫だろう。この地球に来たときに家族と会えたか?」
「そういえば…連絡しても電話が繋がるくらいで会えなかったな、なんかゴタゴタしてるって言ってて会えなかった」
「この世界の繋がりを切っていたから勘弁してやりなよ」
いつの間にか先生がごっつい何かを持って戻ってきた。
「おう!サニカちゃん久し振りだな!」
「千太郎さんか…久し振り。元気そうで何よりだよ」
「この感じ…変わらんな」
「えぇ」
「サニカ、それが元に戻すための物か?」
「うん、コレで戻れなかったら【明けの仙人】に連絡かな。こういうのとか解くの好きだから」
「既に連絡済みか」
「この地球を覗いているんじゃない?アイツ野次馬だし」
「だな」
このタイミングで奥の部屋から「キャァアア」と隆太郎の悲鳴が聞こえたと思ったら扉が開き頭部が巨大な花状態の隆太郎が腰が引けながら飛び出してきた!
「!?」
「ぶほっ!」
頭部が巨大な花の隆太郎を見た先生とが驚きルウカ先生は遂に抑えていたのが出た。
「隆太郎だよね…?」
「あっ澄谷さん…」
「……親父たちはアレで生きてるんですか?」
「生きてるよ。ただホントに生きている状態で隆太郎が見た状態から良くなるかはわからない」
すると唯糸も出てきた。
「………どうしてこうなったんだぞ……」
「その所々の血はどうしたんだ?それにキユクは?」
「幼馴染みヨリモアノコノコト何だネェ?」
怪しい雰囲気を出していたがキユクがこの建物の二階から格好良く降りてきた。
「僕は無事ですよ」
「無事だってことは何かあったんか?」
「それぞれのご両親の元に向かい合って直ぐに唯糸さんが急にそのへんに転がされていた怪物を食べだしたので隆太郎さんが悲鳴を上げて逃げたんです」
「あんなの見れば腰が引けながらであろうと逃げるわ!」
「唯糸の先祖をたとれば知恵のある魔物だから両親を見て情緒不安定になって魔物としての本能が勝ったんだろう」
千太郎さんがケロッとそう言い放った。
「えっ!」
「隆太郎は人型だから暴走はしないがな。どうすんだ?ふたりとも。本物の魔物になりかけてんぞー」
「ここは私が」
先生が唯糸の前に立つと風の鎖を作り唯糸に向けて投げ絡ませたが唯糸はその鎖を壊した。
「これだけではやはり駄目か」
唯糸が糸を口から吐き出したが先生が今度は火の鎖をその場で瞬時に作り唯糸に向けて投げ吐き出された糸を燃やし唯糸の身体を貫き壁に鎖の先が刺さり唯糸はぶらーんと吊らされた。
「先生!」
「燃えないし熱くしてないから大丈夫」
「相変わらず凄えな。コレが鍛えに鍛えた強者か」
「世界と世界の壁を超えられるから千太郎も充分だがな」
「澄谷さん、唯糸の奴は大丈夫なんですか?」
「問題ないよ人間としての理性を取り戻させるのと先に元の姿に戻しちゃうから」
先生はごっつい何かの機械をガチャガチャと動かすと何かの光線が発せられ唯糸に当たると元の姿に戻っていった。
すると何故か唯糸の足元に唯糸が食ったであろう怪物が転がされている。
「怪物を食った事もなかったことに出来て良かった。あと気味が悪いもんね共食いしたなんて」
「「「え”」」」
千太郎さんも俺と隆太郎と同じ反応をした。
「そこに転がされているのは元人間だよ。多分だけど白虎たちと同じように不思議な出来事に巻き込まれて白虎たちとは違い正解を導けずバットエンドを向かえた人間のなれ果てたのがそこの怪物の正体だろうさ」
先生はとんでもないことを言い放った。
「だとすればそこの機械で元に戻せるんじゃないか?」
「元に戻した本人に取ってはとても酷なことだけど。場合によっては親族も誰も知り合いが居ない世界にたった一人で放り出されるんだから」
「うっ」
「でも白虎が言うことに一理はあるがな」
「確かに」
「それよりも俺も元に戻してくれない?」
「それじゃ機械の前に来てくれる?」
隆太郎は何かの機械のの前に立つと先生は機械を操作して隆太郎に向けて光線を当てた。
すると隆太郎も元の姿に戻れた。
「良かった〜戻れたわ。コレがあれば両親も戻せるんじゃないか?」
「隆太郎、この状況だとフラグにしかならないっ!」
「えっ?」
隆太郎たちが戻ってきた扉からヤバいものが現れた。
それは………キメラのように体がくっつけられているとわかる隆太郎の家族と唯糸の家族が這いずる感じで現れた。




