例の施設
【例の施設】
《出入り口…前》
「また来ちゃったよ」
「また来ちゃったな」
エントランスの出入り口をよく見ると何者かに破壊されていた。
「数時間で何があったんだ…」
「もしかしたらサニカかキユクが入ったのか?でもオレたちは普通に入れたよな?」
「うん、普通に入れたよ」
前に来たよりも怪しい雰囲気を醸し出していた。そして中から悲鳴が聞こえた。
「この声は唯糸だ!」
「やっぱりこの施設の中に居たか!行くぞ!」
俺とルウカ先生は一斉に走り出し施設の中に入った。
ルウカ先生が先頭を走り扉をドロップキックして壊しまくり悲鳴が聞こえた方に一直線に向かった。
そこは手術室のような場所で唯糸はボロボロ状態でも逃げようと抵抗していた。
「唯糸!」
「!」
「白虎!スライディングして足を狙え!足を!」
俺はルウカ先生に言われた通りにスライディングタックルして俺たちを襲った怪物に似ている奴に仕掛けた。
そいつは「ヴゔっ!」と発してその場で俺や唯糸とは別の所に倒れ込んだ。
「白虎!たっ助けに来てくれたの?」
「それでおばさん達は?」
「………事情を知ってるの?」
「あぁ」
「母ちゃんたちは…」
俺が唯糸に向けて手を差し出した所に「白虎!手を差し出すな!ソイツは唯糸ちゃんとやらに化けた怪物だっ!喰われるぞ!」ともうひとりのルウカ先生がやって来たのだった。
俺はえっとなり咄嗟に手を引き一歩下った。
「白虎?どうして避けるの?」
「……………」
「ねぇ…どうして?どうしてどうしししし!」
唯糸だったと思ったら顔が歪みパラパラと顔が崩れた。
そして俺の背後ではルウカ先生が偽ルウカ先生に対して光を纏ったクナイを投げたりしていた。
「サニカは今、白虎の幼馴染みの男子を保護して結界の中で待っている!白虎!お前の側で倒れている怪物が本物の幼馴染みだ!」
「なっ!」
「あーあ、残念だなーあと少しだったのに……な!」
「セイント・シールドっ!」
俺は唯糸?らしき怪物ごと光属性のシールドを張って顔の形が崩れた唯糸モドキの攻撃を防いだ。
「コッコレは!聖魔法の一種っ!」
「セイント・プリズン!」
俺は自身で作った光の檻の中に唯糸らしき怪物ごと入った。
「自身を閉じ込めるとはいい度胸じゃないか」
「※※※!檻ごと持っていけ!捕まえっぐえっ!」
「そうはさせん!活躍の場がなかなかやって来てなかったからな!喰らえ!コレが怒りのジャイアントスイングじゃー!」
本物のルウカ先生?が偽のルウカ先生?をグルングルンと回転しながら移動して俺の作った檻を掴んでいる偽物の唯糸のもとに向かってやってきてそのまま体当りした。
「ぐっ!!」
偽物の唯糸はゴッと良い音を出して勢いよく後ろに頭から壁にダイブし偽物のルウカ先生も本物のルウカ先生の手から離れ壁に突っ込んで行った。
壁に突っ込んだルウカ先生の偽物の変身が徐々に解け化物になった。
「これで良し」
「……本物のルウカ先生だよな?」
「おう!」
「本当に?」
「疑いたくなるのはわかるが少しは信用してください」
いざとなったら先生から貰った異世界産の防犯対策の用品があるからそれを使おう。
俺は光の檻を解除した。
「俺と居たほうが偽物のだったのか…?」
「外に居るゾンビみたいな奴に襲われなかったろ?」
「!…確かに襲われなかったな」
「偽物のオレが居たから襲われなかったんだ。オレの獲物に手を出すなとな」
「それじゃあ、今から外に出れば襲われるようになるのか」
「襲われるようになるぞ」
「うわ〜…」
「この施設のエントランスで怪物にされていた隆太郎とやらが恥ずかしい縛り方をされてたから、もしかしてと思って来たんだがビンゴだったようだな」
「……それやったの偽物のルウカ先生だけど俺はそれを見ていたんだが…」
「オレはそこまで変態ではないと思いたいんだが…な」
「…隆太郎には…後で謝ろう」
「お前の幼馴染みを安全な場所まで運ぶぞ?」
「あぁ」
ルウカ先生が唯糸らしき怪物をヒョイっと持ち上げると「息を整えろ。サニカたちが居るところまで全力で走るぞ」と言われた。
俺は走り出したルウカ先生を必死に追いかけエントランス近くに入ってこようとしていたゾンビみたいな奴を先生が張っ倒し俺はそれをヒョイっと飛び越えた。
町をピョンピョンと飛び周り何処かの建物の中に入るとそこには先生と怪物に变化している隆太郎?が居た。
【朽ちた教会】
《礼拝堂》
「ルウカ、ご苦労さん。白虎も良く無事だったね」
「………本物のだよな?」
「白虎も誰かの偽物にあったのかい?」
「ルウカ先生の偽物?とついさっきまで行動を共にしてたよ」
「そうか」
「もう疑心暗鬼だけど頼るの居ないし…着いてきちゃったけどさ。先生たちはどうやって見分けてるんだ?」
「本人の癖や長年の勘。化けるのが上手い輩が化けてきた場合は合言葉や化けの皮が剥がすために魔法かな」
「おっふ」
「白虎、場合によってはここに留まってくれない?」
「え?……良いけども」
「この教会には私が結界を張っておいたからその辺に居るゾンビみたいなのぐらいならそうそうに入ってこれないからさ」
「わかった」
先生たちは隆太郎?と唯糸?にマントを被せてから朽ちた教会から飛び出して行ったのだった。
俺は教会の礼拝堂をぐるぐると歩き周りいざとなったら避けられる場所をいくつか見つけ女神像らしき像の近くの椅子に座った。